地域全体のスマート・ホスピタル構想を実現へ ~GEヘルスケアと清水建設,淡海医療センターで医療現場の生産性向上に向けた協業を開始~

2022-5-24

GEヘルスケア・ジャパン


GEヘルスケア・ジャパン(株)(以下 GEヘルスケア)と清水建設(株)(以下 清水建設)は,病院運営と施設運営の両面からDXを追求したスマート・ホスピタルの構築に向けて協業することに合意した。第一弾として,GEヘルスケアと社会医療法人誠光会 淡海医療センター(以下 淡海医療センター)が協働にて国内版の導入を行った日本初の「コマンドセンター」と清水建設の建物OS「DX‐Core」のデータ連携を図り,「医療サービスの質向上」「医療従事者の業務効率化」「患者の利便性向上」に向けたサービスの提供に取り組む。

コマンドセンターイメージ

 

超高齢化が進む日本では,適正な医療を効率的に提供する体制を整えることを目的とする『地域医療構想』の実現に向けた動きが活発化している。地域医療構想とは,地域に存在するそれぞれの病院が担当する医療機能を選択し,この機能を持ち寄ることで地域全体の医療を完結させることを目指す取り組み。三者は,この取り組みを実現する為の病院運営と施設運営のデータ連携によるDXに挑戦することを決定した。

淡海医療センターで展開するデータ連携のプラットフォームは,データドリブンの病院運営を支援するコマンドセンター。昨年4月から稼働しているコマンドセンターでは,医療情報システムから収集する電子カルテなどのデータをリアルタイムに分析することにより,病床の稼働状況やスタッフの業務を画面上で見える化し,病床の割り当てやスタッフ配置などの迅速な意思決定を支援している。

協業のフェーズⅠは事前準備であり,淡海医療センターの既設設備機器を集中監視するプラットフォームをDX‐Coreにより構築し,コマンドセンターとのデータ連携を図るとともに,病院運営の効率化に向けた課題を抽出。今後のフェーズⅡでは,両システムのデータ連携実証を行う。例えば,DX‐Coreが監視カメラ画像から院内の混雑具合を判断しコマンドセンターがスタッフの配置変更を提案,或いはコマンドセンターが新規入院患者の受入病棟を割り当てたら,DX-Coreが制御する案内ロボットが患者を当該病棟まで案内,といった実証である。最終的にはフェーズⅢとして,フェーズⅡでの実証成果を踏まえ,地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(滋賀県草津市)に加盟する31法人99施設を対象に,コマンドセンターとDX-Coreを連携させたシステムの展開を目指す。

≪社会医療法人誠光会理事長 北野博也氏≫
「現在,誠光会では医療の質向上や医療従事者の働き方改革を目的とした様々な取り組みに着手しています。これらの取り組みにデジタル化は必要不可欠となっていますが,私たちは,単に業務の効率化を図るだけでなく,患者さんに対する新しい価値を創造するためにデジタル化を推し進めていきたいと考えています。すなわち,これまで蓄積されてきた膨大な医療関連データの活用や医療従事者と患者さんとの双方向コミュニケーションの強化など,所謂スマート・ホスピタルを目指した取り組みを加速させていきます。今回,清水建設様とGEヘルスケア様という強力なサポーターを得たことで私たちの将来構想の実現可能性が大きく高まったと考えています。」

≪GEヘルスケア・ジャパン(株)代表取締役社長兼CEO多田荘一郎氏≫
「新型コロナウイルス感染症の蔓延も含め刻一刻と患者さんの症状が変わるという状況の中で,これまで以上にリアルタイムの状況把握と適切な需要予測に基づいたキャパシティ管理(医療資源の分配)が求められています。長年にわたる誠光会様との共創を通じて,昨年4月には淡海医療センター様にてコマンドセンターの稼働が開始しました。人の稼働効率を含む医療資源の分配において目覚ましい成果が出ていることからも,稼働を単独施設に限定せずに,地域全体に拡大し運営していくことで,地域における医療連携に貢献できると確信しています。清水建設様とも新たに連携し,誠光会様とこれまで築いてきた共創を深化拡大させ,課題解決に取り組んでまいります。」

