与那国町(沖縄県)で全島民を対象にメドレーの「CLINICS」を活用したオンライン診療実証を開始

2020-12-10

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沖縄県那覇市で,関係者による説明会が行われた。左から豊田剛一郎 氏(メドレー),外間守吉 氏(与那国町),菅 隆志 氏(沖縄セルラー電話)と,オンラインで参加した崎原永作 氏(与那国町診療所)

沖縄県那覇市で,関係者による説明会が行われた。
左から豊田剛一郎 氏(メドレー),外間守吉 氏(与那国町),
菅 隆志 氏(沖縄セルラー電話)と,
オンラインで参加した崎原永作 氏(与那国町診療所)

(株)メドレーは,同社のオンライン診療システム「CLINICS」を活用した実証事業が,与那国町(沖縄県)で行われることを発表した。与那国町と同町で唯一の医療機関である与那国町診療所が,新型コロナウイルス感染症が流行する中,医療体制の維持や島民の治療継続を目的に全島民1700人を対象に行うもので,メドレーと,沖縄で展開する総合通信会社の沖縄セルラー電話(株)が協力し,発熱患者のオンライン診療活用を検証する。2020年12月16日の実証事業開始に先立ち,12月9日(水)に沖縄セルラー電話社内の会議室(沖縄県那覇市)およびオンラインで記者説明会が行われた。

記者説明会では,まず与那国町町長の外間守吉氏が今回の実証事業までの経緯を説明した。外間氏は,日本最西端に位置する与那国島は人口約1700人に対し医師が1人しかおらず,医師不足が顕著な状況にあるとした上で,そこに新型コロナウイルス感染症の流行が重なったことから,医療従事者の感染防止や負担軽減,そして島民の治療継続を両立できるよう,オンライン診療に取り組むに至ったと述べた。

外間守吉 氏(与那国町)

外間守吉 氏(与那国町)

 

次に,沖縄セルラー電話代表取締役副社長の菅 隆志 氏が,実証事業の概要について説明した。今回の実証事業は,与那国町診療所にCLINICSを導入し,島民はスマートフォンにアプリをダウンロードして,発熱時にアプリを通じて問診や受診を行う。また,役場や消防署,社会福祉協議会にタブレット端末を配備し,緊急時には担当者が患者の自宅に駆けつけ,タブレット端末と診療所をつなげて受診をサポートする体制をとる。なお,タブレット端末は沖縄セルラー電話が提供する。菅氏は,「沖縄県の有人島47島のうち,診療所を有するのは19島に過ぎない。今回の成果を他島にも展開するなど,当社としても沖縄の医療課題の解決に取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

菅 隆志 氏(沖縄セルラー電話)

菅 隆志 氏(沖縄セルラー電話)

 

CLINICSを利用したオンライン診療のイメージ(通常の診療時)

CLINICSを利用したオンライン診療のイメージ(通常の診療時)

 

CLINICSを利用したオンライン診療のイメージ(緊急時)

CLINICSを利用したオンライン診療のイメージ(緊急時)

 

続いて,与那国町診療所所長の崎原永作氏が,診療所からオンラインで登壇した。与那国島では10月に初めて新型コロナウイルス感染症陽性患者が確認されたが,それ以前から,高齢者を中心に感染を恐れて受診を控えるケースが見られた。崎原氏らは,診療所前にテントを設営し,一般外来と発熱外来の動線を分けるなどの措置を行ってきたものの,島民の不安は払拭できず,同時に島で唯一の医療機関である診療所の従事者らが感染した場合,すべての医療サービスが提供できなくなる懸念を抱えつつ,診療にあたっていた。崎原氏は,これらの背景を説明した上で,今回の実証事業を通じて,オンライン診療導入により新型コロナウイルスに対する不安を払拭し,従来の医療サービスを提供できることが実証されれば,オンライン診療が沖縄の医療のスタンダードの一つになるのではないかとの期待を示した。

崎原永作 氏(与那国町診療所)

崎原永作 氏(与那国町診療所)

 

また,説明会では,メドレー代表取締役医師の豊田剛一郎氏によるオンライン診療のデモンストレーションも行われた。豊田氏は,受診までの一連の手順を示した後,オンライン診療の導入にあたり,特に高齢者にとってはアプリ導入はハードルが高いケースが多いのが現状だと述べた上で,行政などのバックアップが得られる本事業の中で,どの程度導入が進められるか実証していきたいとした。

豊田剛一郎 氏(メドレー)

豊田剛一郎 氏(メドレー)

 

今後は,島民向けオンライン診療模擬体験会が開催されるほか,各家庭に設置された防災無線やポスター,折り込み広告などで事業の周知を図っていく。なお,実証期間は2021年2月28日までを予定している。

 

●問い合わせ先
メドレー(株)
https://www.medley.jp/

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