バイエル薬品,バイエルの低用量ガドリニウム造影剤アムベルビスト®(ガドクアトラン水和物)について,世界に先駆けて日本で製造販売承認を取得

2026-3-23

MRI

バイエル薬品


  • 成人および小児(新生児を含む)患者を対象に,磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)における「脳・脊髄造影」および「躯幹部・四肢造影」の効能又は効果で承認取得
  • ガドリニウムの含有量が少ないMRI用造影剤であり,既存の環状型ガドリニウム造影剤に比べ,ガドリニウム用量で60%の低減に相当
  • さらなる製造販売承認の取得を目指し,世界各国の保健当局への承認申請が継続

 

バイエル薬品(株)(以下「バイエル薬品」)は,厚生労働省によりMRI造影剤ガドクアトラン水和物(以下,ガドクアトラン)について製造販売承認を取得した。本剤は,高緩和能を有する新規の環状型ガドリニウム造影剤(GBCA)であり,成人および小児(新生児を含む)患者を対象に,MRI検査における脳・脊髄および躯幹部・四肢の造影を効能・効果として承認された。日本で利用可能な環状型MRI造影剤の中で最もガドリニウムの含有量が少なく,ガドビスト等の既存製品と比較してガドリニウム用量で60%の低減に相当し,診断能を維持しながら1回の検査あたりのガドリニウムの曝露量を低減することが可能とされている。

保健当局のガイダンスや関連学会などが診断に必要な最低用量のガドリニウムの使用を推奨していることを考慮すると,日本を含む世界において低用量ガドリニウム造影剤に対する需要があると考えられている(1。北海道大学大学院 医学研究院 放射線科学分野 画像診断学教室 教授 工藤 與亮氏は,「すべての医薬品は,必要とされる効果が得られる最低限の用量で投与されるべきであり,MRI造影剤も例外ではありません。患者さんの生涯にわたるガドリニウムの曝露量を減少させることは重要な検討事項です。このことは,繰り返しMRI検査が必要とされるがんや心血管疾患などの慢性疾患患者や,腎機能が低下している患者さん,小児の患者さんにとって特に意義があります。ガドクアトランは,画像診断のクオリティを維持しながらガドリニウム用量を大幅に削減できるため,患者さんのための医療を推進する上で非常に価値のある選択肢となる可能性があります」と述べている。

人口の高齢化が進み,がんや心疾患などの慢性疾患が増加している日本では,国民一人当たりのMRI検査台数が世界最多となっている(2。ガドクアトランは,日本で初となる低用量ガドリニウム造影剤である。本承認は,ガドクアトランに関する臨床開発プログラム,特に第III相ピボタル試験(QUANTI試験)および第I/III相QUANTI Pediatric試験に基づくものとされている。

ドイツ・バイエル社ラジオロジー研究開発責任者であるコンスタンツ・ディーフェンバッハ氏は,「アムベルビスト®に対して初となる今回の承認は,幅広い臨床使用における診断価値を裏付ける説得力のある臨床データに基づいています。日本で承認された包括的な適応症は,あらゆる患者集団と年齢層を網羅しており,異なる患者集団に対する代替薬剤の必要性を低減します。この高緩和能を有するMRI造影剤は高いキレート安定性を示し,診断目標を達成する低用量ガドリニウムの選択肢として進化するニーズに応えています。これはまた患者さんと治療医が健康に関する明確な答えを得られるように支援するイノベーションによって,放射線医学の進展に貢献するというコミットメントを示しています」と述べている。

バイエルは,米国,欧州連合(EU),中国を含む世界中の国及び地域において,ガドクアトランの製造販売承認申請を行っており,今後もさらに多くの国及び地域で申請を行う予定である。承認されれば,ガドクアトランは各地域で入手可能な最も低用量の環状型ガドリニウム造影剤となる見込みである。

