技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2015年8月号

Women's Imaging 2015 最新技術[Breast Imaging]

「Aplio Platinum Series」のもたらす新血流イメージング技術“cSMI”と“mSMI”の有用性

エコー検査は被ばくがなく,スクリーニングから精査,治療のガイドからフォローアップまで幅広いフェーズで用いられており,特に近年,乳がん検診領域でも,腫瘍の確定診断から治療方針の決定,治療後の効果判定まで有効な診断方法としてその有用性が高まっています。有効な治療を行うためには,病変を早期に発見することが必要ですが,従来のカラードプラ法による観察では,微細で低流速の血流の描出に技術的な限界がありました。このため,超音波造影剤を使って検出能を高める手法も使われていますが,施行可能施設の制限や,患者の負担(コスト+時間)から,その適応に制約があり検診施設での使用はいまだ定常化しているとは言えません。

こうした現状の下,東芝は,造影剤を使わない状態でも従来より微細で低流速の血流を描出可能とした新しいイメージング技術“Superb Micro-vascular Imaging(SMI:図1)”を,プレミアムクラス超音波診断装置「Aplio Platinum Series」機種へ搭載可能なオプションとして開発しました。

図1 従来の血流表示機能との比較

図1 従来の血流表示機能との比較

 

●SMIの表示法

従来のモードに比較して低い流速をより分解能高く描出することを主眼に開発されてきたSMI。その表示方法は2種類あります(図2)。
・cSMI:カラー表示であるcolor-coded SMI。血流である可能性の高い信号のみを表示しています。カラーで表示することで一瞬の拍動性の血流に関して視認性が向上しています。
・mSMI:モノクロの表示であるmonochrome SMI。バックグラウンドのBモード画像を組織抑制のように消して,血流信号だけをモノクロで表示。血行動態を把握し,病変の識別の一助につながる可能性があります。

図2 線維腺腫(20mm×17mm×14mm)

図2 線維腺腫(20mm×17mm×14mm)
a:mSMIの方がより低流速信号を記録できます。
b:cSMIは処理が加わるため,組織抑制のように血流情報を強調して表示できます。
(画像ご提供:香川医療生活協同組合高松平和病院外科・何森亜由美先生)

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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