ITEM2017 キヤノンマーケティングジャパン / キヤノンライフケアソリューションズ / AZE ブースレポート 
キヤノングループの技術を結集し,医用画像にかかわる業務を一貫してサポート


2017-5-2

AZE


キヤノンマーケティングジャパン / キヤノンライフケアソリューションズ / AZEブース

キヤノンマーケティングジャパン /
キヤノンライフケアソリューションズ / AZE
ブース

キヤノンマーケティングジャパン / キヤノンライフケアソリューションズ / AZEの合同ブースでは,撮影から解析,読影,術前検討など,医用画像が扱われる場面ごとに,製品やソリューションの提案を行った。また,病院・クリニック・在宅の医用画像・情報連携をサポートする,各種クラウドサービスやキヤノンの要素技術も紹介し,グループ全体で地域医療連携に貢献していく姿勢を示した。
新しい製品・サービスとしては,デジタルラジオグラフィ「CXDI」シリーズのワイヤレスタイプの新機種や,医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」に追加される地域連携サービス,AZEエリアでは正式リリースされたノイズリダクション専用ワークステーション「AZE VirtualPlace iNoir(アイノアール)」などが展示された。
キヤノンは,2016年12月に東芝メディカルシステムズの株式を取得し,正式にキヤノングループに迎えた。会期2日目には,キヤノンの御手洗冨士夫会長と東芝メディカルシステムズの瀧口登志夫社長がブースを視察した。2018年初頭を目処に,社名をキヤノンメディカルシステムズ(株)に変更する予定となっており,シナジー効果によるヘルスケア事業の飛躍が期待される。

AZEエリア

AZEエリア

キヤノンの御手洗冨士夫会長と東芝メディカルシステムズの瀧口登志夫社長が視察

キヤノンの御手洗冨士夫会長と
東芝メディカルシステムズの瀧口登志夫社長が視察

 

●CXDIシリーズに軽量で使いやすさが向上した新製品2機種を追加

デジタルラジオグラフィ「CXDI」シリーズには,軽量化と使いやすさの向上を実現した「CXDI-710C Wireless」(半切サイズ)と「CXDI-810C Wireless」(大四サイズ)の2機種が新たにラインアップされた。2013年に発売された従来機種「CXDI-701C Wireless」と「CXDI-801C Wireless」の基本性能やX線自動検出機能はそのままに,外装にカーボン素材を採用することで軽量化を実現。CXDI-710C Wirelessは,従来機種の3.3kgから2.3kgへと,従来の大四サイズのパネルと同等の重さとなり,CXDI-810C Wirelessは1.8kgまで軽量化した。パネル背面には指を掛けられる溝を設けることで把持性が向上し,四辺に丸みを持たせることでテーブルからの取り出し時にも指を掛けやすくなっている。ほかにも使いやすさという点で機能強化が図られており,耐水性能は1mの水深に30分間浸しても内部に浸水しない保護等級IPX7に準拠している。耐荷重性能も向上し,センサー全面均一荷重では310kgの耐荷重性能を有する。シンチレータはCsI(ヨウ化セシウム)の1タイプ展開で,2017年7月より販売を開始する。
そして,これら2機種には新機能“スタンドアローンモード”が搭載されている。コントロールPCがダウンした場合や,緊急時の突発的なオーダに対して,X線発生装置とパネルのみでの撮影を可能とする機能で,内蔵メモリを搭載し,最大99枚まで撮影できる。
また,オプション機能「ドッキングステーション」も展示された。パネルを差し込むことで,バッテリー充電,画像データ転送,センサーチェックインの3役をこなす。ドッキングステーションにより,複数の検査室で容易にパネルを共有でき,スタンドアローンモードで撮影した場合にもコントロールPCを介さずに画像転送が可能だ。
1回の照射で長尺撮影が可能なオプション機能“CXDIワンショット長尺”も展示された。最大3枚のパネルを専用架台「CXDI長尺用立位架台」(オートシステム社製)にセットして撮影することで,被検者の負担を軽減し,短い検査時間で長尺画像を得ることができる。これまでは,フルサイズ(17インチ×17インチ)の「CXDI-401 C/G Wireless」のみを利用できたが,新しく半切サイズのCXDI-710C Wirelessにも対応するようになった。椎体など撮影範囲が限られた検査では,半切サイズのパネルで撮影したいとの現場の声に応えたもので,一般的な半切サイズで撮影可能となったことでコスト面においても利用しやすくなる。

