セミナーレポート(キヤノンメディカルシステムズ)

2026年3月号

JDDW 2025 KOBE ランチョンセミナー54 胆膵内視鏡診断・治療を究める ─ Ultimax-i をどう上手に使いこなすか─

〈講演1〉ERCP

淺田 全範(大阪赤十字病院消化器内科)

淺田 全範(大阪赤十字病院消化器内科)

大阪赤十字病院は、2012年にキヤノンメディカルシステムズ社のCアームX線TVシステム「Ultimax-i」を導入し、年間600件前後の内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行っている(2024年時点)。2025年1月には最新型のUltimax-iを追加導入し、2室目の透視室が稼働した。本講演では、Ultimax-iを活用したERCPにおける被ばく線量低減の取り組みや臨床例を紹介する。

胆膵内視鏡医がX線TVシステムに求めること

われわれ胆膵内視鏡医がX線TVシステムに求めることは、第一にガイドワイヤなどのデバイスの動きが明瞭に確認可能な高画質・高精細な透視画像である。また、操作性の良さ、低線量で放射線被ばくが少ない、透視画像・内視鏡画像に加え放射線画像を大画面モニタに集約できる、装置がコンパクトで広いワーキングスペースを確保できる、などの点も重要である。
当院では、2012年のUltimax-i導入後、ERCP件数が増加したものの、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-TA)やバルーン内視鏡なども一つの透視室で行っていた。そのため、緊急処置への対応の必要性などから透視室の増設が検討され、2025年1月に最新型のUltimax-iを設置した新たな透視室が稼働した。
新たな透視室は、キヤノン社とオリンパス社が連携提案した内視鏡透視室で、Ultimax-iを取り囲むように大画面モニタや天井吊り下げ型内視鏡システム、処置具台、生体情報モニターなどを配置し、医師2名(術者と助手)、看護師2名、臨床工学技士1名で処置を行っている。従来の回復室を改修したが、Ultimax-iはコンパクト設計で壁につけて設置が可能なため、十分なワーキングスペースを確保できた(図1)

図1 キヤノン社とオリンパス社が連携して提案し、ワーキングスペースを確保した透視室(2025年1月稼働)

図1 キヤノン社とオリンパス社が連携して提案し、ワーキングスペースを確保した透視室
(2025年1月稼働)

 

被ばく線量低減の取り組み

当院ではUltimax-iを水晶体被ばく低減を意識してアンダーチューブで運用するとともに、放射線防護用カーテンや衝立も設置し、平面検出器(FPD)を患者にできるだけ近づけて防護衝立-FPD間の隙間を狭くすることで散乱線を低減している。また、看護師の被ばく防止のため、患者の頭側にも防護用カーテンと衝立を設置している。
2021年に電離放射線障害防止規則が改正され、放射線業務従事者の水晶体に受ける等価線量限度が引き下げられたことと、「日本の診断参考レベル(2025年版)」(Japan DRLs 2025)が公開されたこともあり、当院では放射線防護用ガウンやネックカラー、ゴーグルを着用して被ばく低減に努めている。当院のERCP関連処置では、線量60.1mGy(中央値)、透視時間9.2分(中央値)で、いずれもDRLs2025の基準を満たしているが、中には数値が大きいケースが見られたことから(図2)、線量を低減するよう設定した結果、全体的に線量が低減、数値の大きい検査も大幅に減少した。しかし、依然として検査時間が長く、線量が高いケースもあり、今後はパルス透視レートの半減(15fps→7.5fps)や曝射回数の削減に取り組んでいきたい。

図2 DRLs2025と比較して低い線量で検査できている当院の線量プロット(1検査あたりの総線量と透視時間)

図2 DRLs2025と比較して低い線量で検査できている当院の線量プロット
(1検査あたりの総線量と透視時間)

 

高画質・低線量を実現するUltimax-i

新たに導入した最新型Ultimax-iは、リアルタイム画像処理技術と低線量検査を目的としたハードとソフトの改良により、高画質を維持しつつ従来より65%被ばくを低減する高画質・低線量検査コンセプト「octave SP」によって、さらなる線量低減が可能である。加えて、新しい画像処理条件「Accent」により視認性が向上し、透視下で視認性が劣るデバイスでも明瞭に確認可能な点も特長で、胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)症例の術前マッピング生検では細い生検鉗子も視認しやすかった(図3)
また、Ultimax-iのCアームを回転することで肝門部胆管や肝内胆管の分岐形態が容易に確認できる。

図3 胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の胆道鏡下マッピング生検生検鉗子(←)

図3 胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の胆道鏡下マッピング生検生検鉗子(

 

