学校法人慈恵大学,AWSと医療DXの包括的推進に向けた連携協定を締結
AIとクラウドの活用で,附属4病院の大規模な医療データの統合を推進
2026-4-16
学校法人慈恵大学(以下,慈恵大学)は2026年4月16日,アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下,AWS)と,医療デジタルトランスフォーメーション(DX)の包括的推進に向けた連携協定の締結を発表した。
本連携協定において両者は,生成AIやクラウドコンピューティングをはじめとする最先端のデジタル技術を医療・研究・教育に活用することで,医療の質向上と業務効率化,医療人材の育成強化,臨床研究の推進,持続可能な病院経営の実現に向けて連携して取り組む。
その第一段階として附属4病院の大規模医療データの統合を推進し,安全性の高い医療情報統合プラットフォームの構築を目指す。
連携の背景と意義
日本では急速な高齢化・人口減少を背景に,医療需要の拡大と医療従事者の不足・偏在が深刻な課題となっている。2024年4月に施行された「医師の働き方改革」でも,限られた医療人材が高い診療品質を維持しながら持続的に業務を遂行できる体制の構築が強く求めており,医療機関におけるDXの加速が不可欠となっている。
本学は,1881年(明治14年)の創立以来140年以上にわたり,「病気を診ずして病人を診よ」という建学の精神のもと,医学教育・研究・診療に取り組んでいる。
附属の病院としては,「附属病院(本院)」1,075床,「葛飾医療センター」371床,「西部医療センター」494床,「柏病院」664床の4病院,合計2,604 床を運営している。
これら4病院が蓄積してきた膨大な医療データの統合・利活用は,「医師の働き方改革」の実現に有効であるのに加えて,診療水準の向上,研究イノベーションの加速,地域包括ケアの強化といった,医科大学と附属病院の持続的な発展を推進する極めて大きなポテンシャルを有している。
本学は本連携協定のもと,AWSのクラウドインフラと生成AI技術を最大限に活用し,附属4病院の大規模な医療データを統合した安全性の高い医療情報統合プラットフォームの構築を目指す。
これにより,病院間でのシームレスなデータ共有と診療連携の強化,AI支援による高精度な診断・治療の最適化,医療従事者の業務効率化を実現するとともに,遠隔医療や予防医療の推進,限られた医療資源の最適活用が可能になる。
患者が実感できる3つの価値は以下の通り。
(1) 安全で精度の高い医療の提供
附属4病院(合計2,604床)の診療情報をシームレスに共有することで,転院時や複数病院受診時にも過去の診療履歴を統合的に参照でき,より正確な診断と最適な治療方針の決定が可能になる。診療データの医療安全対策もより強化され,患者様に安心して医療を受けていただける環境を整備する。
(2) 待ち時間の短縮と丁寧な医療サービスの両立
生成AIによる業務支援により,医療従事者が患者様とのコミュニケーションにより多くの時間を割けるようになる。データ活用により情報の確認や説明もスムーズになり,患者様の貴重な時間を大切にした医療サービスを実現する。
(3) 予防医療と健康管理の充実
健診データの統合分析により,ひとりひとりに最適化された予防医療プログラムを提供する。生成AIによる疾病リスク予測で早期発見・早期治療の機会が広がり,重症化予防を通じて患者様の健康寿命の延伸に貢献する。
連携協定の5つの柱
本連携協定では,取り組みの柱として5つの分野を掲げている。
・病院情報統合による診療・経営基盤の強化
・医療従事者の働き方改革とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
・医療イノベーションによる未来志向の研究推進と次世代医療人材育成
・健診部門におけるデジタル変革と予防医療の推進
・地域医療への貢献と危機管理体制の強化
これらの取り組みを通じて,持続可能で高品質な医療提供体制を確立し,患者中心の高品質な医療を首都圏全域に届けることで,日本の医療機関における医療情報統合の先進的なモデルケースとして広く発信していく。
各取り組みの詳細は以下の通り。
(1) 病院情報統合による診療・経営基盤の強化
附属4病院(合計2,604床)が保有する大規模な医療データを統合プラットフォームに集約し,病院間でのシームレスなデータ共有と診療連携の強化を実現する。この取り組みは日本の医療機関における医療情報統合の先進的なモデルケースとして,高度なデータ分析による診療品質向上とリソース配分の最適化を同時に実現し,効率的で戦略的な病院経営を推進する。
<1>統合プラットフォームの構築とデータ共有:附属4病院の医療情報統合プラットフォームを構築し,病院間での患者データ共有と診療連携を強化する。
<2> 診療品質の向上とリソース最適化:統合医療データの高度分析による診療品質向上,医療安全対策の推進,および病院間リソース配分の最適化による効率的な医療提供体制の構築を目指す。
<3> 臨床研究基盤の強化:統合データの活用により,臨床研究基盤を強化し,医学の進展に寄与する。
(2) 医療従事者の働き方改革とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
生成AIを活用した文書作成支援や研究支援を通じて,医師をはじめとする医療従事者の業務負担を大幅に軽減する。また,モバイルアクセス環境の整備やデータ分析の高度化により,附属4病院全体での医療の質の維持・向上と持続可能な働き方改革を推進する。
<1> AI活用による業務負担軽減:生成AIを活用し,診療文書作成支援や研究活動支援(文献レビュー,論文作成支援等)を行うことで,医療従事者や研究者の業務負担を軽減する。
