第47回日本磁気共鳴医学会大会が熊本で開催

2019-9-24

MRI


熊本開催は1991年以来2回目

熊本開催は1991年以来2回目

第47回日本磁気共鳴医学会大会(JSMRM 2019)が,2019年9月20日(金)〜22日(日)の3日間,ホテル日航熊本・くまもと県民交流館パレア(熊本県熊本市)を会場に開催された。熊本県での開催は1991年の第18回大会以来,28年ぶり2回目。大会長を山下康行氏(熊本大学大学院生命科学研究部/地方独立行政法人くまもと県北病院機構)が務め,テーマには,“Let’s shape the future of MR imaging !”が掲げられた。

初日20日の午前中に行われた開会式において,挨拶した山下氏は,自身の恩師である故・高橋睦正氏が大会長を務めた第18回大会を振り返った上で,28年の歳月の中で,MRIは大きく進歩したと述べた。そして,今回の大会では,特別講演やシンポジウムにおいて,進歩を続けるMRIのホットなトピックを取り上げたプログラムを用意したとし,2016年の熊本地震から復興しつつある熊本県内の観光も含め,大会を楽しんでほしいと会場の参加者に呼びかけた。

大会長:山下康行 氏(熊本大学)

大会長:山下康行 氏
(熊本大学)

   

 

そのホットなトピックの一つとして,開会式に続き,森 進氏(ジョンズホプキンス大学放射線科)による特別講演1「脳白質3次元構築技術の開発」が行われた。座長は,三木幸雄氏(大阪市立大学大学院医学研究科放射線診断学・IVR学教室)が務めた。森氏は,拡散テンソルグラフィ(脳白質3次元構築技術)を考案し,脳・中枢神経領域における画像診断の発展に寄与してきた。その功績が認められ,2018年の国際磁気共鳴医学会(ISMRM 2018)において,ゴールドメダルを受賞した。これは,fMRIを開発した小川誠二氏(東北福祉大学特任教授)に次ぐ日本人2人目の快挙である。森氏は,講演の中で,自身の研究成果について,“standing on the shoulders of Giants”と述べた上で,拡散テンソルトラクトグラフィの歩みを概説した。森氏は,拡散テンソルトラクトグラフィについて,理論は1965年に登場し,その後磁場勾配装置技術,拡散強調シーケンス,モーションアーチファクトなどの技術的課題を乗り越えることで実現できたと述べた。さらに,自身が拡散テンソルトラクトグラフィの発表した1999年以降,その技術は進歩を続け,2005年以降はアトラス作成,カラーマッピングの研究が進み,脳白質の自動定量化技術が確立したと説明。講演の最後には,今後さらなる応用研究を進めることが重要であるとまとめた。このほか2日目の21日に特別講演2が行われ,Vikas Gulani氏(ミシガン大学放射線科)が,「Magnetic Resonance Fingerprinting : Basic Principles, Translation, and Clinical Potential」と題して,MRIの定量イメージング技術であるMRFの原理や臨床的有用性について述べた。

特別講演1:森 進 氏(ジョンズホプキンス大学)

特別講演1:
森 進 氏
(ジョンズホプキンス大学)

特別講演2:Vikas Gulani 氏(ミシガン大学放射線科)

特別講演2:
Vikas Gulani 氏
(ミシガン大学放射線科)

 

 

また,スポンサードシンポジウム,国際交流シンポジウムを含め,3日間で12テーマのシンポジウムが設けられた。20日に行われたシンポジウム1「Quantitative MRI―臨床的意義と問題点―」では,MRIの定量化について5演題の発表があった。この中で最初に発表した工藤與亮氏(北海道大学病院放射線診断科)は,「定量的磁化率マッピングによる認知症診断:脳表解析による診断精度向上」をテーマに発表した。工藤氏は,定量的磁化率マッピング(QSM)の定義や解析手法について説明した上で,脳表補正によるアルツハイマー型認知症の診断などの臨床的有用性を報告した。さらに,藤田翔平氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院放射線科/東京大学大学院医学系研究科放射線医学講座)は,「QIBA/J-QIBA プロジェクトの現状と組織緩和時間定量化の最新知見」と題して,北米放射線学会が進める定量イメージングのための活動であるQIBAの取り組みや,日本医学放射線学会が2015年にスタートさせた日本版のJ-QIBAの活動について紹介した。

同じく20日行われたシンポジウム3「4D-Flow When and How ?」では,4D-Flow MRIについて7名の演者が発表した。まず,座長を務める竹原康雄氏(名古屋大学大学院医学系研究科新規低侵襲画像診断法基盤開発研究寄附講座)が解析手法などを概説したほか,寺田理希氏(磐田市立総合病院放射線診断技術科)が,「4DFLOWをはじめるために」と題して発表した。寺田氏は,撮像時間が長いと思われがちな4D-Flow MRIについて,時間短縮を図るためのワークフローやパラメータ,プロトコールなどのポイントを解説した。

2日目の21日には,シンポジウム4「Novel Cardiac MR Techniques」が設けられた。このシンポジウムでは,心臓MRIにおけるT1マッピングやT2マッピング,圧縮センシング(CS),心筋ストレイン解析が取り上げられた。天野康雄氏(日本大学病院放射線科)は,「心臓T2の定量的評価 T2 mappingとtexture analysis」と題して,T2マッピングによる心筋炎など急性期の心筋病変の診断について報告したほか,テクスチャ解析のフリーソフトウエアである“MaZda”を用いた肥大型心筋症の評価について説明した。また,城戸倫之氏(愛媛大学大学院医学系研究科放射線医学)は,CSの概要を紹介した上で,CSを用いたシネMRI,パーフュージョンMRI,遅延造影MRI,造影MRAについて症例を交えて紹介。CSにより高速撮像が可能になり,被検者の負担を軽減し,検査の適応も拡大しているなどのメリットを報告した。さらに,「心臓MRIによる心筋ストレイン解析の基本と臨床的意義」をテーマに発表した石田正樹氏(三重大学医学部附属病院放射線科)は,シーケンスに依存せず,撮像後にソフトウエアで解析を行うfeature tracking法による心筋ストレイン解析について,自験例を中心に報告した。

このほか,2日目には,シンポジウム6「教えて匠たち!匠たちの得意分野の撮像法を紐解く」や,シンポジウム7「機械学習の基礎から放射線科領域における実応用まで:Deep Learningを中心として」が行われた。シンポジウム6では,ファントム製作のノウハウや静音化技術の検証結果が報告された。また,シンポジウム7では,Daniel C. Alexander氏(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン メディカルイメージングコンピュータセンター)が,「Microstructure imaging: machine learning and multi-contrast」と題して講演したほか,3名の演者がディープラーニングに関する発表を行った。

21社が出展した機器展示会場

21社が出展した機器展示会場

くまもと県民交流館パレアのポスター会場

くまもと県民交流館パレアのポスター会場

 

次回の第48回日本磁気共鳴医学会大会は,「磁気共鳴医学の調和と展開」をテーマに,2020年9月11日(金)~9月13日(日)の3日間,いわて県民情報交流センター(アイーナ)で開催される。大会長は,佐々木真理氏(岩手医科大学超高磁場MRI診断・病態研究部門)が務める。

 

●問い合わせ先
第47回日本磁気共鳴医学会大会
大会事務局
熊本大学大学院生命科学研究部
放射線診断学分野
TEL 096-373-5258
FAX 096-373-5342
E-mail radiosec@kumamoto-u.ac.jp
http://www.congre.co.jp/jsmrm47/

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