富士フイルムメディカル,診断支援からポータブル超音波,薬剤監査までAI技術を活用した多様な製品・ソリューションを展示
2026-8-5
富士フイルムメディカルブース
富士フイルムメディカルは,富士フイルムメディカルITソリューションズと合同で,富士フイルムグループが持つ診断ソリューションなどのヘルスケアITから,薬剤部業務支援,ポータブル超音波装置などのモダリティ,空気清浄機まで,豊富かつ幅広い製品・ソリューションを展示した。2026年7月1日には,富士フイルムメディカルに富士フイルム医療ソリューションズ,クライムメディカルシステムズが統合され,ヘルスケアIT事業においても“ONE FUJIFILM”の体制が整った。ブースでは,AI技術を活用した「CITA Clinical Finder」「Yahgee」の新機能,ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」などのモダリティ,薬剤部門の効率化を図る一包化監査支援システムの最新機種「PROOFIT 1D III」,Hydro Ag+の技術を生かした空気清浄機など多彩な製品やソリューションをラインアップし,企業の総合力で医療機関の課題解決に貢献できることをアピールした。
統合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder(以下,CITA)」の「患者対応監査支援AI機能」は,レポートの既読管理や患者対応が適切に行われているかを確認する業務を支援する仕組みだ。医療機関では,レポートの見落としや患者対応の遅れによる医療過誤を防ぐため,レポート既読管理システムなどを導入しているが,未読・既読のチェックだけではカバーできず,安全管理部門が電子カルテをチェックして患者対応の経過を確認するなど,運用上の負担が大きくなっている。患者対応監査支援AI機能は,AI技術を使って読影レポートの内容をチェックし重要所見が含まれる可能性の高いレポートを自動抽出,電子カルテから該当する患者に説明や追加検査のオーダが出てているかをリストアップする。患者の個別画面では,異常所見や患者対応の根拠となる記載をハイライトすることで,監査部門でのチェック業務を支援する。
CITA Clinical Finderの患者対応監査支援AI機能でレポートや電子カルテの内容をチェック
チェックした根拠をハイライトで表示
診療文書管理・診療業務支援ソリューション「Yahgee」では,生成AIを使った退院サマリ作成支援,看護サマリ作成支援AIを紹介した。オープンソースの大規模言語モデル(LLM)をベースに富士フイルムが開発した独自のLLMを用いて,退院サマリの文案を自動で作成する。生成AI機能が文書作成・管理を行うYahgeeに統合されており,一つの画面の中でシームレスに利用できる。また,ハルシネーションを防ぐため,生成の根拠となった記事を参照しながら,確認,修正が行えるのもの特長だ。看護サマリ作成支援AIは,退院サマリと異なり,病院か自宅か介護施設かなど転院先によって必要な項目や書式,内容が異なることから,生成パターンをあらかじめ選択して作成できるようになっている。Yahgeeの生成AIは院内にサーバを設置するため,患者情報の外部への流出を防ぎ安全な運用を可能にしている。
Yahgeeの看護サマリ作成支援AI
作成目的を選択することで生成内容をカスタマイズ可能
「PROOFIT 1D III」は,一包化された薬剤の名称と数量を自動で照合し,薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システムの新製品だ(発売は2026年9月1日)。分包機で一包化されたパックをカメラで読み取り,薬剤を認識して名称と数量を自動で照合する。薬剤師が患者に薬剤を渡す前に目視で確認していた一包化監査の業務を自動化することで業務負担を軽減する。2027年には調剤薬局の一包化業務をほかの調剤薬局に委託できる制度が始まる予定で,効率的な一包化監査のニーズが高まることが予想されている。3世代めとなるPROOFIT 1D IIIは最速1.0秒の高速読み取りを実現しており,富士フイルムが培ってきた写真や自動認識技術などの高い技術力が可能にした製品となっている。
一包化監査支援システムの最新機種「PROOFIT 1D III」
薬剤の画像をマスターデータと照合して種類と数を確認
「iViz air」は,タブレット型の本体とワイヤレスの超音波プローブで構成されたポータブルタイプの超音波診断装置で,コンベックスタイプとリニアタイプのプローブをラインアップする。コンベックスタイプは腹部領域を対象として,検査をアシストするアプリケーションとして膀胱尿量自動計測,直腸観察ガイドPlusを搭載している。リニアタイプは表在や血管などを対象に,動静脈を判別するPV穿刺モードPlusなどを搭載して検査をアシストする。コンベックスタイプに搭載された膀胱尿量自動計測は,AI技術を用いて膀胱を自動抽出し尿量を算出,直腸観察ガイドPlusは直腸の便の有無などをAIを使ってアシストする。これらの機能によって看護師でも簡単に患者の状態を把握でき,適切なタイミングでのトイレ誘導などが可能になる。同社では,ホスピタルショウに併設された「ナースまつり2026」にも出展し,iViz airを使った体験セミナーを開催して,在宅や介護現場での有用性などをアピールした。
ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」。コンベックスタイプ(中央)とリニアタイプ(右端)
膀胱尿量自動計測ではガイドに従って走査することで体積から尿量を自動計測
富士フイルムとシャープが共同開発した医療機関向け空気清浄機(Hydro Ag+ 医療機関向け菌・ウイルスフィルター搭載 HEPAフィルター付き空気清浄機)を展示した。日本製高機能HEPAフィルターが搭載されており,フィルターにN95マスクと同等の高性能素材をフィルターに採用,さらに富士フイルムが開発した独自の抗菌技術である「Hydro Ag+」で抗菌コートすることで,新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの高い捕集能力を持つのが特長だ。Hydro Ag+は,富士フイルムが長年写真フィルムの銀の研究で培った独自技術を生かし開発した抗菌技術で,高い持続性を実現している。空気清浄機は,高い空気清浄能力を持つシャープ製大風量モデルで一般的な4人部屋病室(65m3)を5分以内で清浄することができる。5年間のメンテナンスサービスによって6か月ごとに専門のメンテナンススタッフが機器の点検・清掃を行い,病院スタッフの手間をかけずに良好な空気品質を維持することができる。
富士フイルムとシャープが共同開発した「Hydro Ag+ 医療機関向け菌・ウイルスフィルター搭載 HEPAフィルター付き空気清浄機」
胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」は,新バージョンである「CXR-AID Ver3.0」を展示した。CXR-AIDは,胸部単純X線画像を自動解析し所見が疑われる領域を検出してマーキングすることで医師の診断を支援するシステム。Ver3.0では,従来の3所見(結節 / 腫瘤影,浸潤影,気胸)に加え,無気肺,石灰化,瘢痕,胸水,気腹,心拡大,縦隔拡大の7所見が追加され10所見の検出が可能になった。CXR-AIDでは,異常所見の疑われる領域を存在可能性(確信度)によって青から赤へのグラデーションで示すヒートマップ表示を採用していたが,モノクロディスプレイなどでは確認しにくかったことから,Ver3.0では「輪郭表示」と「ヒートマップと輪郭の併用表示」が可能になった。そのほか,複数所見表示や所見名とスコアの個別表示など,読影サポートのための機能が強化されている。
胸部X線画像病変検出ソフトウェアの新バージョン「CXR-AID Ver3.0」を展示
無気肺,石灰化,瘢痕など7所見の検出を新たに追加
2026年4月に発売された「SYNAPSE LEAD Cloud」は,その名の通り,クラウドで医用画像の保存,管理,共有を行うもので,2025年にクリニックや中小病院向けに発売された「SYNAPSE LEAD」のクラウドバージョンとなる。富士フイルムでは,「医療DX令和ビジョン2030」などクラウドによる医療現場の高度化や業務効率化が求められる中で,PACSやストレージサービスなど医療向けのクラウドソリューションを展開しているが,その新たなラインアップとなる。SYNAPSE LEAD Cloudは,月額制のクラウドサービスとして提供され,院内に設置されたLEAD CloudサーバとクラウドをIP-VPN閉域網(3省2ガイドラインに対応)で接続しデータを保存する。また,標準ビューワに大規模病院向けのPACSで多く導入されている「SYNAPSE SAI viewer」を採用し,高機能と高いユーザビリティで読影業務の効率化を図っている。オプションとして「Cloud viewer」を使うことで院外からのアクセスや,「医療クラウドサービス」によって肺結節検出などのAIサービスを利用することもできる。
クラウド型医用画像情報システム「SYNAPSE LEAD Cloud」
健診業務トータルサポートシステム「Hellseher Next(ヘルゼアネクスト)」では,Web予約機能とWeb問診機能を紹介した。Web予約機能では,Hellseher Nextが持つ契約情報や予約枠情報とダイレクトにリンクしており,受信者がスマートフォンやPCからコース(定期検診や人間ドックなど)を選択すると,カレンダーに予約可能な日付と時間が表示される。ホテル予約のように,そこから直接選択して予約が可能で,電話でのやりとりなどが発生せず,健診施設スタッフの業務削減が期待できる。Web問診機能も同様に,Webで入力された情報が直接Hellseher Nextに反映され,従来の紙運用での発送作業や転記,保管といったコストを削減できる。また,問診内容もHellseher Nextで項目やレイアウトの修正などができるようになっている。
Hellseher NextのWeb予約機能
Web問診機能では入力内容がHellseher Nextに直接反映
