アゼモトメディカルが被ばく線量管理をテーマにセミナーを開催

2018-3-13

医療被ばく


セミナーの様子

セミナーの様子

(株)アゼモトメディカルは2018年3月10日(土),WTCコンファレンスセンター(東京都港区)にて被ばく線量管理をメインテーマとしたセミナーを開催した。
アゼモトメディカルは,2018年1月11日付で(株)WIN17から名称を変更,主に医療ソフトウエアの企画・開発・販売や医療コンサルティングを手掛けており,今年新たに医療被ばく情報管理システム「DOORS WEB」を展開している。

DOORS WEBは,「クラウド型」「Tagging」「マルチベンダー対応」を特徴とした,被ばく線量を含む画像検査情報の比較管理を可能にするシステムである。自施設の画像検査(MRIや超音波検査などX線を使用しない検査も含む)の実施情報をクラウド上にアップロードすることで,自施設の検査状況や患者ごとの被ばく線量管理を可能とする。また,“Tagging”機能(特許出願中)により,施設ごとに異なる検査名を統一することで,他施設との比較分析が可能となる。DOORS WEBでは,モダリティやPACSから収集したDICOM画像やRDSR(DICOM Radiation Dose Structured Report)から,検査情報や線量指標情報のみを抽出し独自IDを発番するため,個人情報がクラウドに上がることはない。なお,個人情報保護などによりクラウドを使用できない医療機関向けにスタンドアローンでの提供も行う。

開会にあたりアゼモトメディカル代表取締役の畦元将吾氏は,「一般的にも関心が高まっている医療被ばくの問題に対し,今回のセミナーを通して情報提供するとともに,DOORS WEBで少しでも貢献していきたいと考えている。アゼモトメディカルは,顧客のニーズに合わせた,先を見据えたソフトウエアを提供し,ITの力で画像検査のプロたちを結んでいく」と挨拶した。

畦元将吾 氏(代表取締役)

畦元将吾 氏
(代表取締役)

   

 

セミナーでは,1題目に藤田保健衛生大学病院放射線部副部長の井田義宏氏が「被ばく線量管理システムの重要性と将来性」と題し,CT検査を中心とした被ばく線量管理について講演した。井田氏ははじめに,吸収線量,等価線量,実効線量など医療放射線の基本について説明し,臨床現場での被ばく線量評価では,“ImPACT”や”WAZA-ARI v2”などの被ばく線量評価ソフトウエアが有用であると述べた。また,線量の最適化において有用な診断参考レベル(DRLs)について解説した上で,DRLsよりも詳細な情報を得るには線量評価システムが必要であるとし,その要件や課題について解説した。さらに,社会からの要請として,医療被ばく管理が求められており,平成30(2018)年度の診療報酬改定では画像診断管理加算3が新設され,施設基準に「CT検査の線量情報の電子的な記録,患者単位および検査プロトコル単位での集計・管理」があることから,被ばく線量管理システムの利用が有効だろうと述べた。
続いて,大阪府立急性期・総合医療センター医療技術部放射線部門主任の西田 崇氏が「DOORS WEBの使用経験〜線量管理でつながる 比較参照の重要性について〜」を講演した。線量管理を推進するには,低コストで簡単に線量情報の収集・管理・解析ができることが重要であると述べた西田氏は,それを可能にするDOORS WEBの利点と同センターでの使用経験を紹介した。また,施設間比較においては,線量情報以外にも装置性能や撮影条件,患者基本情報を集め,ソートをかけて解析・比較・参照することで妥当性・客観性が高まるとし,DOORS WEBを使った分析について紹介した。そして,多くの施設が他施設のデータと比較・参照し,自施設検査の適正化を進めることで,施設間の差は小さくなり全体的に被ばく線量を低減できるとともに,DIR(Dose Index Registry)構築の手段となりえると展望した。最後に,線量管理システムの導入・運用にあたっては,モダリティと医療情報のそれぞれに精通したスタッフがチームとなって取り組むことが理想的であると述べ,DOORS WEBによる医療被ばく管理が患者と医療従事者をつなげるだろうと展望した。
3題目として,日本診療放射線技師会理事の横田 浩氏による特別講演「医療被ばくに関する本会の事業について」が行われた。横田氏は,日本診療放射線技師会が取り組んでいる医療被ばくに関する主な事業(被ばく線量評価セミナー,医療被ばく低減施設認定,レントゲン手帳の運用,放射線機器管理士・放射線管理士の育成,DRLs2015の周知,被ばく相談員の育成)について,それぞれ概要や実施状況を紹介した。なお,医療被ばく低減施設認定は78施設,レントゲン手帳運用施設は77施設,放射線管理士は2695名(以上,2017年12月末現在),放射線機器管理士は2571名(2018年1月末現在)となっている。

井田義宏 氏(藤田保健衛生大学病院)

井田義宏 氏
(藤田保健衛生大学病院)

西田 崇 氏(大阪府立急性期・総合医療センター)

西田 崇 氏
(大阪府立急性期・総合医療センター)

横田 浩 氏(日本診療放射線技師会)

横田 浩 氏
(日本診療放射線技師会)

 

最後に,アゼモトメディカルの田伏 誠氏が挨拶し,「診療報酬改定での画像診断管理加算3の新設を受け,DOORS WEBに非常に多くの問い合わせをいただいている。DOORS WEBをより大きく展開していくことができると期待している」と述べた。
なお,アゼモトメディカルは,4月13日(金)〜15日(日)にパシフィコ横浜で開催されるITEM 2018(ITEM in JRC 2018 国際医用画像総合展)に出展し,DOORS WEBを展示する予定である。

田伏 誠 氏(アゼモトメディカル)

田伏 誠 氏
(アゼモトメディカル)

「DOORS WEB」のデモンストレーション

「DOORS WEB」のデモンストレーション

 

●問い合わせ先
(株)アゼモトメディカル
TEL 03-6271-0829
http://azemoto.co.jp

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