技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2019年11月号

放射線治療の技術動向

コンパクト陽子線治療システム「PROTEUS ONE」

IBA社は,陽子線治療において世界トップシェアを誇るメーカーである。今回はIBA社の理念,「多くの患者に最新の陽子線治療を受けていただきたい」に基いて設計された,コンパクト陽子線治療装置「PROTEUS ONE」(図1)の特長を説明する。

図1 PROTEUS ONE治療室

図1 PROTEUS ONE治療室

 

●多くの患者に

多くの施設で使っていただくには,そして多くの患者をスループット良く治療するには,以下の3つが重要である。

1.コンパクト性
IBA社がラインナップとして持つ360°ガントリをそのまま小型化しようとすると,十分なコンパクト化が図れず,患者へのアクセス性も悪く,ノンコプラナー照射角度が限定される。IBA社が設計した新しいオープンガントリでは,上記3つの課題に妥協する必要がない。

2.省エネ性
シンクロトロンは,サイクロトロンより偏向電磁石の数が多く,電力消費が大きい。IBA社は,超電導技術を採用することで,電力消費量を既存のサイクロトロンの1/5にした。

3.スループット
治療ポジションから寝台を大きく移動することなく,患者の載せ下ろしが可能である。また,緊急時,患者に約360°からアクセスできる。一方,X線ステレオイメージング系をはじめとするリニアックと同様のワークフローで患者を位置決めできる。

●最新の陽子線治療を

IBA社は,最新治療技術をアップグレードで提供している。2001年にIBA社製装置を導入したマサチューセッツ総合病院(MGH)では,スキャニング,コーンビームCT(CBCT)などのアップグレードを採用し,現在でも最新治療技術で治療を行っている。

 

【問い合わせ先】
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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