2.3kgへと軽量化したCXDI-710C Wireless(右)

2.3kgへと軽量化したCXDI-710C Wireless(右)

CXDI-810C Wireless(左)とオプションのドッキングステーション(右)

CXDI-810C Wireless(左)とオプションの
ドッキングステーション(右)

   
背面には溝が設けられ,把持性が向上(CXDI-810C Wireless)

背面には溝が設けられ,把持性が向上
(CXDI-810C Wireless)

半切サイズのCXDI-710C Wirelessにも対応したCXDI長尺用立位架台(オートシステム社製)

半切サイズのCXDI-710C Wirelessにも対応した
CXDI長尺用立位架台(オートシステム社製)

 

●Medical Image Placeに検査予約が可能な「地域連携サービス」が登場

医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」については,新サービス「地域連携サービス」を中心に紹介した。ほかにも,「健診向け読影インフラサービス」を健診施設内での読影システムとして運用する提案や,アレイ社とのコラボレーションによる新オプションの展示を行うとともに,Medical Image Placeと連携してさまざまな医療画像・情報を統合管理するクラウドソリューション“統合医療画像管理システム”の多彩な要素技術を参考出展した。

Medical Image PlaceにアトラスコープMCビューアが搭載可能になった。

Medical Image PlaceにアトラスコープMCビューアが搭載可能になった。

 

 

〈地域連携サービス〉

今回,オンライン検査予約機能を追加した「地域連携サービス」を発表した。これまでも中核病院とクリニックをクラウドでつなぎ,検査画像やレポートを共有するサービスは提供してきたが,検査予約もMedical Image Place上でできることで,予約から検査結果閲覧まで一貫した地域連携サービスとして提供できるようになる。
検査を依頼するクリニックは,依頼先の中核病院(複数施設との連携が可能)のカレンダー画面から予約日時を選択し,患者情報や依頼内容などの予約情報を入力・申請することで,検査を予約できる。なお,同一患者の2回目以降の予約では,患者IDなどで情報の呼び出しが可能だ。このとき検査予約票や同意書などの帳票を出力できるので,患者や家族は検査の注意事項や同意内容をしっかりと確認でき,検査当日の中核病院側の手間を省くこともできる。予約情報にメールアドレスの登録があれば,検査のリマインドメールを送るといった運用も可能である。一方,中核病院側では,依頼元からの予約を一覧で確認できる。予約情報は,院内オーダリングシステムと連携して自動で取り込むことも可能だが,地域連携室等での入力作業を介してオーダリングシステムに登録するなど,ニーズに合わせて運用を提案できる。予約カレンダーテーブルは中核病院ごとに細かくマスタ設定が可能で,院内・院外で検査枠を別々に設けることもでき,中核病院とクリニックの画像連携に用いるだけでなく,中小規模の病院で院内のオーダリングシステムのように利用することも可能となっている。リリースは2017年6月頃を予定している。

Medical Image Placeに地域連携サービスが追加

Medical Image Placeに地域連携サービスが追加

依頼側の操作画面:予約カレンダー

依頼側の操作画面:予約カレンダー

   
患者情報や依頼内容などを入力し,オンラインで予約が完了

患者情報や依頼内容などを入力し,オンラインで予約が完了

依頼側で検査予約票や同意書を出力可能

依頼側で検査予約票や同意書を出力可能

   
中核病院側の予約スケジュール画面

中核病院側の予約スケジュール画面

 

 

