技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2026年6月号

手術支援画像のためのアプリケーションの最新動向

ワークフロー改善と再現性の両立を実現する医用画像解析ワークステーション「Abierto Vision」

鷺坂 有璃[キヤノンメディカルシステムズ(株)営業本部ビジネスユニット統括センター医用ITソリューション営業部]

近年,手術の高度化および低侵襲化に伴い,術前や術中に用いられる支援画像として,3D画像作成のニーズが高まっている。より精細に,より迅速に画像提供できるように,医用画像解析ワークステーション「Abierto Vision」は,術前シミュレーションから解析,術後の画像作成までを見据えた多様な機能を備えている。本稿では,その技術の一部を紹介する。

■肝臓解析

肝臓解析においては,多時相CTデータに加え,機能画像である核医学画像を統合し,肝ボリュームと肝機能を同時に評価できる点が大きな特長である。特に肝切除術においては,残肝体積の正確な評価が術後合併症のリスク低減に直結するため,本機能は術前シミュレーションにおいて重要な役割を果たす。
シリーズ間の自動位置合わせ機能では,呼吸に伴う位置ズレを補正し,異なるモダリティ間でも高精度な重ね合わせを実現する。これにより,形態情報と機能情報を一体として把握することが可能となる。さらに,肝実質,門脈,静脈,動脈,下大静脈の自動抽出機能を備えており,複雑な血管走行の把握を容易にする。
また,門脈・静脈の支配領域に基づいた肝実質のボリューム計測にも対応しており,2Dあるいは3D画像上で切除面を指定することで,断端面を三次元的に可視化できる。本技術により,術前に切除範囲の妥当性を直感的に評価できるだけでなく,術者間でのイメージ共有も容易となる。抽出領域は複数設定が可能であり,区域ごとの体積やカウント値も自動表示されるため,定量的な判断を支援する(図1)。

図1 肝切除を行う場合など,術前シミュレーション・体積評価の支援が可能

図1 肝切除を行う場合など,術前シミュレーション・体積評価の支援が可能

 

■頭部Perfusion/3D解析

頭部Perfusion解析においては,ベイズ推定を採用しており,サマリマップが自動表示される。また,解析結果を待つ間も4D-CTA画像にて血流動態の把握が可能である。体幹部3D画像における骨除去処理の精度が優れることから,Perfusion解析と同時並行処理することで,血管や臓器の視認性を損なうことなく3D画像作成も迅速に実現し,外科的処置を行うケースにおいてはアクセスルートの検討が容易になる。

■Auto Extract

高精度な解析処理をバックグラウンドで実行しつつ,並行して3D画像の作成を効率的に進められる点も,Abierto Visionの大きな利点である。3D画像作成においては,ディープラーニング技術を活用したAI*1機能「Auto Extract」を搭載しており,解析ワークフローの大幅な効率化を実現する。骨除去(頭頸部,体幹部,下肢)により血管抽出を行う「Blood Vessel」,大腿骨や椎骨を対象とした「Bone」,さらに,脳動脈と脳静脈を自動で分離する「Cerebral Artery Vein Separation」など,多様な部位に対応し,ワンクリックでの抽出を可能としている。これにより,従来は個々に依存していた操作を簡略化し,短時間で再現性の高い手術支援画像を提供することができる(図2)。

図2 ディープラーニング技術による各種抽出ツール Auto Extractは幅広い領域に対応*2

図2 ディープラーニング技術による各種抽出ツール Auto Extractは幅広い領域に対応*2

 

このように,Abierto Visionは高精度な解析と操作の簡便性を両立し,術前シミュレーションの質向上と業務効率化を同時に実現するワークステーションである。また,操作の簡便化により,経験年数によらず,精度を保った画像作成が可能となり,非属人化と再現性の向上を実現する。結果として,施設全体で均質かつ高品質な手術支援画像の提供に貢献し,今後の高度化する医療において,その役割はさらに重要性を増していくと考えられる。

一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム
販売名:汎用画像診断ワークステーション用プログラム Abierto Vision AVP-001A
認証番号:22000BZX00379000
製造販売元:キヤノン株式会社

*1 本記事でのAIという表現は設計段階でAI技術を用いたことを意味しており,導入後に性能や精度が変化することはありません。
*2 〈Altivity〉は,キヤノンのヘルスケアにおけるAIソリューションブランドです。

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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