ITEM2023 アキュレイ ブースレポート 
サイバーナイフや高精度な治療計画装置などにより,患者に最適な放射線治療を提供


2023-5-8


アキュレイブース

アキュレイブース

アキュレイは,患者の腫瘍にフィットし,かつ高速に照射することを意味する「Deliver more. Better. Faster.」をコンセプトに製品開発を行っている。4年ぶりの出展となるITEM2023の展示ブースでは,ロボット放射線治療機器「サイバーナイフ(CyberKnife)S7シリーズ」や放射線治療機器「ラディザクト(Radixact)シリーズ」,両装置に対応する放射線治療計画装置「Accuray Precision」など,同社の高精度な治療機器のデモンストレーションを行い,多くの来場者がその治療精度の高さを体感した。

●動体追尾機構「Synchrony」によるリアルタイムな位置補正と高精度な照射が可能なサイバーナイフシステム

サイバーナイフシステムは,工業用ロボットアームに6MVの小型リニアックを搭載,動体追尾機構「Synchrony」によるリアルタイムな位置補正と高精度な照射,ワークフローの高速化を特長とするロボット放射線治療機器。患者体表面に装着したLEDマーカーの位置を赤外線カメラで監視して呼吸モデルを作成し,他方で,天井に設置した2台のX線撮影装置による透視画像で体内標的の位置変化を検出,両者を併せて相関モデルを作成し,照射位置を補正する。これにより,自由呼吸下での治療が可能になり,患者の身体的負担を軽減する。なお,呼吸性移動の影響が少ない頭頸部などはX線画像のみで位置補正を行う。治療中は1分ごとにX線撮影を行い,標的の位置を確認するが,体動が多い場合などは15秒に1回などより短い間隔で撮影し,補正頻度を上げて対応する。また,標的を中心に360°球体で空間をとらえ,サブミリメートルの照射精度で標的に高線量を集中させる。最新のS7シリーズは線量率が1000MU/分まで選択でき,より短時間での照射が可能になった。

ロボット放射線治療機器「サイバーナイフ(CyberKnife)S7シリーズ」(アキュレイ社提供)

ロボット放射線治療機器「サイバーナイフ(CyberKnife)S7シリーズ」(アキュレイ社提供)

 

天井の2台のX線撮影装置から,それぞれ45°の角度で撮影して体内の腫瘍位置を確認する(アキュレイ社提供)

天井の2台のX線撮影装置から,それぞれ45°の角度で撮影して体内の腫瘍位置を確認する(アキュレイ社提供)

 

頭頸部への照射イメージ。患者の状態に応じて,目の周囲があいたマスクにも変更が可能(アキュレイ社提供)

頭頸部への照射イメージ。患者の状態に応じて,目の周囲があいたマスクにも変更が可能(アキュレイ社提供)

 

●トモセラピーの最新プラットフォーム「ラディザクト」

ラディザクトは,CTスキャナと放射線治療システムを統合したデザインのトモセラピーの最新プラットフォームである。ガントリを毎分10回転させ,360°全方向から照射する「TomoHelical」と,ガントリを固定したまま固定多門照射する「TomoDirect」の2つの照射モードにより,全身のさまざまな部位の治療計画に対応する。ビームの照射野は最大40cm×135cmと広く,1度の位置合わせで継ぎ目なく照射が可能で,白血病患者への骨髄照射などの全身照射に有用である。また,寝台の周囲を小型加速管とバイナリーマルチリーフコリメータが連続回転しながら照射し,バイナリーマルチリーフコリメータを圧縮空気による駆動で高速開閉させることで,照射ビームを多数の細かいビームレットに分割する。対象の腫瘍の大きさに応じた高精度な照射が可能で,複数の腫瘍に対しても効率的に照射できる。

さらに,ラディザクトには,SynchronyとClearRTヘリカルkVCTイメージングが搭載された(いずれもオプション)。サイバーナイフで培われたSynchronyは,ラディザクトではTomoHelicalモードでのみ使用可能であり,標的の認識が難しい場合はフィデューシャルマーカーを使用する。肺腫瘍など,腫瘍自体が標的と認識できる場合はマーカーレスで治療できる。ClearRTヘリカルkVCTイメージングは,ファンビームを使ったラディザクト独自のハードウエア技術であるガントリの連続回転とカウチの連続動作機構によるヘリカルイメージング機能である。再現性が高く鮮明で軟部組織の描出にすぐれた画質が得られ,適切な位置合わせを可能にする。また,従来システムで見られたアーチファクトや歪みを低減する。

放射線治療機器「ラディザクトシリーズ」。外形はCT装置とほぼ同じで,既存の一般的な治療室に収まる設計で導入コストを軽減する(アキュレイ社提供)

放射線治療機器「ラディザクトシリーズ」。外形はCT装置とほぼ同じで,既存の一般的な治療室に収まる設計で導入コストを軽減する(アキュレイ社提供)

 

バイナリーマルチリーフコリメータは個々のリーフが高速開閉し,照射範囲を高精度に決定する(アキュレイ社提供)

バイナリーマルチリーフコリメータは個々のリーフが高速開閉し,照射範囲を高精度に決定する(アキュレイ社提供)

 

●治療計画システム「Accuray Precision」で最適な治療計画や装置を選択可能に

さらに,ブースでは治療計画システムAccuray Precisionのデモ操作が行われた。Accuray Precisionは,治療計画の質の高さと治療時間の短縮を両立する「VOLO最適化アルゴリズム」を搭載。サイバーナイフ,ラディザクトのいずれにも対応し,両方の装置での治療計画を作成した上で,治療時間や腫瘍の形状などを考慮してより適切な装置を選択することが可能で,患者により適した治療選択を実現する。Accuray Precisionに搭載されている「PreciseRTX リトリートメントプログラム」は,同社以外のシステムからも患者データをインポートし,前回治療の輪郭を新しい治療計画CT上に変形させ,輪郭変形と線量ワーピングにより以前の線量を新しい治療計画CT上に描出することで,治療歴のある患者の新しい治療計画を効率的に作成する。さらに,治療高速化オプション「VOLO Ultra」は,ラディザクトのTomoHelicalとTomoDirectの両照射モードの治療計画を最適化する。パラメータの自動設定ツールや重み付きコスト関数最適化を用いたプランニング手法により,ワークフローを効率化しつつ高品質な治療計画を作成できる。

治療計画システム「Accuray Precision」の画面

治療計画システム「Accuray Precision」の画面

 

サイバーナイフの治療計画では,2台のX線撮影装置での透過画像が表示される

サイバーナイフの治療計画では,2台のX線撮影装置での透過画像が表示される

 

前立腺にはフィデューシャルマーカーを埋め込み,位置を確認する

前立腺にはフィデューシャルマーカーを埋め込み,位置を確認する

 

●お問い合わせ先
社名:アキュレイ株式会社
住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル7階 
TEL:03-6265-1544
URL:https://www.accuray.co.jp/


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