富士フイルム和光純薬,全自動蛍光免疫測定装置「ミュータスワコー i50」専用試薬 体外診断用医薬品「ミュータスワコー S2,3PSA・i50」新発売
前立腺癌と良性の前立腺疾患との識別精度を向上

2022-9-26

医薬品


体外診断用医薬品「ミュータスワコー S2,3PSA・i50」

体外診断用医薬品「ミュータスワコー S2,3PSA・i50」

富士フイルム和光純薬(株)は,迅速測定が可能な全自動蛍光免疫測定装置「ミュータスワコー i50」の専用試薬として,前立腺癌と良性の前立腺疾患との識別に優れた体外診断用医薬品「ミュータスワコー S2,3PSA・i50」を2022年9月26日より発売する。本製品は,国立大学法人弘前大学と共同で開発したもの。

前立腺癌は,高齢化の進行に伴って,罹患数が年々増加し続けている。2019年の日本人男性における部位別癌罹患数では,第一位の癌である※1
前立腺癌の検査では,まず血清中にある,前立腺組織に特異的な糖タンパクの一種である前立腺特異抗原(PSA)※2の値を測定するスクリーニング検査(PSA検査)が行われる。前立腺癌の患者は血液中のPSA値が高くなることが知られている。しかし,前立腺肥大症などの良性の前立腺疾患でもPSA値が高値を示すことがあるため,PSA値が高いからといって必ずしも前立腺癌であるとは限らない。確定診断には針生検を行う必要があるが,針生検は患者への負担が大きく,また感染症や排尿障害などの合併症リスクを伴う。前立腺癌ではない患者への針生検をできるだけ減らすため,前立腺癌と良性疾患を識別できるより精度の高い検査指標が求められている。

現在,前立腺癌に罹患するとPSAに結合している糖鎖※3の構造が変異することが知られている。弘前大学を中心とするグループの研究により,健常者や前立腺肥大症などの良性疾患の患者では,糖鎖構造としてα2,6結合型シアル酸を持つPSA(S2,6PSA)が多く,前立腺癌の患者では,糖鎖構造が変異してα2,3結合型シアル酸を持つPSA(S2,3PSA)の割合が増加することが報告されている。
また,PSA検査だけでは前立腺癌と良性疾患の識別が難しいと診断された439症例を対象に,同社と弘前大学などでS2,6PSAとS2,3PSAの総和に占めるS2,3PSAの割合(S2,3PSA%)を検査指標として用いた識別の有用性を検証する研究を行った結果,現在,二次スクリーニングの検査指標として利用され,PSA値より精度が高いF/T%PSA※4のケースと比較して,S2,3PSA%を用いた検査では,2倍ほど高い精度で前立腺癌の患者と良性疾患の患者を識別できるという優位性が認められた※5
今回発売する「ミュータスワコー S2,3PSA・i50」は,「ミュータスワコー i50」の専用試薬で,約9分で,S2,3PSA%を自動算出することができる。また,PSA検査で前立腺癌が疑われる患者に対する二次スクリーニング検査に本製品を活用することで,F/T%PSAを指標に用いた検査法と比較して,前立腺癌と良性疾患との識別精度が向上し,前立腺癌ではない患者への針生検の低減が期待できる。今後,同社は,臨床現場で広く活用頂くために,本製品の早期保険適用を目指す。

※1 国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
※2 前立腺上皮細胞から前立腺腔内に分泌されるタンパク質。前立腺癌になり前立腺組織が破壊されると血液中に漏れ出てくる。前立腺癌の腫瘍マーカーとして利用されている。
※3 グルコース,ガラクトース,マンノースなどを含む様々な糖が複雑に連なって形成される分子。
※4 トータルPSA濃度(血清中のタンパク結合型PSA濃度とタンパク非結合型PSA濃度の和)におけるタンパク非結合型PSA濃度の割合。前立腺癌ではタンパク非結合型PSAの割合が低下するため,F/T%PSAの低下が前立腺癌診断の指標となる。
※5 PSA検査でトータルPSA50ng/mL未満であった439症例を対象とした研究。S2,3PSA%を指標に用いた検査法と F/T%PSAを指標に用いた検査法の両者を診断感度90%における診断特異度で比較した結果,S2,3PSA%を指標に用いた検査法では37.1%,F/T%PSAを指標に用いた検査法では21.1%との結果となった。

今回発売する「ミュータスワコー S2,3PSA・i50」

1.製品名
ミュータスワコー S2,3PSA・i50
2.使用目的
血清中のS2,3PSA%の測定(前立腺癌診断の補助)
3.承認番号
30400EZX00061000
4.承認日
2022年8月22日

【全自動蛍光免疫測定装置「ミュータスワコー i50」】
マイクロキャピラリー電気泳動技術を用いた蛍光免疫測定装置。微量検体での迅速測定を実現し,1検体あたり7.9分で測定が可能。また,装置の小型化も実現し,設置スペースにも配慮。診療前検査や夜間緊急検査に適している。

■測定手順:
(1) 検体を装置にセットしスタートボタンを押すと測定を開始する。
(2) 試薬・検体の混合,反応,分離,検出など,免疫測定の一連の操作がマイクロチップ上で全自動にて行われる。
(3) 測定結果がプリントアウトされる。

医療機器届出番号 27B3X00024000017
【製造販売元】富士フイルム和光純薬(株)
〒540-8605 大阪市中央区道修町三丁目1番2号

 

●問い合わせ先
富士フイルム和光純薬(株)カスタマーサポートセンター
TEL 03-3270-9134

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