富士通と日本IBM,ヘルスケア領域における協業を具体化
医療向けソブリンクラウド基盤の構築と複数医療機関のデータ連携・AI活用により,持続可能な医療提供体制の実現へ
2026-5-15
富士通(株)(以下,富士通)と日本アイ・ビー・エム(株)(以下,日本IBM)は,2025年9月に発表した協業検討のうち,「ヘルスケア」領域における協業を具体化し,データ連携を加速化させるための医療向けソブリンクラウド基盤の構築と医療AIソリューションの相互活用を推進する。
具体的には,富士通のソブリンクラウド基盤の上で,富士通および日本IBMの電子カルテソリューションを稼働させるとともに,医療機関のニーズに基づき,複数の医療機関にまたがるデータ連携とAI活用を実現する。これにより,日本国内で利用する技術をコントロールできるソブリン性を確保したクラウドベースの医療情報システムの選択肢を医療機関に提供し,医療業界が抱える構造的課題の解決と社会的価値の創出を目指す。
背景:医療需要の拡大と提供体制の限界
日本の医療は,急速な高齢化を背景に医療需要が増え続け,医療費は年間48兆円を超えて巨大化しつつある。一方,その需要に応える医療提供体制は,社会保障給付財源の継続性,医療人材の減少,医療機関の経営難といった複合的な課題に直面している。また,高度な臨床研究・開発をさらに発展させていくために必要なデータは,標準化や構造化の途上にあり,十分な連携・活用が進んでいるとは言い難い状況にある。
こうした課題の解決には,医療従事者を事務・間接業務から解放し,本来の診療業務に集中できる環境を整えるとともに,複数の医療機関を横断した医療データの適切な活用が必要である。医療データの活用にあたっては,重要性が高まるデータ主権やセキュリティー,運用継続性への配慮が不可欠となる。両社は,それぞれの強みを持ち寄ることで,これらの課題に対する実効性のあるソリューションを医療現場に提供していく。
取り組みの概要
本協業は,国が推進する医療データ利活用基盤の整備や医療DX施策を補完しながら,医療機関の運営効率化とデータ活用の高度化を進めるものである。具体的には以下の二つの取り組みを推進する。
1. 医療向けソブリンクラウド基盤の構築
富士通と日本IBMは,医療向けソブリンクラウド基盤の構築を進める。本基盤上では,富士通が提供するソブリンクラウド環境を共通の基盤としつつ,富士通および日本IBMがそれぞれ個別に提供する電子カルテソリューションを稼働させる構成を構築する。これにより,医療機関はデータ主権やセキュリティーに配慮されたクラウド型の医療ソリューションを利用可能となる。
2. 医療データ活用とAIによる医療業務の高度化
両社が持つ医療業界向けAIソリューションを相互活用し,患者・医療機関の合意のもと,複数の医療機関のデータを安全に連携・活用する。AIとの組み合わせにより,病院業務の効率化と診療支援の高度化を推進する。具体的なユースケースとして,診療記録や看護記録などの医療文書作成支援,DPCコーディング(診断群分類に基づく診療報酬請求の分類作業)をはじめとする現場業務の効率化に資するAI活用の実装を進める。これにより,医療従事者が本来業務に集中できる環境の実現を目指す。
加えて,両社は治験に適した患者の探索や臨床研究の効率化など,医療と創薬の連携を加速するユースケースを検討および一部着手もしている。両社が複数の医療機関と連携を進めることで,それら医療機関のデータをオンデマンドかつ横断的に活用することを推進し,ひとり一人の患者に最適な治験機会が提供されることを目指す。
両社は,大学病院やナショナルセンターをはじめとする医療機関と連携しながら,医療データ活用およびAIのユースケースの検証と段階的な展開を進めていく。
今後の展開
今後は,複数の医療情報システムとの連携・拡張も視野に入れ,医療機関と協働してデータ・AI活用のユースケースを拡充することで,医療の質向上と効率化の両立を目指す。さらに将来的には,医療機関の予約から治療後のフォローアップまでをカバーする患者起点のヘルスケアサービスの実現に向けても,検討を進めていく。
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富士通(株)
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