〈健診施設での読影システムとしての運用提案〉

Medical Image Placeでは,2016年11月より「健診向け遠隔読影インフラサービス」の提供が始まっているが,ITEM2017では,健診施設内で使用する読影システムとしての運用を来場者に提案した。健診の読影は,一次読影・二次読影のダブルチェックがあり,一次読影結果の引き継ぎの有無が施設によって異なるなど,通常の画像診断とはワークフローが異なる。健診に最適化した読影システムを実装した健診向け読影インフラサービスは,提供開始後,健診施設から高い評価を得ており,施設内で使用するクラウドシステムとして提案してほしいとの声が上がっていた。
そこで今回,読影ルームをイメージした空間を設け,クラウド型の健診読影システムとしてアピールした。読影時には,Medical Image Placeから端末に一時的に画像をダウンロードするが,ストレスのない画像表示・画面遷移が可能で,読影から所見入力まで効率的に行うことができる。もちろん,クラウドサービスのため,必要に応じて遠隔読影サービスの併用も可能だ。すでに国立大学の健診施設で健診読影システムとしての採用実績があり,全国の健診施設にCXDIのユーザーを持つキヤノングループとして,今後,積極的に提案をしていく。

模擬読影ルームで健診向け読影システムを提案

模擬読影ルームで健診向け読影システムを提案

 

 

〈アレイ社製AOCとの連携オプション〉

新しいオプションサービスとして,Medical Image Placeとアレイ社のDICOM画像データ統合管理ソフトウェア「AOC」の連携が紹介された。AOCは,紹介患者の画像をPACSにインポートする際に,紹介元・紹介先で異なる患者ID等を編集するソフトウェアで,より容易にDICOM画像を管理することができる。AOCは,すでに国内の多くの病院で採用されており,ゲートウェイを介してMedical Image Placeとの連携が可能になることで,地域連携を強力にサポートする。

〈開発中の要素技術を参考展示〉

統合医療画像管理システムのコンポーネントとして,キヤノンで開発している要素技術・オプション機能の参考展示も行われた。
“デジタルカメラ連携”は,Wi-Fi SDカードを介してデジタルカメラの撮影画像をセキュアに統合医療画像管理システムに登録できる。iPhone,iPadにも対応しており,診察券のバーコードを読み取って静止画や動画,音声を取り込むと,患者IDで自動的に情報が紐付けられ,ポータル画面でさまざまなデータと一緒にマトリックス表示で統合されるフローのデモンストレーションが行われた。
“ネットワークカメラ連携”は,院内各所に設置されたネットワークカメラの映像を録画・管理できるシステム。モニタ画面に各カメラ映像を一覧表示して,手術室や検査室などの状況をモニタリングすることができる。また,2方向同時撮影も可能で,リハビリや介護認定における動作評価などにも活用できる。
“電子サインシステム”では,統合医療画像管理システムに取り込んだ問診票や同意書など各種帳票を,複数枚にわたりタブレットでチェック記入後に手書きで電子サインを行うと,入力したすべての帳票に反映され,システムに帳票が統合される。

ネットワークカメラ連携による2方向同時撮影(参考展示)

ネットワークカメラ連携による2方向同時撮影
(参考展示)

電子サインシステムでは,問診票はタップするだけで記入できる。(参考展示)

電子サインシステムでは,問診票はタップするだけで記入できる。(参考展示)

   
電子サインは複数の帳票に反映される。(参考展示)

電子サインは複数の帳票に反映される。(参考展示)

 

 

●ノイズリダクション専用ワークステーション「AZE VirtualPlace iNoir(アイノアール)」

ITEM2016でW.I.P.として展示されていたシステムが,2016年末にノイズリダクション専用ワークステーション「AZE VirtualPlace iNoir」としてリリースされた。CT画像とMR画像を対象に,後処理でノイズ低減処理を行うワークステーションで,過去の検査画像へも適用できるため,現行装置のノイズの少ない画像とノイズレベルを近づけ読影しやすくしたり,CTでは逐次近似(応用)再構成画像へも適用できる。ノイズ低減強度は任意に変更でき,読影や解析に適した画像を取得できる。また,“自動予約実行機能”では,あらかじめ処理テンプレートを設定しておくことで,画像受信後,自動で画像処理,保存,転送をバックグラウンド処理することができる。
現行のワークステーションでは,thin slice(2mmまで)の画像が適用対象だが,特にMRIで多い厚いスライスに適用するためのソフトウェアを開発中で,ブースでは開発状況が紹介された。
なお,AZE VirtualPlace iNoirはCTについてノイズ低減の物理評価も行われ,低コントラスト検出能の向上が期待できると報告されている。
(参照:インナービジョン誌2017年4月号掲載「ワークステーション搭載型ノイズ低減処理の物理評価」近畿大学高度先端総合医療センターPET分子イメージング部・渡邊翔太ほか)
http://www.innervision.co.jp/ad/suite/aze/jisedai/180