≪清水建設(株)代表取締役社長 井上和幸氏≫
「リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術により,ものづくりをデジタルで行い,リアルな空間とデジタルな空間・サービスを提供する建設会社を「デジタルゼネコン」と定義し,当社が目指すゼネコン像としています。DX‐Coreはデジタルな空間・サービスを提供する技術の代表格で,すでにオフィスビルを中心に採用が進んでおり,お客様に喜ばれています。誠光会様,GEヘルスケア様との協業により培った知見を展開させていただくことで医療施設へのDX‐Coreの採用が進み,医療サービスの質向上や業務効率化に寄与することを祈念しております。」

■医療現場の現状
日本では現在,全就労人口の約13%が医療や介護に従事しているとされ,超高齢化と労働人口の減少が進む中で既存の医療提供体制を維持しようとすると,その割合は約2割に増加すると試算されている。ただし,医療・介護従事者の人材確保は困難で,十分な医療・介護サービスの提供が難しくなることが懸念されている。

■GEヘルスケアと清水建設の協業に関する補足
GEヘルスケアがこれまで医療機関に提供してきたデータ分析・運営改善支援サービス「Brilliant Hospital」,関連するコンサルティング実務を提供することで院内の改善サポートを手掛け,清水建設は,「DX-Core」を通じて医療施設内の設備の情報を集約するためのプラットフォームを提供。両システムをデータ連携させることで,医療施設全体のデジタル化による予見性の高い分析能力の強化,運営全体の効率化・最適化を図り,最終的には医療の生産性向上およびアウトカムに寄与するスマート・ホスピタルの構築を目指す。将来的には新築・改築案件を対象に,“トータルプロデュースサービス”として,設計から施工〜医療システム〜機器最適配置,運用モデルまでデジタルサービスを基軸とした共同提案を目指す。

■フェーズⅠの補足
コマンドセンターは,電子カルテをはじめとする各種院内情報システムに紐づくデータを統合し,リアルタイムで分析・可視化を行うことにより,患者へのケアに必要なリソースを効率的に配分し,必要なケアをタイムリーに提供するための意思決定を促す中央集中管制塔としての役割を果たす。昨年4月に淡海医療センターにて稼働を開始したコマンドセンターは,病床稼働管理および入退院フローの最適化を支援することを目的とする。両者の協業により,今年の6月下旬から地域医療連携推進法人 湖南メディカル・コンソーシアム加盟の31法人99施設の連携に向けた取り組みを両者で展開する。複数の施設がコマンドセンターを利用することで,それぞれの病院の空床状態や数日先の入退院の情報をタイムリーに互いが把握することで,各施設における医療機能が最大限に発揮されることが期待される。

■GEヘルスケアの医療機関向けサービス
2016年のBrilliant Hospital構想の発表より医療機関向けのデータ分析・運営改善支援コンサルティングサービスを提供し,2020年にはデジタル・AIソリューションの開発・提供に取り組むEdison Solution本部を立ち上げ,これまで蓄積してきた医療施設の生産性向上を目指す支援の見地やノウハウを基にAIサービスの開発にも注力。2021年にはコマンドセンターの提供を日本でも開始し,リアルタイムの分析による即時性と予見性を基に院内オペレーションの効率化・最適化支援を展開。

■清水建設の医療機関向けサービス
病院の設計・施工にとどまらず,経営戦略の策定から運営サポート業務にいたるまで病院経営を支援。また,総合建設業で唯一のシステムインテグレータとして20年にわたり,延べ200棟以上の施設の情報インフラを構築。これらの経験を基に,2020年10月より建物オペレーティングシステム「DX‐Core」の提供を開始し,医療施設においても運営システムと建物制御が容易に連携できるサービスの開発を進めてきた。

■地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(滋賀県草津市)
大津市,草津市,栗東市,守山市,野洲市域において,滋賀県が進める地域医療構想と地域包括ケアシステムの実現及び,切れ目のない医療・介護サービスを将来にわたって安定的に提供することを目指すコンソーシアム(代表理事 吉川隆一)。

■淡海医療センター
名 称:社会医療法人誠光会 淡海医療センター
所在地:滋賀県草津市矢橋町1660 TEL.077-563-8866(代表)
病院長:古家大祐
施設規模:建築面積10,214.59m2,延床面積49,619.41m2
     許可病床数420床(ICU8床・HCU8床・急性期346床・回復期58床)

 

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コーポレート コミュニケーション
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp

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