【QUANTIについて】
ガドクアトランの第III相ピボタル試験(QUANTI試験)は,0.04 mmol Gd/kgのガドリニウム用量で評価した2つの大規模多施設共同,無作為化,前向き二重盲検,クロスオーバー第III相試験(QUANTI CNS試験およびQUANTI OBR試験)とQUANTI Pediatric試験から構成されている。第III相試験では,画像は独立盲検中央読影により評価され,ガドクアトランと0.1 mmol Gd/kgで投与される既存の環状型造影剤である対照薬では,視覚化スコアは類似していた。これはガドリニウム用量において60%の低減に相当する。心臓,腹部,中枢神経系の画像診断および磁気共鳴血管造影(MRA)を含むいくつかのサブ解析により,対照薬に対するガドクアトランの非劣性が確認された。Pediatric試験では,小児集団におけるガドクアトランの薬物動態および安全性プロファイルが成人と類似しており,成人における有効性の結果が小児にも外挿できることが示された。

これらすべての試験において観察された安全性プロファイルは,ガドクアトランおよび他の環状型ガドリニウム造影剤におけるこれまでのデータと概ね一貫しており,新たな安全性に関する懸念は認められなかった。

【ガドクアトランについて】
ガドクアトランは,バイエルのMRI用の環状型細胞外液性ガドリニウム造影剤である。この低用量ガドリニウム造影剤は,高い緩和能およびキレート安定性を有する四量体構造が特徴とされている。

この化合物は,2026年3月に日本で「アムベルビスト® 静注 2mL」「アムベルビスト® 静注シリンジ 5mL / 7.5mL / 10mL」として承認された。他の地域では承認されていない。バイエルは,ガドクアトランについて世界各国の保健当局へ承認申請を行っている。

【MRIについて】
造影MRI検査は,放射線を使用することなく非侵襲的に身体の詳細な画像が得られる検査であり,臓器や組織内の異常の鑑別や同定に役立つ。病変の検出,特性評価や経過観察において医師による医学的判断を支援する。MRI造影剤には一般的にガドリニウムが含まれている。2024年には,世界中で6,000万回以上のガドリニウムベースの造影剤が投与されたと推定されており,1988年以降,全世界で9億回以上のGBCAが投与されている(3

<アムベルビスト®の概要>

販売名:アムベルビスト® 静注 2mL
    アムベルビスト® 静注シリンジ 5mL
    アムベルビスト® 静注シリンジ 7.5mL
    アムベルビスト® 静注シリンジ 10mL
一般名:ガドクアトラン水和物
効能・効果:磁気共鳴コンピューター断層撮影における下記造影
      〇脳・脊髄造影
      〇躯幹部・四肢造影
用法・用量:通常,成人及び小児には,本剤 0.1mL/kg を静脈内投与する。
製造販売承認日:2026年3月23日
製造販売元:バイエル薬品(株)

【バイエルの画像診断領域について】
バイエルは100年にわたり培った専門知識を基に患者ケアの向上を目指し,画像診断領域における革新的な製品と高品質なサービスの提供に注力している。主要な画像診断ポートフォリオには,コンピューター断層撮影(CT),X線撮影,磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)の造影剤とデバイスが含まれている。また,インフォマティクス・ソリューションやデジタルおよび人工知能(AI)を活用したアプリケーションを備えた医用画像診断プラットフォームも提供している。画像診断製品の売上高は,2025年時点で約22億ユーロとされている。さらに,医用画像における研究とイノベーションに注力し,分子画像診断などの分野でも進展に取り組んでいる。
 

Reference
(1 ACR Manual on Contrast Media. 2023; ESUR Guidelines on Contrast Media 10. 2022; Endrikat J et al, Rationales for Non-standard GBCA Dosing-Low?-High?-When? and Why?: A Literature-based Study. Investigative Radiology, December 2025; doi: 10.1097/RLI.0000000000001259
(2 OECD Data Explorer: “Health” → “Health care resources” → filter for “Magnetic resonance imaging units” and sort by country/year
(3 Endrikat, Jan MD, PhD; Siddiqui, Imran MBBS, BSc(Hons), MBA; Khater, Hassan MD, PhD; Blankenburg, Michael PhD, MBA, MPH. Rationales for Non-standard GBCA Dosing-Low?-High?-When? and Why?: A Literature-based Study. Investigative Radiology ():10.1097/RLI.0000000000001259, December 1, 2025. | DOI: 10.1097/RLI.0000000000001259

 

●問い合わせ先
バイエル薬品(株)
https://www.pharma.bayer.jp/ja/

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