ビードットメディカルと江戸川病院グループ,東京都初の陽子線がん治療装置導入に向け調印式を開催

2023-4-4

放射線治療


東京都初の陽子線がん治療装置導入に向け基本契約書に調印

東京都初の陽子線がん治療装置導入に向け
基本契約書に調印

(株)ビードットメディカルと社会福祉法人仁生社江戸川病院グループは2023年4月3日(月),江戸川メディケア病院(東京都江戸川区)で東京都初となる陽子線がん治療装置の導入を含めた東京江戸川がんセンター構想実現に向けた基本契約書調印式を開催した。調印式には,社会福祉法人仁生社理事長の加藤正弘氏,江戸川病院院長の加藤正二郎氏,ビードットメディカル代表取締役社長の古川卓司氏が出席した。また,来賓として厚生労働大臣政務官の畦元将吾衆議院議員,元厚生大臣の藤本孝雄氏,江戸川区健康部部長の高原伸文氏,江戸川区議会議員の藤澤進一氏が列席し,祝辞を述べた。

加藤正弘 氏(社会福祉法人仁生社理事長)

加藤正弘 氏(社会福祉法人仁生社理事長)

 

加藤正二郎 氏(江戸川病院院長)

加藤正二郎 氏(江戸川病院院長)

 

古川卓司 氏(ビードットメディカル代表取締役社長)

古川卓司 氏(ビードットメディカル代表取締役社長)

 

江戸川病院グループでは「東京江戸川がんセンター構想」を掲げ,世界最高水準のがん治療センターをめざしている。特に,仕事や日常生活を続けながら治療が可能な放射線治療に力を入れており,強度変調放射線治療(IMRT)やMR画像誘導放射線治療を提供するほか,2023年6月からはホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の治験の開始も予定している。構想の一環として東京都で初となる陽子線がん治療装置の導入を決定し,小型陽子線がん治療装置の導入に関して,2022年12月にビードットメディカルと基本合意を締結した。2台の陽子線治療装置を設置する陽子線がん治療センターを江戸川メディケア病院敷地内に建設予定で,工期は2年半を見込んでおり,工事開始時期など具体的なスケジュールは今後決定される。

陽子線がん治療装置を提供するビードットメディカルは,2017年に設立された放射線医学総合研究所(放医研)発のベンチャー企業で,低い副作用と高い治療効果が期待される陽子線がん治療の普及をめざして研究開発に取り組んでいる。超小型陽子線がん治療装置(薬機法承認申請中)は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本医療研究開発機構(AMED)の支援の下,従来の陽子線がん治療装置の課題を解決するため,装置の小型化と低価格化,運用の最適化による稼働率向上をめざして開発された。非回転ガントリの開発により,ガントリサイズを従来装置と比べて高さ約1/3,重さ約1/10に小型化し,設置面積や建築コストの抑制を実現。また,人工知能(AI)技術を用いた自走式治療台「シャトル治療台」(位置決め室から治療室への患者搬送)とスケジュールを最適化する「AIスケジューラー」により治療室の運用を効率化し,従来の約2倍のスループットを可能にする。照射においては,呼吸同期スキャニング照射技術も使用でき,高効率に精度の高い治療を提供する。

調印式で挨拶した加藤院長は,陽子線がん治療は2022年の診療報酬改定で保険適用が拡大し,ニーズも高まっていると述べた上で,陽子線がん治療は体内深部の腫瘍をピンポイントに照射するため身体への負担が少ない治療が可能で,同院が取り組む“仕事や日常生活を送りながら治療できるがん治療”を実施できるとして,より幅広いがんに対する高度な放射線治療の提供に期待を示した。
また,古川社長は,陽子線治療の普及が進まない理由の一つが装置の大きさであることから,放医研で培った技術を用いて小型化・高性能化・効率化をコンセプトに陽子線がん治療装置を開発してきたと同社の取り組みを紹介した上で,「江戸川区のベンチャー企業として,地元の江戸川病院に最初に導入されることを嬉しく思う」と述べ,江戸川区から先端医療を発信していきたいと抱負を語った。

調印式出席者。左から畦元将吾衆議院議員,加藤正二郎院長,藤本孝雄氏(元厚生大臣),加藤正弘理事長,古川卓司代表取締役社長,高原伸文氏(江戸川区健康部部長),藤澤進一氏(江戸川区議会議員)。

調印式出席者。左から畦元将吾衆議院議員,加藤正二郎院長,藤本孝雄氏(元厚生大臣),加藤正弘理事長,古川卓司代表取締役社長,高原伸文氏(江戸川区健康部部長),藤澤進一氏(江戸川区議会議員)。

 

●問い合わせ先
(株)ビードットメディカル
 http://bdotmed.co.jp/

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