JAHISが2023年新春講演会をオンラインで開催

2023-1-30

保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)


特別講演登壇の村上憲郎氏(元Google),MEDIS山本隆一理事長,JAHIS先崎心智副会長による鼎談の様子

特別講演登壇の村上憲郎氏(元Google),
MEDIS山本隆一理事長,
JAHIS先崎心智副会長による鼎談の様子

一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は,2023年1月18日(水),新春講演会をオンラインで開催した。JAHISでは年頭のイベントとして新春講演会と賀詞交換会を開催していたが,2021年から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により新春講演会のみをオンラインで開催してきた。オンラインでの開催は今年で3年連続となるが,JAHIS会長の森田隆之氏(NEC代表取締役執行役員社長兼CEO)は挨拶の中で,「今年はCOVID-19の感染がいったん収まるかに見えたが再び感染者が増加し,現在は第8波の渦中にある。感染拡大防止に継続して取り組んでいる医療従事者および関係者に感謝したい」と述べた。続けて,昨年2022年は,JAHISが提案した「診療報酬改定DX」が政府の骨太方針に盛り込まれるなど画期的な年だったと評価し,2022年10月に発足した医療DX推進本部で診療報酬改定DXタスクフォース(TF)と電子カルテ医療情報基盤TFが立ち上がり,2023年は電子処方せんやマイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)の対応が進むなど医療DXを担うさまざまな取り組みが本格化する年だと期待した。その上で森田氏は,これらの動きはJAHISが「2030ビジョン」で掲げた「健康で安心して暮らせるデータ循環型社会の実現」をさらに加速させるものであり,「データ循環型社会の前提はデータの精緻化・標準化であり,ヘルスケアDXの実現にとって不可欠だ。昨今大きな社会問題ともなっているサイバーセキュリティへの対応を含めて,JAHISとして今後ともデータ利活用の提言や啓発活動,標準化などを通して2030ビジョンの実現に取り組んでいきたい」と新年の抱負を語った。
森田会長の挨拶に続いて来賓として,厚生労働省参事官の田中彰子氏,経済産業省ヘルスケア産業課企画官の飯村康夫氏,医療情報システム開発センター(MEDIS)理事長の山本隆一氏が,年頭に当たって政策動向を含めて挨拶した。

森田隆之 JAHIS会長

森田隆之 JAHIS会長

 

新春講演会は,最初にJAHIS運営会議議長の大原通宏氏(NEC)が「2023年の年頭にあたって」と題して,JAHISの活動について2022年を振り返り,2023年の活動概要を説明した。コロナ禍が続き,またロシアによるウクライナ侵攻で世界情勢も大きく変化する中だったが,医療情報システムの売上高は2020年からわずかだが上昇に転じ,会員企業も2019年から59社が新たに加わった。JAHISとしては,診療報酬改定DXをはじめ,データヘルス改革,電子カルテの標準化などの事業に引き続き取り組んでいくと説明した。
特別講演は「最新IT動向と医療DXの展望」と題して,元Google米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役社長の村上憲郎氏が講演した。村上氏は,Society1.0(狩猟・自然物採取社会)からSociety5.0(超スマート社会)に至る社会の変化,進化の歴史を振り返り,情報社会(4.0)から超スマート社会へと進む中で,電子計算機から量子コンピュータへ,モバイルインターネットからウェアラブルデバイスへと進化している現状を紹介した。ウェアラブルデバイスでは,スマートメガネで「Google Glass」が先行したがプライバシー侵害の恐れが指摘され普及には至らなかった。しかし,村上氏はビジネス用途ではAR(augmented reality:拡張現実)はVR(virtual reality:仮想現実)よりも重要だと述べて,さまざまな製品の開発が進んでいることを紹介した。Apple社もARグラスを開発中とされているほか,コンタクトレンズにAR機能を搭載したMojo Vision社の「Mojo Lens」,メガネとコンタクトを組み合わせてAR機能を提供するInnovega社の製品,日本ではNTTドコモやKDDIが扱う「Nreal Air」などがある。また,Google社も法人向けに「Glass Enterprise Edition 2」を2021年に発売,日本ではNTTドコモが販売している。スマートウオッチではApple社の「Apple Watch」が先行しているものの,Google社もFitbit社を2300億円で買収してキャッチアップを図っており,バイタルサインの収集機能を充実させることで医療DXにも重要になっていると述べた。さらに,村上氏は次のステージとして「インプランタブル(体内埋め込み)」へ進化を挙げ,脳から機械へ直接指令を出す「BMI(Brain Machine Interface)」,機械からのフィードバックを脳に返す「BMBI(Brain Machine Brain Interface)」の研究や開発が進んでいることを紹介した。最後にこれからの医療DXの対象分野として,病院のICT化,医師間・入院患者・外来在宅患者のコミュニケーション,地域医療機関との連携が重要になるとして,その中でのICTの役割を概説した。

最後に,村上氏とMEDISの山本氏,JAHIS副会長の先崎心智氏(日本アイ・ビー・エム)の3氏による鼎談が行われ,コロナ禍における医療情報の役割,サイバーセキュリティの重要性,JAHIS2030ビジョンで示す「データ循環型社会」を実現する上での課題や今後の取り組みなどをディスカッションした。

 

●問い合わせ先
一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会
総務部
TEL 03-3506-8010
https://www.jahis.jp/

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