島津製作所,近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI」を発売
近赤外光の利用で創薬研究に貢献

2022-4-21

島津製作所


近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI」

近赤外光イメージングシステム
「LuminousQuester NI」

島津製作所は,4月21日に近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI(ルミナスクエスター・エヌアイ)」を発売する。本製品は,近赤外光と可視光を同時撮影可能なカメラと解析用ソフトウェアで構成された,非臨床研究用途のシステム。使用環境を選ばない自由度の高いカメラと,ユーザビリティの高いソフトウェアを合わせて提供することにより創薬研究を支援する。

研究機関や大学病院,製薬業界での蛍光色素を用いた創薬研究では,「体内での薬の分布とその経時的変化の検証」などの用途で,近赤外光イメージング技術が必要とされている。光に反応する蛍光色素を用いた試薬(蛍光試薬)をマウスなどの検体に投与し特殊な光を照射すると,蛍光試薬が反応を起こす。その蛍光反応を画像化して検体内での薬の分布状態などを観察する。従来は,「撮影中に検体の処置が出来ない」「小型の検体しか撮影できない」「実験中に薬の挙動を動画撮影できない」といった問題があり,これらを解決できる自由度の高いイメージングシステムが求められていた。

本製品は,室内照明の影響を受けにくい近赤外光を利用するため,幅広い実験環境で撮影可能。検体を作業台に載せたまま撮影・計測でき,試薬の注入量や光の照射量などの条件を変更しながらハンズフリーで薬の挙動を観察することができる。また,カメラ位置は自由に設定が可能で,小型(マウス)から中型(ブタなど)までの検体サイズに対応する。解析ソフトウェア上では,近赤外蛍光画像,可視画像を重ね合わせて表示でき近赤外蛍光反応強度グラフも同一画面上にリアルタイム表示可能。観察対象の薬の分布状態を簡単に撮影・計測できる。

近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI」使用イメージ

近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI」使用イメージ

 

島津は従来より近赤外光イメージング技術を有しており,近赤外光カメラシステム「LIGHTVISION」を発売してきた。「LIGHTVISION」に用いたイメージング技術を発展させ,がん光免疫療法への取り組みも進めてきた。2003年以来,米国国立がん研究所 小林久隆主任研究員との共同研究や,国立がん研究センター東病院における共同研究等に取り組んでいる。本製品は,このような技術を利用して開発したもの。

今後も,同社は近赤外光イメージング技術を用いて,創薬研究の効率化や,医薬品の安全性評価の精度向上に貢献していく。

新製品の特長

1. 設定条件を変更しながらの計測
本製品は室内照明の影響を受けにくい近赤外光を利用しているため,検体を暗箱に入れる必要がない。検体を作業台に載せたままで,投与する蛍光試薬の量などの条件変更と撮影・薬の挙動観察を並行して行うことが可能。計測にかかる時間と手間を削減し,効率的な創薬研究につながる。

2. 設置場所を選ばない装置構成
キャスター付きの台と伸縮自在のアームを備えており,研究室の配置に合わせてカメラ位置を自由にセッティングできる。最適な角度や高さでカメラ位置決めが可能で,小動物(マウス)だけでなく中動物(ブタなど)の検体撮影にも対応する。

3. 多様な機能を備えた解析ソフトウェア
本製品の解析ソフトウェアは,近赤外蛍光画像と可視画像を重ね合わせて表示できるため,検体のどの部分に蛍光反応があるか,容易に判断することができる。撮影中は,近赤外蛍光画像や可視画像のリアルタイム動画と,近赤外蛍光反応強度グラフを同一画面に表示することで,時間経過と薬の挙動を関連づけて観察可能。一方,撮影後は,記録したデータを利用して,検体上の観察位置などの条件をソフトウェア上で変更し,再解析を行うことが可能。幅広い研究に対応する多様な機能を備えている。

撮影中のソフトウェア画面イメージ(左:近赤外蛍光強度グラフ,右:重ね合わせ画像)

撮影中のソフトウェア画面イメージ(左:近赤外蛍光強度グラフ,右:重ね合わせ画像)

 

注意:近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI」は研究用装置。医薬品医療機器法に基づく医療機器として承認・認証等を受けていない。治療診断目的およびその手続き上での使用はできない。なお,励起用光源は付属していない。

価格 1850万円~(税別)
目標販売台数 発売後1年間で国内外合わせて10台

 

●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/

島津製作所


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