AZE VirtualPlace iNoirでは任意の強度でノイズ低減処理が可能

AZE VirtualPlace iNoirでは任意の強度で
ノイズ低減処理が可能

 

 

●術前検討ソリューションとして,3DプリンタやカンファレンスシステムをPR

術前検討に関するソリューションを集めたエリアでは,3Dプリンティングのためのワークステーションや3Dプリンタ,病院向けのカンファレンスシステムを展示した。

〈3Dプリンティング〉

キヤノングループでは,データ作成・出力を行うソフトウェアから,各種3Dプリンタをラインアップし,3Dプリンティングソリューションをトータルで提案している。
今回,3Dプリンタの新製品として,熱溶解積層法(FDM)方式の「L-DEVO」(フュージョンテクノロジー社)が展示された。FDM方式は,高温で溶かした熱可塑性樹脂のフィラメントを積み重ねる方法でモデルが造形される。モデル内部はメッシュ構造のように空洞が多く,表面形状だけが再現されたモデルとなるが,内部も再現する石膏積層タイプと比べて材料費を大幅に抑えることができる。石膏積層造形3Dプリンタ「ProJet CJP 460 Plus」(3Dシステムズ社)の実機も展示し,プレートベンディングや脊椎ロッドの準備ではFDMタイプ,モデルを切開・穿孔するような手術シミュレーションでは石膏タイプと,目的に応じた提案を行った。
3Dプリンティング用のSTLファイルを作成,編集するワークステーションも併せて展示された。2017年3月末にリリースされた3Dプリントデータ作成ワークステーション「AZE VirtualPlace STL Lite」は,“抽出機能”や“反転穴埋め機能”など,STL作成に特化したツールを搭載している。また,STL編集ソフトウェア「Materialise 3-matic」(マテリアライズ社)では,CTでは写らない軟骨に代わる支柱の追加や,識別ラベルの追加など,高度な編集を行うことができる。

3Dプリンティングソリューションの紹介

3Dプリンティングソリューションの紹介

 

専用ツールを集約したAZE VirtualPlace STL Lite

専用ツールを集約したAZE VirtualPlace STL Lite

新製品のFDM方式3DプリンタL-DEVO

新製品のFDM方式3DプリンタL-DEVO

 

高度なSTL編集が可能なMaterialise 3-matic

高度なSTL編集が可能なMaterialise 3-matic

 

〈病院向けカンファレンスシステム〉

術前検討エリアの一角では,キヤノンITSメディカルが京都大学医学部附属病院と共同開発した医療カンファレンス支援システム「メディカル カンファレンス ポータル」を紹介した。病院では,入退院や手術,がん治療など,さまざまなカンファレンスが行われるが,対象患者の抽出や,患者の医療情報・検査画像を集める事前準備が,医療従事者の負担となっている。そこで,メディカル カンファレンス ポータルでは,カンファレンスの会議体を定義し,対象患者の条件,会議で参照するデータ・画像を設定しておくことで,バッチ処理により自動でデータが集約され,カンファレンス準備を軽減する。京都大学医学部附属病院での検証では,これまで20〜30分かかっていた事前準備がゼロになったと報告されている。
また,会議においても患者ごとの画面に,必要な情報が一覧やマトリックスで表示され,参照したいデータや画像を一画面に複数表示するなど,効率的な会議進行を支援する。

カンファレンスでの画面表示例(左:情報一覧,右:4分割表示)

カンファレンスでの画面表示例
(左:情報一覧,右:4分割表示)

 

 

●お問い合わせ先
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
株式会社AZE
住所:東京都港区港南二丁目13番29号 キヤノン港南ビル
TEL:
03-3740-3434(キヤノンマーケティングジャパン)
03-6719-7040 (キヤノンライフケアソリューションズ)
03-6719-7027 (AZE)
URL:
http://cweb.canon.jp/product/medical/
http://www.canon-lcs.co.jp/
http://www.aze.co.jp/

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