技術解説(富士フイルムヘルスケア)

2023年5月号

US Today 2023

「ARIETTA 750 DeepInsight」による肝疾患診断へのアプローチ

井上 真也[富士フイルムヘルスケア(株)メディカルシステム開発センターUS部]

当社は,2023年4月にDeepInsight*1シリーズの第3弾として「ARIETTA*1 750 DeepInsight」を発売した(図1)。ARIETTA 750 DeepInsightは,プレミアムクラスの「ARIETTA 850 DeepInsight」で実現した,以下の3つの新しい高画質化技術を搭載したハイエンドの装置である。

(1) DeepInsight技術:AI技術*2を適用することで超音波画像から不要な電気ノイズを効果的に除去し,超音波信号のみを高精度に抽出する技術
(2) eFocusing*1 PLUS:フルフォーカス技術「eFocusing」をさらに進化させ,空間分解能と深部感度の両立を実現する技術
(3) Wall Motion Reduction PLUS:血流信号と体動ノイズのバラツキ情報を利用し,体動を選択的に抑制する技術

これらの高画質化技術を搭載することにより,腹部では肝実質の細かさを維持しつつ,肝表面から腹部血管まで感度および視認性の高い画像を実現しており,より高い画質を求めるユーザーの要求に応えている。

図1 ARIETTA 750 DeepInsight 外観写真

図1 ARIETTA 750 DeepInsight 外観写真

 

■減衰計測機能「iATT」の搭載

ARIETTA 750 DeepInsightは,肝疾患診断をサポートするさまざまなアプリケーションを搭載している。
その一つとして,近年,非アルコール性脂肪性肝疾患の増加により肝脂肪化診断が着目されているが,脂肪肝の進展評価用である減衰計測機能iATT(図2)がある。
iATTは,下記(1)〜(3)の技術開発を行うことで,従来の「Attenuation Measurement(ATT)」よりも,高い減衰推定性能を実現している(図3)。

(1) 解析範囲の設定:皮下脂肪や横隔膜などの構造物がなく,肝実質のみをとらえやすい解析範囲を設定
(2) 送受信の設定:フォーカス,受信ゲインなどを調整し,直線性の高い受信振幅を取得
(3) 減衰計測方式の見直し:4MHzの生体信号に近似した減衰振幅信号を作成し,テーブルリファレンス方式を採用

さらに,iATTは,ガイドグラフィック幅の狭域化など,ワークフローに寄与する改善も行い撮像が簡便になっているため,超音波検査による脂肪肝診断をこれから始めるユーザーにも,ご使用いただけるものと考える。

図2 iATTの表示画面例

図2 iATTの表示画面例

 

図3 iATTの方式

図3 iATTの方式

 

DeepInsightシリーズは,最新の高画質化技術やアプリケーションを展開し,「形態/性状情報」「血流情報」「硬さ情報」「減衰情報」から組織構造や病態イメージを,簡便かつ的確に表現するアプローチを続け,検査スピードの向上と検査者負担の軽減に貢献していく。

販売名:超音波診断装置 ARIETTA 750
医療機器認証番号:301ABBZX00007000
販売名:超音波診断装置 ALOKA*3 ARIETTA 850
医療機器認証番号:228ABBZX00147000

ARIETTA 750はARIETTA 750 DeepInsightと呼称します。
ALOKA ARIETTA 850はARIETTA 850 DeepInsightと呼称します。

*1 DeepInsight,ARIETTA,eFocusingは富士フイルムヘルスケア株式会社の登録商標です。
*2 AI技術のひとつである機械学習を用いて開発・設計したものです。実装後に自動的に装置の性能・精度は変化することはありません。
*2 製品の改良により予告なく記載されている仕様が変更になることがあります。
*3 ALOKAは日本レイテック株式会社の登録商標です。

 

【問い合わせ先】
超音波マーケティンググループ
URL https://www.fujifilm.com/fhc

TOP