全国重粒子線治療施設設立者協議会が設立

2017-7-7

放射線治療


記者会見の出席者

記者会見の出席者

国内で稼働中の重粒子線がん治療施設を所有する国立研究開発法人量子科学技術研究開発,兵庫県,国立大学法人群馬大学,公益財団法人佐賀国際重粒子線がん治療財団,地方独立行政法人神奈川県立病院機構の5機関は,重粒子線がん治療の向上と国内外へのさらなる発展に貢献することを目的とし,全国重粒子線治療施設設立者協議会を設立し,2017年7月6日(木),発明会館(東京都港区)にて記念シンポジウムを開催した。それに合わせ,協議会の趣旨の説明と重粒子線がん治療の最前線,国際的な動向などを紹介する目的で記者会見が行われた。

記者会見では,まず「本協議会の設立について」と題し,協議会設立の背景と目的を,同協議会の会長である量子科学技術研究開発機構理事長の平野俊夫氏が説明した。平野氏は,重粒子線治療の普及・発展のためには,重粒子線治療現場が抱えるさまざまな課題を解決することが不可欠だとし,意見や調査研究,見解をとりまとめ,これらの課題を解決するために本協議会が設立されたと語った。
また,兵庫県立粒子線医療センター院長の沖本智昭氏,群馬大学学長の平塚浩士氏,佐賀国際重粒子線がん治療財団理事長の中川原 章氏,神奈川県立病院機構理事長の土屋了介氏が紹介され,各施設での重粒子線治療に対する取り組みが述べられた。

平野俊夫 氏(量子科学技術研究開発機構)

平野俊夫 氏
(量子科学技術研究開発機構)

沖本智昭 氏(兵庫県立粒子線医療センター)

沖本智昭 氏
(兵庫県立粒子線医療センター)

平塚浩士 氏(群馬大学)

平塚浩士 氏
(群馬大学)

     
中川原 章 氏(佐賀国際重粒子線がん治療財団)

中川原 章 氏
(佐賀国際重粒子線がん治療財団)

土屋了介 氏(神奈川県立病院機構)

土屋了介 氏
(神奈川県立病院機構)

 

 

続いて,「重粒子の海外展開と研究開発の進捗について」と題し,海外における導入計画や回転ガントリの臨床試験の進捗状況が紹介された。
海外施設からは,米国テキサス大学南西校放射線科長のHak Choy氏と,韓国延世大学がんセンターセンター長のSung Hoon Noh氏が紹介された。両氏は,共に自国での重粒子線治療の関心を高め,重粒子線治療施設を建設するために,日本の重粒子線治療施設と協力していきたいと述べた。
また,量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所(放医研)所長の野田耕司氏と,放医研臨床研究クラスタ長の鎌田 正氏が,放医研での回転ガントリ臨床試験の進捗状況について紹介した。
重粒子線では,これまで装置が大型なため固定照射が標準とされてきたが,近年,超電導技術で電磁石を小型化し,普及可能なサイズでの回転ガントリが実現されている。
野田氏は,山形大学に導入予定の重粒子線治療装置は200t以下を計画しており,スキャニング照射法と回転ガントリの組み合わせにより線量集中性が上がり,肺がんだけでなく,ほかのがんについても1回照射,すなわち日帰り治療をめざしていけるのではないかと期待を示した。
鎌田氏は,5月に開始された放医研での臨床試験について,現時点では頭頸部がんや前立腺がんなど,呼吸で動かないがんでの臨床試験を9月ぐらいまでに,それ以降は呼吸で動く,より高度な技術を必要とするがんの臨床試験を行い,先進医療もしくは保険適用をめざすと語った。
さらに,会見の中では,放医研と延世大学がんセンターとの協力取り決め調印式が野田氏とNoh氏により行われた。

Hak Choy 氏(テキサス大学南西校)

Hak Choy 氏
(テキサス大学南西校)

Sung Hoon Noh 氏(延世大学がんセンター)

Sung Hoon Noh 氏
(延世大学がんセンター)

 
     
野田耕司 氏(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)

野田耕司 氏
(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)

鎌田 正 氏(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)

鎌田 正 氏
(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)

 

 

調印式の様子

調印式の様子

 

 

●問い合わせ先
全国重粒子線治療施設設立者協議会
TEL 043-206-3010
http://www.qst.go.jp

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