エレクタ,MRリニアックシステム「Elekta Unity」の製造販売記念講演会を開催

2019-8-8

放射線治療


2019年5月に日本の製造販売承認を取得したElekta Unity

2019年5月に日本の製造販売承認を取得したElekta Unity

エレクタ(株)は,2019年5月にMRリニアックシステム「Elekta Unity」が製造販売承認を取得したことを記念し,2019年7月26日(金)にUnity Nightと題した講演会をスウェーデン大使館(東京都港区)で開催した。

Elekta Unityは,フィリップス社製1.5T MRIとエレクタの7MVのリニアックを組み合わせた放射線治療システム。治療直前や照射中にMRIを撮像し,リアルタイムで腫瘍の位置や形態を正確に把握することで,高線量で腫瘍を照射しながら,近接する健常組織や重要臓器への影響を抑えることが可能となった。また,呼吸性移動を伴う軟部組織の位置なども確認できることから,腫瘍位置を確認するためのマーカー埋め込みが不要となり,患者負担も軽減する。ユトレヒト大学医療センター(オランダ)が着想し,エレクタとフィリップスが開発に参画した。世界の10施設ですでに稼働している。

講演会では,広島大学大学院医系科学研究科の永田 靖氏が座長を務めた。最初に,エレクタ本社のマーケティング・セールス本部長ヤニス・パンナギョッテリ氏が挨拶に立ち,Elekta Unityの特徴や同社のビジョンについて述べた(同氏へのインタビューを本ページ下部に掲載) 。続いて,ウィスコンシン医科大学放射線腫瘍科のムサディク・アワン氏が,Elekta Unityによる治療経験について講演した。アワン氏は,Elekta UnityのワークフローやQAについて,臨床例を交えながら解説した。

ヤニス・パンナギョッテリ 氏(エレクタ)

ヤニス・パンナギョッテリ 氏
(エレクタ)

永田 靖 氏(広島大学)

永田 靖 氏
(広島大学)

ムサディク・アワン 氏(ウィスコンシン医科大学)

ムサディク・アワン 氏
(ウィスコンシン医科大学)

 

講演に続いて行われたパネルディスカッションでは,千葉大学大学院医学研究院の宇野 隆氏,東北大学大学院医学系研究科の神宮啓一氏,ムサディク・アワン氏がパネリストとして登壇し,モデレータは東京大学医学部附属病院の中川恵一氏が務めた。

MRリニアックシステムについて,神宮氏は,腫瘍の辺縁がより明瞭に可視化され,またファンクショナルイメージングを加味した放射線治療が可能になったことで,脳の悪性神経膠腫など,難治性の腫瘍に対する有用性が期待できるとした。また,アワン氏は,Elekta Unityを用いた画像誘導放射線治療(IGRT)は,前立腺や頭頸部,腹部の腫瘍など,解剖情報が日々変化する腫瘍について,特に利点が大きいと述べた。一方,治療の人員配置の問題については,座長の永田氏も交えて意見が交わされ,放射線腫瘍医や診療放射線技師,医学物理士の協力体制の重要性を指摘するとともに,システム改良による治療時間の短縮に期待する意見が出された。

また,MRリニアックシステムの今後の普及,定着について,宇野氏は,本来は国際コンソーシアムなどによるエビデンスの集積を待ち,学会などで方向性を検討していくべきとした上で,技術の進歩の速さや,より多くの患者に迅速に治療を提供する必要性を鑑みれば,エビデンスの集積を図りつつ,装置の利点を広く伝えることも一つの方法であるとの考えを示した。それを受けて中川氏が,MRリニアックシステムの存在や治療のメリットを患者や市民に対して周知することが早期の普及につながるのではないかと述べ,メディアによる情報発信に期待を示し,ディスカッションを締めくくった。

パネルディスカッションの様子。左からムサディク・アワン氏,宇野 隆氏(千葉大学),神宮啓一氏(東北大学),モデレーターの中川恵一氏(東京大学)

パネルディスカッションの様子。左からムサディク・アワン氏,宇野 隆氏(千葉大学),神宮啓一氏(東北大学),モデレーターの中川恵一氏(東京大学)

 

●問い合わせ先
エレクタ(株)マーケティング事業部
TEL 03-6722-3808
E-Mail oncology-japan@elekta.com
http://www.elekta.co.jp/

 

エレクタインタビュー

本社マーケティング・セールス本部長のヤニス・パンナギョッテリ氏(右)と日本法人代表取締役社長のチャールズ・シャーネン氏(左)

本社マーケティング・セールス本部長のヤニス・パンナギョッテリ氏(右)と日本法人代表取締役社長のチャールズ・シャーネン氏(左)

 

講演会に合わせて来日したエレクタ本社のマーケティング・セールス本部長のヤニス・パンナギョッテリ氏と同社日本法人代表取締役社長のチャールズ・シャーネン氏が,インナービジョン編集部のインタビューに応じた。

——Elekta Unityが2019年5月に日本の製造販売承認を取得しましたが,同システムの特徴を教えてください。

パンナギョッテリ氏:Elekta Unityは,画像診断で広く使用されている高画質なフィリップス社製の1.5T MRIと,当社の最先端の高精度リニアックを一体化したソリューションです。体幹部定位放射線治療(SBRT)や強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度放射線治療が可能で,すでに治療を行った250例のうち,半数以上がSBRTによるものです。Elekta Unityは,通常のリニアックでは難しかった体動への対応も可能となり,治療中もリアルタイムで腫瘍の位置を確認できるなど,高精度放射線治療におけるブレイクスルーを起こすソリューションだと考えています。Elekta Unityに搭載した高磁場MRIは,画質や撮像速度に優れ,拡散強調画像やT2強調画像などの撮像が可能です。全世界で21台のElekta Unityが設置ずみまたは設置中で,そのうち10台がすでに臨床で使用されています。

——治療計画システムとの連携も可能ですか?

パンナギョッテリ氏:放射線治療計画システム(TPS)は,Elekta Unityの優位性の一つで,完全に環境に統合した形で利用できるようになっています。また,当社の治療マネジメントシステム「MOSAIQ」とも統合しており,施設のネットワークともスムーズに連携がとれるようになっています。

——今後の放射線治療システム市場の見通しや,日本市場への期待についてお聞かせください。

シャーネン氏:今後は,MRリニアックシステムが標準的な装置になり,現在,世界で稼働中の約1万5000台のリニアックのうち,中期的には約3000台がMRリニアックシステムになるのではないかと考えています。実際に,当社と共同開発を行ったユトレヒト大学(オランダ)は,今後の治療はすべてMRリニアックシステムで行うと聞いています。

パンナギョッテリ氏:当社は,日本市場でもさらに足場を強化したいと考えており,Elekta Unityはその良いツールになると期待しています。

——最後に,日本の関係者へのメッセージをお願いします。

パンナギョッテリ氏:日本の医療施設や研究機関は,新しい技術を適用,発展させる能力が非常に高いと感じています。Elekta Unityについても,日本の各施設や機関と協力しながら,さらに発展させていきたいと考えています。また,日本では腹部腫瘍の患者が多く,SBRTは腹部で非常に有用性が高いことから,Elekta Unityは大きく貢献できるのではないかと期待しています。

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