長瀬産業,脳神経外科用シミュレーションソフトウェア「GRID」販売開始

2021-5-11

ソフトウエア


長瀬産業(株)(以下「長瀬産業」)は,(株)Kompath(以下「Kompath」)が開発(※1)した脳神経外科用(※※1)シミュレーションソフトウェア「GRID」(グリッド)を国内の医療機関に向けて販売開始した。今後は,NAGASEグループが有する医療現場のネットワークを活用し,海外の医療機関にも販売していく。

「GRID」は,手術,治療の検討への活用ができ,ディープラーニングなどの画像処理技術を駆使して開発された(※※2)脳神経外科用シミュレーションソフトウェア。主な機能として,(1) 位置の異なる複数の画像間の位置合わせを行う「位置合わせ機能」,(2) 画像から組織の特定部分を抽出する「セグメンテーション機能」,(3) 手術前の検討作業を可視化する「シミュレーション機能」がある。これらの機能は,Kompathが強みとするディープラーニングをはじめとしたAI技術を駆使して,東京大学医学部附属病院脳神経外科が有する医用融合3次元画像の技術(※2)やノウハウを学習することで実現した(※3,※4)。さらに,作成した組織モデル(血管や神経など)や3次元画像のデータを出力することで,他の画像診断ソフトウェアや手術ナビゲーションシステムとの連携も可能。

従来,診断には手術前にX線CTやMRIなどで撮影された医用画像が用いられてきたが,近年では,医用画像を立体的にディスプレイ上で可視化することで,診断に広く利用される機会が増えてきた。特に脳神経外科領域では,微細な組織を手術対象とすることから,高精細に可視化することが求められる。

そこで,これまで医師・医療従事者が手動で行っていた医用画像の3次元可視化作業を「GRID」の導入を通じて自動化・簡便化(※5)することで作業負担を軽減し,シミュレーションに集中できる環境づくりに貢献する。特に,「シミュレーション機能」では,可視化された脳,骨,血管や神経などの組織の情報を使用して,開頭や組織移動(脳や血管などを移動させること)のような操作を仮想的に行うことが可能。本機能は,医療従事者間や患者に対する手術方法の説明等コミュニケーションへの活用にも期待される。

今後は,シミュレーションを必要とする脳神経外科以外の他科における本技術の活用を推進していく。Kompathと長瀬産業は今後も先端技術を用いた医療業界でのイノベーション創出を通じ,人々が快適に過ごせる安心・安全で温もりある社会の実現に貢献していく。

「GRID」の操作画面と,画面上に再現された脳の3次元可視化画像

「GRID」の操作画面と,画面上に再現された脳の3次元可視化画像

 

シミュレーションの様子

シミュレーションの様子

 

※1 本システムの開発は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が展開する「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靱化事業」における「術前と術中をつなぐスマート手術ガイドソフトウェアの開発」プロジェクトの支援受けて開発された(2021年5月10日14時発表 URL:https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/20210510.html
※2 複数の画像データをソフト上で重ね合わせて3次元可視化する技術。
※3 この機能はソフトウェアを使用するに従って性能が変化するものではない。
※4 自動処理を行うためには対象画像が推奨条件を満たす必要がある。推奨条件における自動セグメンテーション精度はテスト環境において95%以上。
※5 推奨環境において自動処理が可能な画像が入力された場合,1分程度で可視化処理が完了する。(同社調べ)

(以下,2021年6月30日訂正内容)
※※1 :発表時点では「脳神経外科用手術シミュレーションソフトウェア」と表記していたが,誤解に繋がる可能性のある記載であったことから,「手術」の表記及び関連する記載を削除・訂正した。
※※2 :発表時点では,「2021年4月現在,脳神経外科領域でディープラーニングを活用して手術検討を行うソフトウェアという点において世界初」と表記(注釈)していたが,第三者機関による根拠の確認が難しいと判断し,削除した。

■GRIDについて
管理医療機器
販売名:医用画像3DCGシミュレーションソフトウェアGRID
認証番号:303AGBZX00028000
一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム
クラス分類:プログラム1 疾病診断用プログラム

 

●問い合わせ先
(株)Kompath
https://www.kompath.com/

長瀬産業(株)
https://www.nagase.co.jp/

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