ヒューマノーム研究所,東京医科歯科大学と手術ナビゲーションシステムのAI開発に関する共同研究を開始 〜日本内視鏡外科学会総会で講演

2021-3-11


ヒューマノーム研究所

(株)ヒューマノーム研究所(以下「同社」)は,国立大学法人東京医科歯科大学と「人工知能技術を用いた手術ナビゲーションシステムの研究」に関して,共同研究契約を締結した。この提携を通じて,胃癌に対する低侵襲手術(腹腔鏡下手術,ロボット支援下手術)における膵周囲切離ライン(膵臓領域)の予測を実施し,AIが術者の補助となる可能性を示す結果を得た。本成果については,2021年3月12日に日本内視鏡外科学会学術総会にて発表する。
https://humanome.jp/20210312tmdu/

日本は超高齢化社会を迎え,病院における手術件数も年々増加傾向にある。一般的な開腹手術は侵襲性が高く,術後の社会復帰まで10〜14日程度の日数を必要とするため,患者に身体的な負担・生活上の負担が大きくのしかかる。この問題点の解決に向け,開腹を避け,少数の穴をあけるだけで手術できる,腹腔鏡下手術やロボット手術が脚光を浴びている。退院までの日数が短く,患者の身体的負担が少なく済む利点の一方,近年急速に普及した手技のため,現状では実施できる病院が限られる。加えて,術者の視野がメスに隣接したカメラに限定され,通常の視野とは異なることが,外科医の手技習熟を妨げてきた。

この問題を克服するため,AIを活用した「外科医の手技習得育成システム整備」と「術中の医療ミスを避けるサポートシステム」の開発に向けた本共同研究を開始した。さらに,この成果を,2021年3月12日(金)に行われる第33回日本内視鏡外科学会学術総会「特別企画10・AIが切り拓く次世代の内視鏡外科」にて発表する。

発表タイトル: Development of navigation system for gastric cancer surgery using artificial intelligence
発表者:佐藤 雄哉先生,絹笠 祐介先生(東京医科歯科大学 消化管外科学分野)

本成果は,より侵襲性の少ない手術手法の普及に貢献する。この共同研究開始に先立ち,(株)ヒューマノーム研究所は同社が開発する物体検知モデル開発システム・Humanome Eyesの特別カスタマイズ版を東京医科歯科大学に提供した。本システムを用いて,腹腔鏡下手術を専門とする医師が術中写真のアノテーションを実施したデータを元に,胃がん手術のナビゲーション用AIモデル開発を行った。

図 本研究により示唆される手術ナビゲーションの結果例(医療施設・医療者・患者の掲載許諾取得済)

図 本研究により示唆される手術ナビゲーションの結果例(医療施設・医療者・患者の掲載許諾取得済)

 

今後は,より多様な環境下における臓器認識や手術ナビゲーションの実現に向け,さらなるAIモデルの改善を実施し,現場の手術システムへの応用を目指す。

 

●問い合わせ先
 ヒューマノーム研究所
 https://humanome.jp/


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