島津製作所,PCR検査のプール検体を短時間で自動調製する「検体前処理装置Amprep」を発売
初の医療機器として,第6波を迎えた新型コロナウイルス対応への活用に期待

2022-1-7

島津製作所


記者発表会でのデモンストレーションの様子

記者発表会でのデモンストレーションの様子

(株)島津製作所は,2022年1月6日(木)にPCR検査のプール検体を自動で調製可能な「検体前処理装置Amprep」を発売した。同社は,検体からのRNA抽出・精製作業を省略可能にする同社独自のAmpdirect技術を用いた新型コロナウイルス検査試薬キットを開発。2020年11月には,体外診断用医薬品「Ampdirect 2019-nCoV検出キット」を試薬として使用することで,新型コロナウイルスの簡便かつ迅速な検出が可能な全自動リアルタイムPCR装置「遺伝子解析装置AutoAmp」を主にクリニックなどに向けて発売するなど,新型コロナウイルスの検査体制構築に貢献している。今回発売されたAmprepは,唾液や鼻咽頭拭い液などの個別検体の分注・攪拌などの前処理工程を自動化し,短時間でプール検体として調製可能な装置で,プール検体の前処理装置として医療機器登録を行った国内初の製品となる。検査従事者が検体に直接触れる機会を減らし,人為的ミスを防止するほか,AutoAmpと併せて使用することで,検体情報の管理が容易になる。発売当日には,同社の京都本社(京都市中京区)ならびにオンラインで記者発表会が開催され,装置の意義や概要が紹介されたほか,AutoAmpと連携したデモンストレーションなどが行われた。

新発売の「検体前処理装置Amprep」。省スペースでクリニックでの設置に有用。

新発売の「検体前処理装置Amprep」。
省スペースでクリニックでの設置に有用。

 

新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれて,医療機関などでのスクリーニング検査においては,作業効率やコスト面から,複数の検体を混合して同時に検査を行う検体プール法のニーズが上昇している。しかし,検体プール法は検体の分注・攪拌作業が増加するため,検体間のコンタミや検体取り違え,感染リスクの上昇といった課題が指摘されている。そこで島津製作所では,プール検体の前処理を自動で行う装置の開発に着手し,今回のAmprep発売に至った。記者発表会で登壇した同社の分析計測事業部ラボメカトロニクスビジネスユニットマネージャーの花房信博氏は,Amprep開発の経緯をこのように述べ,さらにAmprepの特長として,検体容器や分注チップをセットするだけで,最大4プール検体(1プール検体あたり最大5個別検体,計20個別検体)を35分間で同時に調製できることを挙げた。また,AutoAmpと連携して使用する場合は,調製後の検体ラックをそのままAutoAmpにセットできる上,前処理時に入力した検体情報がAutoAmp制御用ソフトウエアで取得でき,陽性時には陽性検体の特定がスムーズに行えるなど,検査業務の効率化に貢献するとした。さらに,個別検査と比較して,ランニングコストが軽減し,また処理能力が3〜5倍に増大するため,スクリーニング検査の間隔短縮が可能となる点もメリットとして述べた。なお,AmprepはAutoAmpだけでなく他社製の汎用リアルタイムPCR装置と合わせて前処理装置として使用できる。花房氏は,withコロナの時代に求められる検査として,無症状者を対象とした陰性スクリーニングにおいては,感度・特異度共に高いPCR検査によってウイルスを運ばず,広げないことが重要であるとし,Amprepの有用性に期待を示した。

花房信博 氏(分析計測事業部ラボメカトロニクスビジネスユニットマネージャー)

花房信博 氏
(分析計測事業部ラボメカトロニクスビジネスユニットマネージャー)

 

また,Amprepの開発責任者である分析計測事業部スペクトロビジネスユニット長の中川利久氏は,AmprepとAutoAmpを組み合わせてネットワーク化し,また新型コロナウイルス以外の感染症に対応する試薬を充実させることで,検査装置としてだけではなく,感染症対策のプラットフォームとしても充実させていきたいと展望を語った。

中川利久 氏(分析計測事業部スペクトロビジネスユニット長)

中川利久 氏
(分析計測事業部スペクトロビジネスユニット長)

 

●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/

島津製作所


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