<2> モバイルアクセスと業務効率化:セキュアなシステムを利用した医療情報へのモバイルアクセス環境を実現し,デジタル技術による医療業務プロセスの標準化と効率化を図る。
<3> 経営・診療の高度化:診療データ分析による戦略的意思決定支援や,DPC データ等の分析の高度化を通じた適切な診断群分類と収益向上を支援する。
(3) 医療イノベーションによる未来志向の研究推進と次世代医療人材育成
附属4病院の統合医療データを基盤とした多施設共同研究のデータ共有を促進する。統合されたビッグデータをもとに,医療 AI を活用した個別化医療や創薬などのイノベーションを推進するとともに,医学教育プラットフォームへも生成AIを導入して次世代医療人材の育成・学習支援を高度化する。
<1> 研究データ基盤の強化と共同研究:研究データの管理と分析を行う基盤を構築し,多施設共同研究のためのセキュアなデータ共有環境を整備する。
<2> ビッグデータ・AI によるイノベーション:医療ビッグデータの統合と高度分析,生成AIを活用した診断・治療最適化システムの研究開発を通じて,個別化医療や新規創薬研究を推進する。あわせて,医療機関・企業・研究機関との連携によるデジタル・イノベーションを創出し,データ駆動型の次世代医療技術の実証と社会実装を支援する。
<3> 教育DXとAIによる学習支援:症例データベースを活用した医学教育プラットフォームを構築し,遠隔学習環境を整備する。生成AIによる教育コンテンツの開発と,個別最適化された学習支援により,臨床実習を含めた教育・研修を強化する。
(4) 健診部門におけるデジタル変革と予防医療の推進
健診部門のDXを推進し,健診データ統合管理・可視化システムを構築することで,より的確な健診内容を提供する。生成AIによる個別化された保健指導や,データ分析に基づく疾病リスク予測モデルの開発により,予防医療とデジタルヘルスケアを拡充する。
<1> 健診DXの推進:健診データの統合管理とデータ解析結果の可視化システムを構築し,より的確な健診内容を提供することで,受診者の満足度を向上させる。
<2> AIを活用した医療・研究開発:特定保健指導業務における生成AI活用による個別最適化された保健指導の手法開発に加え,健診データの高度分析に基づいた高精度な疾病リスク予測モデルの研究開発を推進する。
<3> 予防医療とデジタルヘルスケアの拡充:健診データの統合管理・活用基盤を整備して,生成AIによる健康管理支援サービスを拡充することで予防医療を推進する。
(5) 地域医療への貢献と危機管理体制の強化
地域医療機関・介護施設とのデータ連携プラットフォームを整備し,地域包括ケアを推進する。遠隔医療の拡充に加え,災害時にも医療データに堅牢にアクセスできるBCP体制を確立し,地域への安心安全な医療を持続的に提供する。
<1> 地域医療情報基盤の整備:地域医療機関との医療・介護データ連携プラットフォームを構築し,患者データを安全に共有できる地域医療情報基盤の整備を推進する。
<2> 遠隔医療の拡充: 遠隔診療・遠隔医療相談システムの拡充による地域医療支援を行い,患者向けデジタルヘルスケアサービスの提供を支援する。
<3> 災害時の医療継続体制:院内外に医療データバックアップ環境を構築し,災害時等の非常時における医療データへの堅牢なアクセス体制を確保する。行政との連携を図りながら, BCP に基づく医療情報システムの冗長化と復旧体制を整備する。
なお,本連携の第1ステップとして,健診部門のDXを推進する。具体的には,健診データの統合管理・可視化システムを構築することで受診者の満足度を向上させるとともに,生成AIを活用した個別最適化された保健指導の手法開発や健診データの高度分析に基づく高精度な疾病リスク予測モデルの研究開発を推進する。これにより,健診データの統合管理・活用基盤を整備し,生成AIによる健康管理支援サービスを拡充することで,予防医療とデジタルヘルスケアの充実を図る。
学校法人慈恵大学 理事長 栗原 敏氏のコメント
「慈恵大学は,「病気を診ずして病人を診よ」という建学の精神のもと,140 年以上にわたって,患者さんを第一と考える良質の医療を提供して参りました。本学の附属4病院は,合計 2,604 床を有し,大規模な医療データの蓄積があります。これらの医療データを有効に活用することによって,患者さんを第一と考える医療の質の向上とともに,研究や医学教育の充実と向上を図ることが可能です。そのためには,デジタル技術を活用することが不可欠です。また,デジタル技術の活用は,多忙で人材が不足している医療現場の働き方改革に大きな変革をもたらすことが期待されます。
本学とAWSが包括連携協定を締結し,4 附属病院の医療データの統合的基盤を構築し,生成AIの活用を中心に次世代の人材育成を推進し,より良い医療を患者さんに継続的に提供することによって,わが国における医療情報活用の先進的なモデルケースとなることを目指します。」
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
常務執行役員 パブリックセクター 統括本部長 宇佐見 潮氏のコメント
「AWS は,AI とクラウドの力で社会課題の解決に貢献することを使命としております。慈恵大学は,日本の医学教育・研究・診療をリードしてこられた歴史ある医療機関であり,医療 DX の取り組みにおいても日本をリードする立場にあります。このたびの連携を通じて,AWS としても,附属4病院の医療データ統合,AI の活用による臨床実装,次世代医療人材育成まで,幅広い領域でご支援できることを大変光栄に存じます。AWS のグローバルな生成AIとクラウドインフラ技術を最大限に活用し,慈恵大学とともに日本の医療 DX を力強く推進してまいります。」
●問い合わせ先
学校法人慈恵大学 経営企画部 広報課
TEL 03-5400-1280
メール koho@jikei.ac.jp
