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    スピードとクオリティで脳血管内治療に革新をもたらすARTIS icono D-Spinワンストップ脳卒中マネジメントの可能性を秘めた最新血管撮影装置のインパクト

    2019-12-27

    ARTIS icono D-Spin

    シーメンスヘルスケアは2019年11月19日(火),新型血管撮影装置「ARTIS icono D-Spin(以下,ARTIS icono)」を発表。同日から販売を開始した。その2日後の21日(木)には,福岡国際会議場・福岡サンパレス(福岡県福岡市)で開催された第35回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会で新製品お披露目会を行い,学会参加者に向けて盛大にPRした。脳卒中などの脳血管内治療において,血管撮影装置にはスピード(時間短縮)とクオリティ(画質)が求められる。この2つのファクターを高い次元で実現したARTIS iconoは,脳血管内治療にどのような革新をもたらすのか。新製品お披露目会を取材したほか,Siemens Healthcare GmbHのインターベンション部門マーケティング責任者であるPhilip Stenner氏(Director Global Marketing Interventional Radiology)にインタビューし,その最先端の技術を確かめた。

    スピードとクオリティを主眼において開発されたARTIS icono

    新製品お披露目会には,同社共催のランチョンセミナーのために来日したRené Chapot氏(Head of Department of Neuroradiology and Endovascular Therapy Alfried Krupp Hospital, Essen, Germany)も参加。ARTIS iconoの実力を高く評価した。脳血管内治療において欧州でも有数の実績を持つChapot氏は,先行してARTIS iconoで手技を行ってきた。新製品お披露目会でスピーチしたChapot氏は,使用経験を踏まえ,「約1年間,ARTIS iconoでインターベンションを施行してきましたが,最も重要な画質も非常に良く,また操作性も優れており,正確な手技につながっています。さらに,急性期脳卒中治療のカギを握る診断から治療に至るワークフローも大幅な時間短縮ができています」とメリットをアピール。さらに,「私たちの施設は,ARTIS iconoのほかに,従来の血管撮影装置を併用していますが,両者を使ってみると,ARTIS iconoの良さが際立っています」と言葉を並べた。
    Chapot氏のスピーチのとおり,ARTIS iconoは,脳血管内治療をメインターゲットとして,スピードとクオリティを主眼に置いて開発されている。これまでのバイプレーンシステムとは一線を画す,Siemens Healthineersらしい斬新なギミックを採用したアームなどにより,ワークフローのスピードアップが図られるとともに,従来装置を超える高画質を実現した。

    ARTIS iconoを高評価するRené Chapot氏

    ARTIS iconoを高評価するRené Chapot氏

       

     

    スピード
    撮影時間を短縮し,ワークフローを改善

    1.バイプレーンセッティングのまま3D撮影を可能にした“Twin Spin”
    従来のバイプレーンシステムは,2D撮影から3D撮影に切り替える際に側面アームを退避させなければならなかった。一方,ARTIS iconoは,高速・広範囲回転が可能な側面アームを搭載。側面アームが正面アームの動きに追従することで,バイプレーンセッティングのままで3D撮影を可能にした。このTwin Spinによって撮影準備時間を短縮でき,早期の治療に結び付けることができる。加えて,側面アームと正面アームで同時に透視を行うことで,3D撮影前の関心領域の位置合わせも効率化。さらに,側面アームと周辺機器の干渉を防げる。

    Twin Spinによりワークフローが飛躍的に向上

    Twin Spinによりワークフローが飛躍的に向上

     

    2.3D撮影の時間を短縮する“syngo DynaCT High Speed”
    ARTIS iconoは,従来のArtisシリーズよりも3D撮影の時間を大幅に短縮するsyngo DynaCT High Speedを搭載した。頭蓋内のステントを撮影する場合,従来のsyngo DynaCTでは,高精細モードで20秒程度の時間を要していた。対して,syngo DynaCT High Speedは同等以上の高画質を実現しながら,約2.5倍の高速化となる約8秒で撮影完了できる。

    クオリティ
    治療精度向上に寄与する高画質と機能画像

    1.CTライクイメージングのアーチファクトを大幅に軽減する“syngo DynaCT Sine Spin”
    一般的なCTライクイメージングでは,アームを一定した軌道で左右に回転させて撮影していた。ARTIS iconoに搭載されたsyngo DynaCT Sine Spinでは,それに加えて頭尾方向に10°の傾斜をかける二重軌道回転機構での撮影を行い,多方向からデータを取得。従来装置で発生していたアーチファクトを大幅に低減し,骨構造近傍の出血なども明瞭に描出できる。

    2.血流評価を可能にする“syngo DynaCT Multiphase”
    ARTIS iconoに搭載されたsyngo DynaCT Multiphaseは,10回の回転撮影を繰り返すことで,従来装置はできなかった時間軸情報を取得できる。さらに,“RAPID”(iSchemaView社)を用いて,脳血流量(CBF),脳血液量(CBV),平均通過時間(MTT)などの機能画像を得られるようになった。これにより,血管撮影室内で検査後すぐに解析を行え,速やかに治療に移行できる。

