長崎大学や日本マイクロソフトなど,関節リウマチのオンライン遠隔医療システムの実証実験を開始

2021-3-4

ヘルスケアIT


長崎大学学長の河野 茂氏(左),モニタ内は長崎県医療人材対策室長の加藤 一征氏(左上),五島市長の野口市太郎氏(右上),日本マイクロソフト執行役員最高技術責任者の榊原 彰氏(左下),五島中央病院事務部長の藤野弘幸氏(右下)(日本マイクロソフト株式会社提供)

長崎大学学長の河野 茂氏(左),モニタ内は
長崎県医療人材対策室長の加藤 一征氏(左上),
五島市長の野口市太郎氏(右上),
日本マイクロソフト執行役員最高技術責任者の
榊原 彰氏(左下),
五島中央病院事務部長の藤野弘幸氏(右下)
(日本マイクロソフト株式会社提供)

長崎大学,五島中央病院,長崎県,五島市,日本マイクロソフト(株)は2021年3月3日(水),次世代オンライン遠隔診療システムの開発・提供について連携協定を締結。関節リウマチを対象にしたオンライン遠隔医療システム「NURAS(Nagasaki University Rheumatoid Arthritis r emote m medical System:ニューラス)の実証実験を開始した。

NURASは,日本マイクロソフトの技術を用いてmixed reality(MR:複合現実)の環境を構築。大学病院にいる専門医と離島・へき地などの遠隔地にいる非専門医や患者との間で,高精度な立体映像をリアルタイムに観察しながら,高度な診療を行える(https://aka.ms/NURAS-Video)。本システムでは,立体的な動画を撮影できる「Azure Kinect DK」を遠隔地の患者の前に設置し,三次元の映像データをリアルタイムに収集。大学病院の専門医は,3Dホログラムを表示するスマートグラス「Microsoft HoloLens 2」を装着することにより,その立体的な映像をあたかも患者が目の前が関節を動かしているように観察することが可能となる。さらに,コラボレーションツールである「Microsoft Teams」を用いて,対面しながら診療を行う。3月下旬には,クラウドサービス「Microsoft Azure」の人工知能(AI)機能である「Azure Cognitive Services」を用いた,患者の表情・音声のデータから心情の評価や対話内容を文章化する機能も実装する。

五島中央病院ではAzure Kinect DK用いて患者の立体的なデータを取得(日本マイクロソフト株式会社提供)

五島中央病院ではAzure Kinect DK用いて患者の立体的なデータを取得(日本マイクロソフト株式会社提供)

 

長崎大学病院にいる専門医がMicrosoft HoloLens 2を装着して診察(写真右は3Dホログラムのイメージ)(日本マイクロソフト株式会社提供)

長崎大学病院にいる専門医がMicrosoft HoloLens 2を装着して診察(写真右は3Dホログラムのイメージ)(日本マイクロソフト株式会社提供)

 

従来の技術では,二次元の映像であったため,奥行きの情報が不足するなど関節の動作を十分に観察できない課題があった。今回,実装実験を行うNURASにより,立体的な映像での観察が可能になれば,関節リウマチ診療で重要な関節評価を高精度に行える。特に,長崎県は離島・へき地が多く,それらの地域では高齢化が進み,さらに医療資源が十分でなく,高度な診療を受けるのが困難な状況にあった。このような背景から,長崎大学では,長崎県・五島市の寄付講座である離島・へき地医療学講座を開講し,五島中央病院に離島医療研究所を設置するなど,これまでITを活用した地域医療の研究を進めてきた。オンライン遠隔医療システムは,コロナ禍にあって患者が安心して受診でき,医師の働き方改革,医療資源の充足にもつながるシステムとして期待は大きい。

実証実験が開始されたこの日,連携協定締結式と記者発表会が行われた。記者発表会には,長崎大学学長の河野 茂氏,長崎県医療人材対策室長の加藤一征氏,五島市長の野口市太郎氏、五島中央病院事務部長の藤野弘幸氏、日本マイクロソフト執行役員最高技術責任者の榊原 彰氏らが出席した。記者発表会で挨拶した河野学長は,NURASはほかの疾患にも応用できるシステムだとし,今後の展望について,オンライン遠隔医療システムの対象疾患,対象施設を増やしたいと述べた。そして,遠隔診療には多くの障壁があるが,新たな技術で乗り越え,さらに推し進めたいと強調した。

 

●問い合わせ先
日本マイクロソフト株式会社
マイクロソフト カスタマーインフォメーションセンター
TEL 0120-41-6755

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