GEヘルスケア・ジャパンがトモシンセシスをテーマにした「第3回TOMO友の会」を開催

2013-6-24

GEヘルスケア・ジャパン

X線装置


3回目となるTOMO友の会会場

3回目となるTOMO友の会会場

GEヘルスケア・ジャパン(株)は2013年6月22日(土),「第3回TOMO友の会」を開催した。この会は,同社のトモシンセシス技術である「Volume RAD」を搭載したデジタルX線撮影装置のユーザー,現在導入を検討している施設の関係者を対象としたもの。一般撮影の最新動向とユーザー講演の2部構成でプログラムを用意した。

開会に先立ち,同社Detection & Guidance Solutions部部長の山本 修氏が挨拶を行った。山本氏は,2012年にVolume RAD搭載装置の納入台数が100台を超えたと述べた上で,今年も順調に導入施設が増えていると紹介した。そして,TOMO友の会のようなユーザーミーティングを開催することでユーザーが情報を共有し,議論を通してアプリケーションのさらなる進歩につながるようにしたいとまとめた。

山本 修 氏(Detection & Guidance Solutions部部長)

山本 修 氏
(Detection & Guidance Solutions部部長)

 

まず,初めに行われた一般撮影の最新動向に関する講演では,東京女子医科大学東医療センター放射線科の油原俊之氏が,「線量管理指標について」と題して発表した。油原氏は線量指標の国際規格化について説明を行い,偏差指標のdeviation index(DI),線量指標のexposure index(EI),目標値のtarget exposure index(EIT)を紹介。EIの定義として,画像から対象となる関心領域の抽出すること,ヒストグラム代表値(VI)を求めて,EIを計算することと解説した。また,以前のGE社製装置に用いられてきたDEIとDIとの比較も取り上げた。さらに,日常診療におけるこれらの指標についての留意点を挙げて,画質と線量のバランスをとるためのポイントを述べた。

続いて行われたユーザー講演では,財団法人芙蓉協会聖隷沼津病院放射線課の田沢範康氏と油原氏が座長を務めた。最初に東京女子医科大学東医療センター放射線科の周東太久馬氏が「臨床画像におけるスイープ方向と描出能について」をテーマに講演を行った。周東氏は,トモシンセシスの撮影パラメータを,回転中心や操作方向などの項目ごとに解説。さらに,リップルアーチファクト現象について症例画像を交えて説明し,観察部位と操作方向による流れ像の影響を考慮したポジショニングを検討することが重要であると述べた。また,周東氏は断層厚についても解説。Sampling factorを厚くすることで,解像度は低下するが,アーチファクトやノイズは改善するとし,適切なSampling factorを検討することが必要だとまとめた。

油原俊之 氏(東京女子医科大学東医療センター)

油原俊之 氏
(東京女子医科大学東医療センター)

田沢範康 氏(聖隷沼津病院)

田沢範康 氏
(聖隷沼津病院)

周東太久馬 氏(東京女子医科大学東医療センター)

周東太久馬 氏
(東京女子医科大学東医療センター)

 

続いて登壇した日本赤十字社安曇野赤十字病院放射線科部の山本賢二氏は,「当院におけるトモシンセシス」をテーマに講演した。同院は,トモシンセシスを耳鼻科,整形外科領域を中心に適応しており,年間350件を超える検査を実施している。山本氏はこうした状況を説明した上で,アナログの断層撮影とトモシンセシスとの比較やフレーム収集数を変化させた場合のSDと吸収線量,腫瘤や石灰化などの認識能について,ファントム実験の結果を提示。さらに,実験の結果から,小児副鼻腔の撮影では30フレームで撮影し,被ばく量の低減と撮影時間の短縮化をして,四肢の関節など動きの少ない部位の撮影では60フレームで高画質化とノイズ性能の向上を検討中と説明した。

3題目の講演では,「XR656の物理特性について」をテーマに,東海大学医学部付属八王子病院放射線科の由地良太郎氏が登壇した。由地氏は,アナログ,デジタル,フィルタなどのMTFの種類と測定方法について解説した上で,presampled MTFについて,標準的な評価方法であるIEC 62220-1に基づいた同院での事例を紹介。また,NPSやDQEの評価についても解説した。

ユーザー講演最後は,札幌医科大学附属病院放射線部の高島弘幸氏が,「トモシンセシスを用いた腰椎不安定性の評価」をテーマに発表した。高島氏は,腰椎変性疾患の術式を選択する上で,不安定性を評価することが重要だとして,その評価にトモシンセシス撮影を用いるために行った,ファントム実験を紹介。その結果,腰椎側面の撮影の場合,装置デフォルトのトモシンセシス撮影では,医療被ばくガイドラインを超えていたが,条件を検討しデフォルト条件の1/4の線量で撮影できるようになったと述べた。また,腰椎不安定性を評価するための画質の検討では,トモシンセシス撮影の方が単純X線撮影よりも椎体縁の描出能が優れており,有用な検査法であると結果を示した。一方で,高島氏はトモシンセシス撮影について,再構成時間や次の検査への移行などに時間を要し,スループットの改善が求められると,課題も挙げた。

山本賢二 氏(安曇野赤十字病院)

山本賢二 氏
(安曇野赤十字病院)

由地良太郎 氏(東海大学医学部付属八王子病院)

由地良太郎 氏
(東海大学医学部付属八王子病院)

高島弘幸 氏(札幌医科大学附属病院)

高島弘幸 氏
(札幌医科大学附属病院)

 

すべての講演が終了した後には,質疑応答の時間が設けられ,トモシンセシス撮影のワークフロー向上のための取り組みや,装置の導入に向けて院内のコンセンサスを得るためのポイントについて意見が交換され,盛況のうちに第3回TOMO友の会は閉会した。

 

【関連コンテンツ(旧サイトへ)】

 

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
コミュニケーション本部
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp

GEヘルスケア・ジャパン

X線装置


TOP