    線量の最適化や装置の稼働率向上にも寄与

    スピードとクオリティを高次元で実現したARTIS iconoだが,さらに適正線量での検査・治療を可能にしている。新開発の“OPTIQ”は,事前に画質を設定することで,患者の体厚などに応じて装置が自動的に線量を制御。無駄な被ばくを抑えて,安定して高画質データを得られるようになった。
    また,ARTIS iconoは,循環器や腹部インターベンションにも対応する。“Lateral Plane Switch”では,従来固定されていた側面アームのX線管とFDの左右方向をワンボタンで変更可能。さらに,“Lateral Plane syngo DynaCT”により,側面アームを用いて天井懸垂式シングルプレーンシステムとして使える。この独自技術によって,複数の診療科での共用も可能となり,装置の稼働率向上など医療機関経営にも貢献する。

    ワンストップ脳卒中マネジメントの可能性を秘めたARTIS icono

    高齢化や生活習慣の変化により,先進国を中心に脳卒中患者が増えている。日本も例外ではなく,2017年の厚生労働省の統計では,患者数110万人以上,年間死亡者数は約11万人となっている。この現状を踏まえ,2019年12月1日には治療体制の整備などを目的に,「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(脳卒中・循環器病対策基本法)」が施行された。一方で,新たな治療用デバイスの登場などにより,脳卒中の治療は大きく進歩している。「脳卒中ガイドライン2015[追補2019]」では,血栓回収療法の適応が拡大。従来の発症後6〜8時間以内から最終健常確認後24時間以内へと改訂された。
    このように脳卒中は,早期診断・治療が重要であり,血管撮影装置に求められる役割は大きい。すでにドイツのゲッティンゲン大学では,従来の標準的なワークフローであったCTやMRIを省略して,血管撮影装置だけで診断・治療を行うことで,30分以上の時間短縮を図り,予後を10%以上向上させている。今後,ARTIS iconoによりワンストップ脳卒中マネジメントが実現すれば,患者に大きな恩恵をもたらすと期待される。
    *Siemens Healthineersの資料より抜粋

    新製品お披露目会
    新製品お披露目会

     

    Interview

    ARTIS iconoは脳卒中治療の未来を手に入れる装置
    日本のユーザーの声を形にした最新血管撮影装置で,より多くの脳卒中患者に恩恵を
    Dr. Philip Stenner Director Global Marketing Interventional Radiology, Siemens Healthcare GmbH

    ARTIS iconoの発表に合わせて来日したインターベンション部門マーケティング責任者のPhilip Stenner氏に,装置開発のねらいや日本市場での展開についてインタビューした。

    Dr. Philip Stenner Director Global Marketing Interventional Radiology, Siemens Healthcare GmbH

     

    もっと多くの医療機関に血管撮影装置を届けたい

    ─ 脳卒中治療の現状についてお聞かせください。
    Philip氏:今,脳卒中治療を取り巻く環境も大きく変化しています。血栓回収療法など新たな治療法が確立されたことで,脳血管内治療の適用となる患者も増えており,治療数も伸びています。一方で,血栓回収療法をすべき患者がいるのに,治療を提供できていないという事実もあります。だからこそ,私たちは,もっと多くの医療機関に血管撮影装置を届けたいと考えています。

    Siemens Healthineers独自の技術を投入

    ─ そのような状況で発表したARTIS iconoの開発コンセプトは何でしょうか。
    Philip氏:私たちが重視したのは,「最も早く治療を行えること」と「最もきれいな画質を得られること」の2つです。血栓回収療法などの脳血管内治療は,時間との勝負です。私たちは,時間短縮のために,最大限の努力をしました。ARTIS iconoには,高次元のスピードとクオリティを実現するためにSiemens Healthineers独自の新しい技術を数多く投入しています。私たちにとっては,大きなチャレンジでしたが,それを克服することで新たな価値を提供できると考え,研究開発を進めました。

    日本のユーザーにとってわが子のような装置

    ─ ARTIS iconoの位置づけと日本国内での販売についてお聞かせください。
    Philip氏:ARTIS iconoは,最高の操作性と画質を提供するハイエンド装置です。日本は血管撮影装置の市場において世界のトップスリーに入る規模であるだけに,私たちは日本のユーザーの声を重視しています。ARTIS iconoの開発に当たっても,10年ほど前から定期的に開催しているアドバイザリーミーティングなどで寄せられた要望に耳を傾け,それに応えることに注力しました。ですから,ARTIS iconoは,日本のユーザーにとって,わが子のような装置になると思います。

    ─ 日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
    Philip氏:ARTIS iconoは,脳血管内治療の未来を手に入れることができる装置です。多くの施設での活躍することを期待しています。

     

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