ITEM2023 東洋メディック ブースレポート 
新製品の放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」や「超音波骨密度測定装置EchoSシステム」など最先端の製品をアピール


2023-5-1


東洋メディックブース

東洋メディックブース

幅広い製品を取り扱い,放射線診断・治療の安全性や正確性の向上に貢献する東洋メディックは,最先端をイメージしたブースに多数の製品を展示した。来場者が実際に実機を見て,触れて,体感できることをめざした構成となっており,製品を手に説明に耳を傾ける来場者の姿も多く見られた。

なかでも展示の目玉となったのが,2022年5月に販売開始された放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」(米国・Sun Nuclear社製)と,「超音波骨密度測定装置EchoSシステム」(イタリア・Echolight社製)である。いずれも最先端の製品であり,ブース前面に配置して特長などがアピールされた。いくつかの製品に関しては,製品説明のパネルに記載されたQRコードをスマートフォンなどで読み込むことで,同社ホームページ内のITEM 2023特設サイトにて,より詳細な製品説明を閲覧できるようになっていた。また,特設サイト内では,会期中の会場の様子が写真で紹介された。

■測定精度とユーザビリティに優れた放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」

今回の展示で新製品として紹介されたのが,放射線治療用3D水ファントムのSunSCAN 3Dである。水タンクとリザーバーで構成されており,放射線治療装置導入時などのコミッショニングやビームスキャン測定などに使用する。同社の従来製品である「3D SCANNER」のコンセプトを継承しつつ,ユーザーの要望を反映して開発されており,より高い位置精度やユーザビリティを追究して信頼性および作業効率性に優れた製品となっている。

SunSCAN 3Dの最大の特徴は,スキャン範囲65cmの独自の円筒形デザインを採用していることである。これにより深さ30cmでの40cm×40cm照射野のスキャンを,タンク位置をシフトさせることなく1回のセットアップで行うことが可能となった。直方体の3D水ファントムの場合,同様の範囲を測定するためには,タンク位置をシフトさせ,2回のハーフスキャンで得られたデータを合成する必要があるため,セットアップや測定に時間を要する,セットアップエラーが生じる,などの課題があった。一方,SunSCAN 3Dでは,円筒形デザインによってタンクシフトのための時間やセットアップエラーを低減できるほか,専用のソフトウエアである「SunDOSE」の「AutoSetup」機能を用いることで,タンクの水平,中心位置合わせ,検出器の水面に対する位置合わせなどのセットアップが,最短7分で自動で完了する。位置合わせ精度は,水平調整精度が0.02°以内,中心位置合わせ精度が0.1mm以内と高精度であり,定位手術的照射(SRS)にも対応。また,スキャン軸にかかわらず検出器の走査方向に一貫性を持たせられるため,よりシャープなスキャンデータを得ることができる。

タンクに水を注水するためのリザーバーは,従来製品の3D SCANNERのリザーバーよりも専有面積が約半分と,非常にコンパクトになった。専用ホースでタンクとリザーバーをつなぐだけで簡単に注水でき,注水・排水時間は7分と非常に短時間である。さらに,タンクを搭載しているキャスター付きの「Mini-Lift Table(MLT)」は,キャスター位置を,脚を広げた状態(移動・測定位置)とたたんだ状態(保管位置)に調整可能であり,よりコンパクトな状態での保管が可能となった。

新製品として紹介された放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」

新製品として紹介された放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」

 

SunSCAN 3Dの検出器設置例(写真はSun Nuclear社製 EDGE Detector) AutoSetupにより自動で位置合わせが行われる。

SunSCAN 3Dの検出器設置例(写真はSun Nuclear社製 EDGE Detector)
AutoSetupにより自動で位置合わせが行われる。

 

キャスター付きの「Mini-Lift Table(MLT)」

キャスター付きの「Mini-Lift Table(MLT)」
脚を広げた状態(移動・測定位置:写真奥)とたたんだ状態(保管位置:写真手前)に調整可能

 

SunSCAN 3Dの特長をパネルで紹介

SunSCAN 3Dの特長をパネルで紹介

 

このほか,放射線治療のQA関連の製品としては,IBA Dosimetry社(ドイツ)の定位手術的照射(SRS)/体幹部定位放射線治療(SBRT)用QA(品質管理)ソリューション「myQA SRS」や,カナダModus QA社の「QUASAR MRgRT Insight ファントム」などが紹介された。

■「超音波骨密度測定装置EchoSシステム」のコーナーでは,診療報酬におけるREMS法(腰椎)の位置づけが変更されたことをアナウンス

超音波骨密度測定装置では従来,かかとを測定するものが一般的であったが,EchoSシステムでは,ガイドラインが推奨する部位の腰椎および大腿骨の測定が可能である。測定には,専用のコンベックスプローブを使用し,腰椎なら約80秒,大腿骨なら約40秒走査するだけで簡単に骨密度を測定することができる。2022年の診療報酬改定では,REMS法(腰椎)が骨塩定量検査の区分番号D217-2に変更となり,DXA法のすぐ下に位置づけられた。こうした状況を受け,EchoSシステムへの評価は徐々に高まっており,国内では約30台が出荷されるなど順調に稼働数を増やしている。

超音波骨密度測定装置の最大のメリットとして,X線被ばくのリスクがないことが挙げられる。管理区域のない施設に設置できるため,X線検査を避けたい妊婦の検査にも対応し,医師や診療放射線技師だけでなく,臨床検査技師や看護師が検査を行うこともできる。また,キャスター付きのスタンドに搭載され院内で使用するパネルPCタイプの「EchoStation」のほか,専用カートに収納し持ち運びも可能なモバイルタイプの「EchoS」,EchoStationとEchoSを組み合わせた「EchoStationモバイルハイブリッド」の3タイプが用意されており,移動の難しい患者に対するベッドサイドでの検査や在宅診療での検査も可能である。

骨密度の測定に当たりEchoSシステムが採用しているREMS(radiofrequency echographic multi-spectrometry)法は,測定したスペクトルを,年齢,性別,BMI,部位にマッチした基準スペクトルモデルと比較。測定したスペクトルを低骨密度または健常に分類してスコアを算出し,これを国内外のガイドラインで推奨されているDXA(dual energy X-ray absorptiometry)法による骨密度(DXA-BMD)との回帰式を用いて骨密度推定値(eBMD)に変換する。日本人の骨密度リファレンスカーブとカットオフ値が搭載されており,eBMDからTスコア,Zスコア,%YAMの値を算出。さらに,骨折リスク評価ツール「FRAX」が搭載されているため,FRAX骨折発生リスクも含めて,結果はメディカルレポートとして出力される。なお,メディカルレポートは,以前は英語表記のみであったが,今回のITEMにて,日本語表示にも対応予定であることがアナウンスされた。

このほかブースでは,骨密度測定装置として,米国・ホロジック社のX線骨密度測定装置「QDR Horizon」が展示された。

被ばくのリスクなく骨密度測定が可能な「超音波骨密度測定装置EchoSシステム」

被ばくのリスクなく骨密度測定が可能な「超音波骨密度測定装置EchoSシステム」

 

日本語への対応が予定されているメディカルレポート

日本語への対応が予定されているメディカルレポート

 

大型モニタで実際の測定法などが紹介された

大型モニタで実際の測定法などが紹介された

 

X線骨密度測定装置「QDR Horizon」

X線骨密度測定装置「QDR Horizon」

 

●お問い合わせ先
社名:東洋メディック株式会社
住所:〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-8-5
TEL:03-6825-1645
URL:https://www.toyo-medic.co.jp/


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