東京ケアウィーク2019(2)——見守りシステム編:センサーと映像解析,通知システムを組み合わせたトータルソリューション提案

2019-2-22

介護


さまざまなコンセプトで各社が見守りシステムをアピールした。

さまざまなコンセプトで各社が見守りシステムを
アピールした。

2019年2月6日(水)〜8日(金)に東京ビッグサイトで開催された東京ケアウィーク2019は,第5回CareTEX(国際介護用品展,介護施設産業展,介護施設ソリューション展)を中心に,見守りシステムを紹介する「第2回見守りシステム東京」,IoTやAIなど先端技術を展示する「第2回次世代介護テクノロジー展」などで構成される。会場では,2018年度の介護報酬改定で加算要件が緩和されたことで注目されているIoTを用いた見守りシステムが数多く出展された。見守りシステムでは,センサーによる睡眠状態や離床などの把握だけでなく,映像による確認を組み合わせて介護スタッフに通知するシステムを各社が展示していた。センサーで利用者が“起きた”ことを検知して通知しても,結局,スタッフは居室まで状態を確認しにいく必要があり,人手が少ない時間帯では反対に時間を取られることになる。離床センサー,睡眠状態のモニタリング,カメラによる映像認識,スマートフォンやセントラルモニタへの通知などをトータルで連携し的確に通知して初めて,介護現場の効率化,負担軽減につながるというのが,これからのポイントと言えるだろう。

「第2回見守りシステム東京」にブースを構えたコニカミノルタQOLソリューションズ(株)は,センサーや映像,スマートフォンなどのデバイスをインテグレーションすることで,見守りだけでなく介護現場のワークフローを改善する「ケアサポートソリューション」を展示した。ケアサポートソリューションは,利用者の居室内に設けられる“行動検知センサー”と介護スタッフが持つスマートフォンを連動させることで,利用者の安全で安心な生活を確保すると同時に,介護スタッフの無駄のない効率的な働き方を支援する。行動検知センサーには,近赤外線カメラとドップラーセンサーを搭載しており,利用者の状態を映像で把握でき,ドップラーセンサーで呼吸や体動などがモニタリングして的確な安否確認が可能になる。さらに,スタッフが持つスマートフォンへ映像や通知が送信できるので,その場で映像を見て判断でき,居室まで確認する時間や労力を削減できるのが特徴だ。ブースでは,ケアサポートソリューションなどのシステム導入前に行う,“介護施設向け業務診断サービス”についてもアピールした。これは,同社のこれまでの導入ノウハウを生かし,ヒアリングや現場観察によって分析を行うと同時に,ビーコンを設置しスタッフの動線を可視化して,科学的に介護現場の業務を分析するサービスだ。これによって効果的なシステム導入を可能にする。

見守りを含めたトータルソリューションを提供する「ケアサポートソリューション」を展示

見守りを含めたトータルソリューションを提供する
「ケアサポートソリューション」を展示

 

近赤外線カメラの画像をスマートフォンなどで確認できる。

近赤外線カメラの画像をスマートフォンなどで確認できる。

 

(株)NTTデータは,介護施設向け見守りロボットサービス「エルミーゴ」を展示した。エルミーゴは,シルエット見守りセンサー〔キング通信工業(株)〕,体動(寝返りや呼吸など)を測定する「眠りSCAN」〔パラマウントベッド(株)〕と,コミュニケーションロボット「Sota」を連携して,高齢者(利用者)の状態検知や介護スタッフへの通知を行う見守りサービスである。眠りSCANで起き上がり,離床などを検知しスマートフォンに通知する。スマートフォンからはシルエット画像で利用者の様子を確認できるので,緊急度の判断をその場で行うことができる。すぐに対応できない場合でも,スマートフォンからの操作でSotaによる声がけが可能で柔軟に対応できる。また,Sotaは声がけだけでなく会話も可能で利用者への多様なサービスが提供できる。

シルエット見守りセンサーや眠りSCANとコミュニケーションロボットを連携した介護施設向け見守りロボットサービス「エルミーゴ」

シルエット見守りセンサーや眠りSCANとコミュニケーションロボットを連携した介護施設向け見守りロボットサービス「エルミーゴ」

 

コミュニケーションロボット「Sota」は会話などのサービスも利用できる。

コミュニケーションロボット「Sota」は会話などのサービスも利用できる。

 

(株)Z-Worksは,居室内の各種センサーとクラウド(Z-Works IoT Cloud)上の行動解析によって無駄なく最適な見守りを可能にする「LiveConnect Facility」を出展した。センサーには近距離無線通信の国際規格である“Z-Wave”に準拠した製品を採用しており低コストで導入ができるのが特徴だ。また,入居者の状態をスタッフに直接送るのではなく,施設内のPCにインストールされたLiveConnect Facilityアプリのサイネージモード表示で,利用者の状態を一括で管理する方式をとっている。スタッフの数が少ない時間帯など個々の端末に通知が来ても対応できないことが多く,返って業務負担が多くなっているという現場の業務分析から,この方式を採用したという。複数のセンサーの情報を組み合わせることで,より詳細な状態を検知することができる。

「LiveConnect Facility」のサイネージモード表示

「LiveConnect Facility」のサイネージモード表示

 

近距離無線通信の国際規格“Z-Wave”に対応したセンサーを採用

近距離無線通信の国際規格“Z-Wave”に対応したセンサーを採用

 

「第2回介護システム東京」に出展した都築電気(株)は,同社の介護記録システム「KitFit SilverLand」とコミュニケーションロボット「unibo」〔ユニロボット(株)〕を連携させた「AIロボット ユニボ 介護記録ソリューション連携」を参考展示した。KitFit SilverLandは,施設系,通所系,訪問系など介護事業者向けの機能を統合的に提供する介護サービス統合管理システム。uniboと連携することで,KitFit SilverLandに入力された介護記録の利用者のデータの読み上げなどのサービスを提供する。uniboの顔認識機能で利用者の家族の来訪時に対応したり,介護記録を元に利用者の状況を報告(読み上げ)したりすることができる。そのほか,スタッフ同士の申し送りをuniboで共有,利用者を認識して個人に合わせたレクリエーションの提供などが行える。

「unibo」が状態を教えてくれる「AIロボット ユニボ 介護記録ソリューション連携」を参考展示

「unibo」が状態を教えてくれる「AIロボット ユニボ 介護記録ソリューション連携」を参考展示

 

「第2回次世代介護テクノロジー展」に出展したトリプル・ダブリュー・ジャパン(株)は,排尿のタイミングを超音波で検知し事前に通知する排泄予測デバイス「DFree」を展示した。DFreeは,超音波で膀胱の変化をとらえ排尿のタイミングを計算して通知するシステムだ。DFreeは,超音波センサー部と通信などを行う本体部で構成され,取得した情報は中継機を介してクラウドにアップされ,スマートデバイスやPC上で膀胱の変化や排尿のタイミングなどを表示,観察できる。これを元に適切なタイミングでトイレ誘導を行うことで自立支援や介護者の負担を軽減できる。2018年8月には,個人向けの製品として「DFree Personal」がリリースされた。超音波センサー部分が小型軽量になっていること,スマートフォンと直接連動することなどが特徴である。

トリプル・ダブリュー・ジャパンの排泄予測デバイス「DFree」

トリプル・ダブリュー・ジャパンの排泄予測デバイス「DFree」

 

●東京ケアウィーク2019(1)——介護システム編
●東京ケアウィーク2019(3)——AI・IoT編
●東京ケアウィーク2019(4)——ロボット編

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