アボットメディカルジャパン,日本初の経皮的三尖弁接合不全修復システム「TriClipシステム」上市に伴うプレスセミナーを開催
三尖弁閉鎖不全症においてカテーテル治療が低侵襲な治療選択肢として加わる

2026-3-25


2026年3月に上市された「TriClipシステム」

2026年3月に上市された「TriClipシステム」

アボットメディカルジャパン(同)は,2026年3月18日(水)にプレスセミナー「三尖弁閉鎖不全症治療の新時代:TriClipの登場と今後の展望」をステーションコンファレンス東京(東京都千代田区)で開催した。TriClipは日本初の経皮的三尖弁接合不全修復システムで,2018年に上市された同社の経皮的僧帽弁接合不全修復「MitraClip」の技術を基盤としている。2020年に初代TriClipが欧州のCEマーク認証を取得以降,欧米やカナダを含む50か国以上で使用され,1万5000件以上の症例実績がある。しかし,国内では未承認であったため,高齢や併存疾患などの理由により外科的手術が適さない場合,薬物療法が唯一の選択肢となっていた。今回,TriClipが2025年7月に製造販売承認を取得,2026年3月1日(日)に上市されたことで,国内でも三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)に対するカテーテル治療による低侵襲な治療選択肢が提供されることになる。プレスセミナーでは,三尖弁閉鎖不全症の臨床経過や従来の治療法,TriClipがもたらす効果への期待などが紹介された。

セミナーでは,同社執行役員/ストラクチュラルハート事業部事業部長の佐々木昭氏の挨拶の後,富山大学第二内科教授/循環器内科・腎高血圧内科科長/日本心不全学会理事長の絹川弘一郎氏が「三尖弁閉鎖不全症と心不全:低侵襲治療が必要とされる背景」と題して講演を行った。三尖弁閉鎖不全症は弁尖自体の内因性変化による一次性,右心房,右心室の拡大や機能不全に伴う二次性,植え込み型心臓電気デバイスに関連して発症するものがある。息切れや末梢性浮腫などの症状のほか,体静脈系のうっ血に伴う肝機能障害や腎不全など多臓器でのダメージが積み重なり,入院時にはすでに高齢であったり併存疾患が存在するケースが多く,三尖弁単独の外科手術はリスクが高いことから,治療選択肢が限られているのが現状であった。絹川氏はこれらの背景を解説した上で,TriClipはアンメットニーズを満たす新たな治療オプションとなると述べた。

佐々木昭 氏(同社執行役員ストラクチュラルハート事業部事業部長)

佐々木昭 氏(同社執行役員ストラクチュラルハート事業部事業部長)

 

絹川弘一郎 氏(富山大学/日本心不全学会理事長)

絹川弘一郎 氏(富山大学/日本心不全学会理事長)

 

続いて,国立循環器病研究センター心不全部・移植部門医長の天木 誠氏が「心不全の治療に新たな選択肢 三尖弁へのカテーテル治療がもたらす恩恵と期待」と題して,三尖弁閉鎖不全治療が置かれている現状を背景に,TriClip治療がもたらす効果について解説した。天木氏は,TriClip治療12か月時の心不全患者QOL(KCCQ)や心不全入院率の改善効果(国内臨床試験:AMJ-504 study)や治療2年目の心不全入院を28%低下(薬物療法との比較,TRILUMINATEピボタル試験)などの結果を踏まえ,TriClipを用いたカテーテル治療の特長として,(1)経静脈アプローチのため安全性が高い,(2)低侵襲で1週間弱で退院が可能,(3)QOL改善や心不全抑制効果がある,(4)自己心拍下で正確な効果判定や修正が可能,(5)造影剤を使用しないため慢性腎臓病(CKD)や透析患者でも可能,などの点を挙げた。また,国内での市販後初症例の所見や手技画像,治療経過を紹介した。一方で,三尖弁閉鎖不全症は診断が難しく,未治療で経過している重症弁膜症患者が多いことを指摘し,集団検診やかかりつけ医で弁膜症疑いを発見し,循環器専門クリニック・病院での診断につなげることが重要であるとした。

天木 誠 氏(国立循環器病研究センター)

天木 誠 氏(国立循環器病研究センター)

 

クリップで弁尖を止めることで血液の逆流軽減を図る。4種類のクリップサイズを展開し,複雑な解剖に対応が可能である。

クリップで弁尖を止めることで血液の逆流軽減を図る。4種類のクリップサイズを展開し,複雑な解剖に対応が可能である。

 

●問い合わせ先
アボットメディカルジャパン
www.abbott.co.jp


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