ITEM2018 横河医療ソリューションズ ブースレポート 
医療安全の機能からAIなど“未来”を見据えた機能まで画像診断の先を考えたソリューションを展示


2018-5-2


横河医療ソリューションズブース

横河医療ソリューションズブース

横河医療ソリューションズは,「スピード・連携,その先の未来を見据えて」をテーマに,主力製品となる「ShadeQuest」シリーズのPACS,RIS,レポート,放射線治療情報システムなど放射線診断業務を支援する最新バージョンを展示した。同社では2014年に業務提携した富士通だけでなくNECなどの電子カルテシステムとの連携をさらに進めており,読影や放射線治療業務をよりスピーディに進めるための最新機能を紹介した。さらに展示では,一歩先の未来の技術として人工知能(AI)の活用を見据えて,症例データベースの構築,活用を支援する“画像タグ”機能や,画像診断のAI技術のベンチャー企業であるエルピクセルと連携した新しいPACSの読影支援のスタイルなどを提案した。また,読影や検査業務におけるスピードと連携をバックグラウンドで支えるため,読影システムに実装されている医療安全を考慮した機能をアピールした。

●画像診断のAI活用のキモとなる症例データ収集をサポートする“画像タグ”機能を紹介

ディープラーニングなどAI技術の画像診断支援への活用が急速に進展する中で,課題となっているのがAIの学習ための精度の高い教師データの作成である。将来的にAIを活用する際の教師データ作成までを視野に,日常の読影業務の中で興味深い症例や教育的に価値のある画像を収集する仕組みとして,同社のレポートシステム「ShadeQuest/Report」に搭載されたのが“画像タグ”機能である。画像タグでは,読影の際にレポート上で保存したいキー画像に対して,疾患名などの単語をドラッグ・アンド・ドロップするだけで簡単にタグ付けできる。登録した画像はDICOMデータとともに保存されるため,タグのテキストだけでなく造影剤使用の有無など高度な検索も可能になる。4月14日(土)にはランチョンセミナー「『40,000タグ貯めてみた』タグ付け画像の利活用法〜人工知能は欲しがるか?」が行われ,画像タグを活用して4万件の画像をデータベース化した国立がん研究センター中央病院の三宅基隆氏が,実際にデータが保存された端末を使って使用方法や活用事例を説明した。三宅氏は画像タグの必要性とAIの活用について,「AIの開発には手間と時間がかかるが日本には医療画像のデータベースがない。画像タグは日常診療の中で,読影医自身の判断を負担をかけずに画像データに反映できる仕組みであり,これからのAIによる画像支援の仕組み作りには必ず必要となる機能だ」と述べた。

キー画像に簡単にタグを登録して症例データベースを構築できる画像タグ機能

キー画像に簡単にタグを登録して症例データベースを構築できる画像タグ機能

 

登録されたタグから対象の画像を簡単に一覧可能

登録されたタグから対象の画像を簡単に一覧可能

 

DICOMのタグデータを含めて保存でき質の高いデータベースが構築可能

DICOMのタグデータを含めて保存でき質の高いデータベースが構築可能

 

●画像診断AIベンチャーのエルピクセルと提携した脳動脈瘤の検出支援を参考出展

画像タグによる症例データベース構築の下地づくりを踏まえて,“その先の未来”として展示されたのが,AIを用いた画像解析ソフトウエアの東大発ベンチャー企業であるエルピクセルと提携した脳動脈瘤の画像診断支援のソリューションである。横河医療ソリューションズのPACSから,頭部MRA画像をエルピクセルに転送し,同社の医療診断支援技術「EIRL」で解析。動脈瘤が疑われる場合,動脈瘤の場所をビューワ上でMRA画像に重ね合わせて表示するというフローのデモを行った。EIRLの解析結果はDICOM規格のGSPS形式で返送されるため,MIP画像上に重ね合わせてアキシャル,コロナル,サジタル方向から参照できる。エルピクセルは,モダリティメーカーやシステムベンダーなどと広くオープンな提携を進めているが,横河医療ソリューションズとしては,PACSやレポートなど診断業務のワークフローの選択肢としてShadeQuest/ViewR-DGに組み込み,読影や診断支援の一つの方向性を提案していくとのことだ。

エルピクセルの「EIRL」と連携した診断支援の仕組みを参考展示

エルピクセルの「EIRL」と連携した診断支援の仕組みを参考展示

 

DICOMのGSPS形式で出力されたAIデータをPACS画像に重ね合わせて表示

DICOMのGSPS形式で出力されたAIデータをPACS画像に重ね合わせて表示

 

●臨床医の読影レポートの未見を防止し医療安全を向上するための仕組みを提案

電子カルテやPACSなど病院内のデジタル環境の整備が進む一方で,読影医のレポートを臨床医が見逃し,医療事故などにつながるケースが報告されている。横河医療ソリューションズでは,読影システムに所見レポートの未読を防止する“所見管理システム”の機能を搭載して,医療安全に取り組んでいることを紹介した。同社のShadeQuest/Reportでは,読影依頼部位以外に病変があるなど臨床医に注意を促したい場合に,注意喚起コメントを記入する機能を装備している。注意喚起コメントは,臨床医が参照するレポート画面では黄色の背景で表示され,さらに臨床医が画面上で“コメント見た”欄にチェックすることで既読管理が行える。コメントの有無や臨床医の確認状況は,ShadeQuest/Reportの所見管理システムで一覧で把握することができる。それでも未読所見がある場合には,画像ビューワを開いた際に「未読所見あり」のアラートが表示されるようになっている。さらに,読影医がレポートを確定するタイミングでコメント入力ダイアログが表示され,電子カルテを介して確実に臨床医に注意喚起が伝わるような工夫も加えられている。
また,検査の一覧を時系列でマトリクス表示するSCOPEでも,未読検査や注意喚起ありのレポートは“!”アイコンや赤での表示などで注意を促すようにした。同社では,部門システム側で医療安全の仕組みを用意して電子カルテシステムとも連携できるようにすることで,病院側でのトータルな医療安全のシステム構築をサポートできることをアピールした。

読影の確定時に注意喚起コメントのダイアログボックスが必ず起動するように改良

読影の確定時に注意喚起コメントのダイアログボックスが必ず起動するように改良

 

臨床医のレポート参照画面では注意喚起のコメント欄の背景に色づけ

臨床医のレポート参照画面では注意喚起のコメント欄の背景に色づけ

 

未読所見がある症例には画像ビューワでも注意喚起

未読所見がある症例には画像ビューワでも注意喚起

 

SCOPE表示でも未読やコメントをアイコンで表示し注意を促す。

SCOPE表示でも未読やコメントをアイコンで表示し注意を促す。

 

●お問い合わせ先
社名:横河医療ソリューションズ株式会社
住所:〒167-0051 東京都杉並区荻窪4-30-16 藤澤ビルディング
TEL:03-6383-6272
URL:http://www.yokogawa.com/jp-mis/


TOP