島津製作所が「第103回レントゲン祭・記念講演会」を開催

2026-2-12

島津製作所


2026年で103回目の開催となるレントゲン祭

2026年で103回目の開催となるレントゲン祭

(株)島津製作所は2026年2月10日(火),本社大ホール(京都市中京区)において,「第103回レントゲン祭・記念講演会」を開催した。レントゲン祭・記念講演会は1985年にX線を発見したヴィルヘルム・レントゲン博士の功績をたたえるとともに遺徳をしのび,その精神を未来へ継承する目的で博士没後の1924年に始まり,今年で103回を数える。
冒頭,常務執行役員・医用機器事業部長の園木清人氏が登壇。式辞として,同社におけるX線画像診断装置の歩みを説明した上で,医療現場の負担軽減と安全性向上に資する2つの技術を紹介した。1つ目の技術として,血管撮影装置の高度化を挙げ,「Trinias series with SCORE Opera」向けの音声認識機能「SMART Voice」について取り上げた。同機能はステント強調処理などの操作が音声コマンドで可能なほか,2025年にはアップデートを行い,Cアームの変更準備操作も可能になった。このSMART Voiceにより術者の操作負担を軽減し,医師の働き方改革が進む中で,検査効率の向上と労働時間の短縮に寄与する。

園木清人 氏(常務執行役員・医用機器事業部長)

園木清人 氏(常務執行役員・医用機器事業部長)

 

Trinias series with SCORE Operaを音声コマンドで操作するSMART Voice機能により医師の負担を軽減

Trinias series with SCORE Operaを音声コマンドで操作するSMART Voice機能により医師の負担を軽減

 

さらに,2つ目の技術として,回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX9 Version」のコリメータ部に配置されたセカンドモニタと3Dカメラ(オプション)によるポジショニング支援機能を紹介した。この技術により,再撮影の削減と被ばくの低減が図れる。また,AIを用いた「Smart DSI」(オプション)により,体内残存物やチューブ類を強調表示でき,医療安全に貢献する。最後に園木氏は,これからも付加価値を創出し,医師,診療放射線技師,患者の負担を軽減する製品の開発をめざすと述べた。

MobileDaRt Evolution MX9 Versionのセカンドモニタと3Dカメラ(オプション)によるポジショニング支援機能で検査業務を効率化

MobileDaRt Evolution MX9 Versionのセカンドモニタと3Dカメラ(オプション)によるポジショニング支援機能で検査業務を効率化

 

続いて,代表取締役社長の山本靖則氏が祭詞を捧げた。X線発見が医学を飛躍的に発展させたと述べた上で,特許を取得しなかったレントゲン博士の人柄に触れ,追慕の言葉を述べた後,献花を行った。

代表取締役社長の山本靖則氏が祭詞を捧げた後に祭壇に献花

代表取締役社長の山本靖則氏が祭詞を捧げた後に祭壇に献花

 

式典後,記念講演会へと進み,東京慈恵会医科大学放射線医学講座の講座担当教授である尾尻博也氏が,「放射線医学エトセトラ」と題した講演を行った。まずレントゲン博士の功績について取り上げ,X線発見からわずか1年で多数の医学論文が発表され,医療への応用が急速に進んだ歴史を振り返った。また,博士の人物像についても資料に基づき紹介した。さらに,尾尻氏の講演は,放射線医学の歩みへと進み,今日の医療において重要な役割を持つ画像診断装置や造影剤について解説した。CTは1970年代に登場して以来,ヘリカル化,マルチスライス化,デュアルエナジー化など継続的な技術革新を経て,現在も進化を続けていると詳説。MRIに関しては,高磁場化や高速撮像法の開発といった歴史を取り上げた。さらに,血管撮影は,セルジンガー法が70年以上経った現在も基本手技として用いられていることなどを説明した。

尾尻博也 氏(東京慈恵会医科大学)

尾尻博也 氏(東京慈恵会医科大学)

 

さらに,尾尻氏は日本の放射線医学の現状についても言及した。日本における診断・治療・IVRの専門医制度を説明したほか,検査件数・読影件数の増加による人手不足や業務負担増大が課題となっている現状を指摘。その課題解決に寄与するAIについては,画質向上や検査の自動化といった技術の実装が進んでおり,支援技術として発展していると分析した。また,医師の業務負担軽減については,診療放射線技師のタスク・シフト/シェアを取り上げて,STAT画像所見報告の概要を説明した。
尾尻氏は,東京慈恵会医科大学における取り組みも紹介し,研究成果も取り上げた。さらに,大学病院などで表面化している画像診断報告書の見落としの問題についても言及。画像診断報告書は臨床医に伝わってこそ価値があると述べ,所見の羅列ではなく診療方針に結びつく記載の重要性を説明したほか,同大学における見落とし防止の取り組みも解説した。レントゲン博士の業績から放射線医学の歩み,日本の現状と課題,同大学の取り組みなど,放射線医学の過去,現在,未来を網羅的に展望した尾尻氏は講演後,会場の参加者から大きな拍手を受けて降壇した。
2025年に創業150周年を迎えた島津製作所にとって,X線撮影装置とその関連技術は礎を築いた特別な存在である。同社はこれからもレントゲン博士の精神を未来へ継承し,医学のさらなる発展に貢献していくだろう。

 

●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.med.shimadzu.co.jp/

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