大画面モニタの活用

今回の新装置の導入に関しては、内視鏡室を熟知しているオリンパス社コーディネートのもと、内視鏡画像や透視画像など複数の画像情報を瞬時に把握できる大画面モニタを採用した。すべての画像情報が大画面に集約され、例えばERCPでは内視鏡画像に加え透視ライブ画像とリファレンス画像、MRやCT画像を表示し、Interventional EUSではEUS画像と透視ライブ画像を並べて表示するなどして、少ない視線移動で各画像や生体情報を確認できる。この大画面モニタはオリンパス社製で、通常の内視鏡装置のモニタとまったく同じ色味の内視鏡画像を表示することができることはもちろん、キヤノン社とオリンパス社が連携したことでUltimax-iの透視画像もオリンパス社の内視鏡画像も同時に適切な画質で表示することのできるモニタとなっており、内視鏡処置を大変行いやすくなったと感じている。

Ultimax-iを用いた症例の提示

●症例1:B8が胆囊管に合流する破格(76歳、男性)(図4、5)
心窩部痛を訴えて近医を受診し、急性胆囊炎の疑いで当院に紹介された。腹部単純CTで胆囊管内に高吸収な結石が確認され、胆囊炎の原因と考えられたが、造影CTでは胆囊腫大に加えて、前区域の区域性胆管炎と胆管(B8)拡張が認められた。また、MRCPではB8が胆囊管に直接合流する破格が確認され、合流部に結石が存在した。PTGBDルートからの造影でも、合流部に陰影欠損像として結石が確認された(図4)
その後のERCPでは総胆管にも複数の結石が存在したが、B8・胆囊管合流部に結石はなく、三管合流部付近に落下していることが確認された。そこで、ESTを行い、バスケットカテーテルで結石を除去した。
ディスポーザブルガイドワイヤ(VisiGlide 2、オリンパス社)をB8へ留置した後に、uneven double lumen cannulaを用いてガイドワイヤを胆囊へ進めることができた(図5)。この後、胆囊にダブルピッグステント(6Fr、12cm)、B8にストレートステント(7Fr、10cm)を留置した。

図4 症例1:B8が胆囊管に合流する破格 合流部に結石を認める。

図4 症例1:B8が胆囊管に合流する破格
合流部に結石を認める。

 

図5 症例1:B8が胆囊管に合流する破格 ラジフォーカス(“35←)で胆囊管をシーキング

図5 症例1:B8が胆囊管に合流する破格
ラジフォーカス(“35)で胆囊管をシーキング

 

●症例2:IPNB症例(43歳、女性)(図6)
人間ドックで胆囊腫瘍が疑われたが、当院での腹部エコーでは著しく拡張した総胆管内に乳頭状の隆起性病変を認めた。MRCPでは囊状に拡張した総胆管に隆起性病変を認めたほか、膵・胆管合流異常が疑われた。EUSでは囊状に拡張した総胆管が主膵管に合流しており、遠位胆管に乳頭状腫瘍を認めた。
後日のERCPでも主膵管に総胆管が合流するC-P typeの合流異常が明らかとなった。胆管造影では総胆管は囊状に拡張しており、遠位胆管に乳頭状の隆起性病変が描出されたことから、戸谷分類IA型の先天性胆道拡張症を背景に発症した2型IPNBと診断した。
内視鏡用イントロデューサーを用いて主病変のほか肝門部胆管のマッピング生検を行った。その後、Accent適用下で膵管ステントとENBDチューブ(5Fr)の留置を行った(図6)

図6 症例2:膵管ステントとENBDチューブ(5Fr)の留置 Accent適用下では、膵管ステント(←)、ENBDチューブ(←)の視認性が向上

図6 症例2:膵管ステントとENBDチューブ(5Fr)の留置
Accent適用下では、膵管ステント()、ENBDチューブ()の視認性が向上

 

●症例3:術後再建腸管の総胆管結石症例(88歳、男性)(図7)
バルーン内視鏡による総胆管結石治療を試みたが、retroflex positionが取りづらく、乳頭が接線方向になりカニュレーションが困難であったため回転式パピロトームを用いて胆管挿管を行った。胆管造影で総胆管内に結石が陰影欠損像として確認できた。
腸管ガスが多い部位はX線透過量が多いため「白飛び」して見えづらいことがあるが、Ultimax-iは同一画像内の濃淡差をリアルタイムで補正でき、明瞭な透視画像が得られる。EPLBD後に、バスケットカテーテルで結石を除去した(図7)

図7 症例3:バルーンでの乳頭拡張 ←のノッチが明瞭に視認できる。

図7 症例3:バルーンでの乳頭拡張
のノッチが明瞭に視認できる。

 

まとめ

被ばく低減のため、高画質かつ低線量なシステムが求められている。Cアームは患者を動かすことなく見たい角度から胆管や膵管を観察可能である。さらに大画面モニタに複数の画像と生体情報を集約することで、手技中の術者の視線移動が少なく、ストレス軽減につながり、より安全な検査が行える。

*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。

一般的名称:据置型デジタル式汎用X線透視診断装置
販売名:多目的デジタルX線TVシステムUltimax-i DREX-UI80
認証番号:221ACBZX00010000

 

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