ニプロ,「和ごころをもった真のグローバル総合医療メーカー」をめざす事業戦略を発表
脳血管内OCTイメージング技術など革新的医療技術の強みを生かして海外市場展開のさらなる拡大を図る
2025-12-1
山崎剛司 代表取締役社長
ニプロ(株)は,透析,バスキュラー,再生医療,医薬品の事業領域で革新的医療技術の強みを生かし,海外市場展開のさらなる拡大を図ることで持続的な成長を実現して,「和ごころをもった 真のグローバル総合医療メーカー」をめざす。2025年11月28日(金)にJPタワーホール&コンファレンス(東京都千代田区)で開催した記者懇談会において,山崎剛司代表取締役社長は事業戦略を発表した。
山崎社長は2025年6月に就任。その下で業務効率化を図る専門部署の設置や海外の地域本社機能の強化といった新体制の構築。2030年度の売上高1兆円を目標に掲げて,海外売上高比率を現在の51%から60%に引き上げるとしている。主力事業である透析,バスキュラー,再生医療,医薬品の各分野において,国や地域における医療の課題を解決する取り組みを進める。
海外市場展開の拡大により2030年度の目標売上高は1兆円
透析については,今後ダイアライザなどの市場の拡大を見込んでおり,新興国などでの自社透析センターの設置を進めるほか,医療従事者向け教育訓練施設の整備を進める。また,バスキュラーでは,患者の負担を軽減するステントレス治療の強化を図っており,治療件数を伸ばしている。加えて,脳血管を内部から可視化する光干渉断層撮影技術「Spryte nOCTイメージング」の開発を進めており,早期実用化に取り組む。
開発を進める光干渉断層撮影技術「Spryte nOCTイメージング」
さらに,再生医療に関しては,脊髄損傷治療向けに,間葉系幹細胞の培養技術を用いた「ステミラック注」が2018年に条件付き承認を取得。2025年11月には本承認申請を行った。
間葉系幹細胞の培養技術を用いた「ステミラック注」
一方,医薬品については,滋賀県に新設した近江工場において,抗菌薬の安定供給のために抗菌薬注射剤の製造を開始。2028年からはワクチン開発・生産も行う予定としている。このほかにも,医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。業務を効率化するための医療機器データ通信サポートシステム「HN LINE」,遠隔診療支援システム「ハートライン」,透析情報管理システム「DiaCom」「NephroFlow」を展開して,マンパワー不足や医療資源の偏在化などの課題解決に寄与する。
山崎社長は,これらを説明した上で,「和ごころをもった真のグローバル総合医療メーカー」をめざすことをアピールした。
●問い合わせ先
ニプロ株式会社
https://www.nipro.co.jp
