技術解説(AZE)

2015年8月号

Women's Imaging 2015 最新技術[Breast Imaging]

MRI Breast image analysis 〜ADCヒストグラムとワークフロー〜

MRIでの乳腺領域における診断法は,すでにさまざまな知見が得られ,レポーティングにおいても規格化された手法(BI-RADS:Breast Imaging Reporting and Data System)が提案されています。本稿では,MRI領域で撮像されるデータを用いたさまざまな解析法と,それらを取り巻く環境の改善について報告します。

●ADCヒストグラム解析“DWI解析ソフトウェア”

乳腺MRIにおいては拡散強調画像(DWI)および拡散係数画像(ADC map)を利用した読影が実施されることが多くあります。これらの画像は単位容積あたりの細胞密度によって信号値が変化するとされ,近年では治療効果判定のためにADC値の推移を比較し,評価する方法も検討されています。DWI解析ソフトウェアは,複数の異なるb値において撮像されたDWIデータを解析することでADC mapを作成することが可能です。ADC mapにおける腫瘍領域の抽出では,DWIでの高信号領域を利用することも可能です。抽出領域におけるヒストグラムを比較するに当たっては,信号分布の平均値および標準偏差値,尖度・歪度を利用すると理解が容易です。図1のデータでは腫瘍全体の容積の変化は少ないですが,歪度がプラスからマイナスへと推移しており,全体的にADC値が高値へ推移していることがわかります。

図1 治療前後におけるADC値ヒストグラムの推移

図1 治療前後におけるADC値ヒストグラムの推移
a:DWIにおいて高信号値であった乳がん領域を抽出
b上:治療前ヒストグラム b下:治療後ヒストグラム

 

●フルオートワークフロー

本解析ソフトウェアは,現在では画像解析ソフトウェアのような特殊な装置上で行われることがあり,撮像直後に読影を開始する際にワークフローを停止させてしまう懸念がありました。この問題に対し,われわれはサーバーが持つ自動前処理機能を応用し,DWIからADC mapの出力を,操作を介さずに自動で行うことを可能にしています。これにより,撮像直後からこのような解析をPACSビューア上で迅速かつ容易に実施することが可能になりました。

 

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