日本IVR学会が5月開催予定の第52回総会のトピックスなどを紹介するプレスセミナーを開催

2023-4-21


プレスセミナーでは,総会のトピックスなどが解説された

プレスセミナーでは,総会のトピックスなどが解説された

日本インターベンショナルラジオロジー(IVR)学会は,2023年5月18日(木)~20日(土)に開催予定の第52回日本IVR学会総会に先立ち,総会のテーマやトピックスを紹介するプレスセミナーを2023年4月20日(木)にオンラインで開催した。第52回総会は,「未来へとつづくIVR−Sustainable Development of Interventional Radiology−」をテーマに掲げ,高知県立県民文化ホール(高知県高知市)などでの現地開催とLIVE配信によるハイブリッド式で行い,一部の演題については6月13日(火)〜7月13日(木)にオンデマンド配信を予定している。「アブレーション治療のさらなる発展を目指して」や「近未来IVR」,「未来へとつづくIVRを目指して−他科とのコラボレーション−」などのシンポジウムのほか,市民公開講座「女性のためのIVR」などの企画が予定されている。プレスセミナーでは,同学会広報・渉外委員会委員長の掛田伸吾氏(弘前大学大学院医学研究科放射線診断学講座教授)の司会の下,第52回総会のトピックスやその背景などについて解説が行われた。

まず,同学会理事長の山門亨一郎氏(兵庫医科大学病院放射線科主任教授)が学会の活動について紹介した。山門氏は,血栓塞栓物質や静脈ステント,椎体骨折に対するセメント注入やラジオ波焼灼術など,同学会の主導で保険収載・薬機承認された有用な手技が多くある半面,一般には「IVR(インターベンショナルラジオロジー)」という言葉があまり知られていないことを課題として挙げ,今後も新たな手技の導入・普及に務め,国民の健康福祉に貢献していくとともに,IVRについての理解を広めていきたいとした。

次に,第52回総会の大会長を務める山上卓士氏(高知大学医学部放射線診断・IVR学講座教授)が,総会のテーマやポイントについて紹介した。山上氏は,総会の注目ポイントとして,各シンポジウムのほか,「脊椎(骨粗鬆症,椎間板ヘルニアなど)」,「緩和IVR」,「ステントグラフト(血管損傷)」などの特別企画と連動した要望演題,SIRAP-APSCVIR Joint Seminarなどを挙げ,「脱コロナ後最初のIVR総会であり,できるだけ多くの人に現地に足を運んでほしい」と述べた。

続いて,市民公開講座のテーマである「女性のためのIVR」について,公開講座の演者を務める小野澤志郎氏(杏林大学医学部付属病院放射線科講師)と大須賀慶悟氏(大阪医科薬科大学放射線診断学教室教授)がそれぞれ解説した。まず,小野澤氏が「女性のためのIVR−カテーテル治療と産科出血について−」と題して,産科危機的出血に対するIVRについて解説した。出産時出血への対応として,輸血や子宮内バルーン,手術(結紮や子宮摘出術)などがあるが,IVRによる塞栓術は子宮を失わずに止血が可能な「最後の手段」である。小野澤氏は,日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会など関連学会が策定する「産科危機的出血への対応指針」の2022年の改訂版から日本IVR学会が加わり,また,「産科危機的出血に対するIVR施行医のためのガイドライン2017」を学会独自に公表するなど,同領域への学会の取り組みについて紹介した。

次に,大須賀氏が子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(Uterine Artery Embolization:UAE)について解説した。子宮動脈塞栓術は,子宮動脈に挿入したカテーテルにより球状塞栓物質(ビーズ)を注入して筋腫の血流を遮断し,筋腫を壊死させる治療で,局所麻酔で治療が可能で入院期間が短く,社会復帰が早いなどのメリットがある。保険診療として認められており,「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020」(日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会編)では,妊孕性温存の希望や必要がない場合の子宮筋腫に対し,手術の代替治療として子宮動脈塞栓術を行うことが推奨されている(推奨レベルC)。しかし,IVR医と産婦人科医のコミュニケーション不足や患者・家族に対する情報不足などから,国内での施行例は少ないのが現状である。大須賀氏は,これらの背景をまとめた上で,子宮動脈塞栓術の啓発に対する日本IVR学会の活動などを説明した。

また,4月20日(木)から開催されている第31回日本医学会総会2023東京での関連企画などについても紹介された。

 

●問い合わせ先
一般社団法人日本インターベンショナルラジオロジー学会(日本IVR学会)
https://www.jsir.or.jp/

第52回日本IVR学会総会
https://med-gakkai.jp/jsir2023/


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