ジンマー・バイオメット,“日本初*”iPhoneを使用した 「AR Hip Navigationシステム」を発売

2021-10-11


ジンマー・バイオメット合同会社は,2021年10月11日,人工股関節置換術に使用可能なAR Hip Navigationシステムの発売を開始した。

「AR Hip Navigationシステム(ポータブルナビゲーション)」

 

■開発背景

人工股関節置換術は,主に変形性股関節症や関節リウマチ,骨頭壊死等の関節疾患を治療する代表的な手術療法のひとつ。人工股関節は,大腿骨ステムとヘッド,寛骨臼カップ,そしてカップの内側にはめ込むライナーで構成されている。

人工股関節置換術を行った際に,まれに合併症が起きることがある。その合併症のひとつである脱臼を防ぐためには,人工股関節の正確な設置が必要となるため,手術用のロボットや大型のナビゲーションなど,コンピューター技術を応用した様々なシステムの開発が進んでいるが,これらのシステムは多機能で正確な設置を可能にする一方,高額かつ高い習熟度が必要など,導入のハードルが高いこともあり,まだまだ普及率が低いのが現状。そのため,近年では機能を簡素化し,その分廉価とすることで多くの整形外科医が使用可能となり得るポータブルナビゲーションシステムが注目されている。

今回,ジンマー・バイオメット合同会社は小川 博之氏(水戸市 北水会記念病院)と共同で,「AR Hip Navigationシステム(ポータブルナビゲーション)」を開発した。

■製品特徴

AR Hip Navigationシステムは,国内で初めて*製品化されたiPhoneおよびAR(Augmented Reality)技術を使用したポータブルナビゲーションで,「すべての整形外科医,病院,患者さんに提供可能なナビゲーションシステムの提供」をコンセプトとして開発を進めてきた。

ARは,一般的に「拡張現実」と訳され,現実の世界に情報を追加するという技術で,最新のカーナビゲーションやGoogleマップで映像や周囲の情報を映し出す,あるいはポケモンGOのような現実世界をフィールドとしたゲーム等において利用されている。

同社が開発したAR Hip Navigationシステムには以下の5つの大きな特徴がある。

1. 正確な角度での寛骨臼カップの設置
●一般的な角度計を用いたカップ設置に比べ高い設置精度1

2. シンプルなレジストレーションプロセス
●3点のみの登録でレジストレーションが完了するため手術時間の延長は最小限

3. 優れたエラーマネージメントシステム
●AR技術の特徴である "映像を重ね合わせる" 機能を活用し,登録したポイントを実際の手術風景に重ね合わせるため,登録ポイントのずれなどを視覚的に確認が可能

4. 高いコストパフォーマンス
●ロボットや大型のナビゲーションはもちろん他のポータブルナビゲーションシステムと比較しても圧倒的に導入し易い価格設定

5. iPhone用アプリの高い汎用性
●国内で開発された専用のiPhone用アプリを使用するため,適宜アップデートされた最新機能の使用が可能

■共同開発者の小川 博之氏のコメント

「人工関節におけるコンピューター支援システムは,患者さんにとっても術者にとっても大きなメリットではありますが,これまで一部の施設でしか使用できず,ほとんど普及していないのが現状です。今回我々は,最新のテクノロジーをiPhoneという使い慣れたデバイスで使用することで,多くの施設で導入できるような簡便かつ高精度なシステムを開発しました。
このシステムを通して,すべての患者さんが,コンピューター支援手術の恩恵を受けることができる環境を作っていきたいと考えています。」

1. Does An Augmented Reality-based Portable Navigation System Improve the Accuracy of Acetabular Component Orientation During THA? A Randomized Controlled Trial
Clin Orthop Relat Res (2020) 478:935-943

* 2021年2月 iPhoneおよびAR技術を使用した人工股関節置換術用ナビゲーションシステムとしては国内初となる医療機器薬事承認を取得

販売名:ARナビゲーションシステム(承認番号:30300BZX00029000)
販売名:ARナビゲーションシステム器械(届出番号:13B1X10228HP0016)

 

●問い合わせ先
ジンマー・バイオメット合同会社
https://www.zimmerbiomet.com/ja


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