技術解説(富士フイルムメディカル)
2026年6月号
手術支援画像のためのアプリケーションの最新動向
手術支援画像のための医用画像ワークステーションの最新動向
峯岸 舞子[富士フイルムメディカル(株)ITソリューション事業部事業推進部3D営業技術グループ]
近年,外科手術における画像支援技術の活用が進展している。特に,術前および術中における3D画像の利用は,解剖学的情報の把握を支援するツールとして注目されている。手術支援画像を用いて事前に対象臓器の解剖を把握することが,より安全な手術の実施に資する可能性が示されており,手術支援画像の臨床現場での利用促進が期待されている(本稿では,手術対象の臓器および周辺の三次元的な解剖把握を容易にするために, 術前に撮像した画像を用いてシミュレーションを行った画像を「手術支援画像」と定義する)。
富士フイルムが提供する「SYNAPSE VINCENT」は,2008年の発売以来,肝胆膵領域や呼吸器領域をはじめとして,さまざまな領域の手術支援画像を作成する機能を搭載し,外科領域における専用アプリケーションの提供を続けている。2026年2月に発売したV7.3では,頭部から下肢まで多様な解析アプリケーションを提供しており,その背景には富士フイルム独自のAI技術ブランド「REiLI」を活用した画像認識モジュールの開発がある。これにより,作成者の習熟度に依存しない安定した画像作成と,自動化による画像作成業務の効率化に寄与している。
手術支援画像作成機能の一例として,CT画像から腎臓や周辺血管,臓器の抽出を行う「腎臓解析」を提供している(図1)。腎臓手術において,腎機能温存のために短時間での腎阻血を求められることから,術前の周囲血管走行の把握や阻血範囲の検討が重要であるが,「腎臓解析」は,それら構造把握への支援が期待される。また,V7.3のリリースにより,子宮や卵巣を抽出し,定量評価が行える機能を備えた「婦人科臓器解析」(図2),および膀胱や前立腺の抽出を行い,骨盤腔内の3D画像作成を支援する「膀胱周辺臓器解析」(図3)を新たに追加した。これにより,すでにリリースしている直腸解析と併せて骨盤外科領域においても手術支援画像の適用の幅が広がっている。
図1 腎臓解析
図2 婦人科臓器解析
図3 膀胱周辺臓器解析
さらに,ロボット支援手術や鏡視下手術の増加に対応し,V7.3ではラップトップ型クライアントやspatial reality display(SRD)モニタ*1と組み合わせた運用が可能となっている。ラップトップ型クライアントは,術前に作成した3D画像をオフライン環境で参照できるため,手術室内のネットワーク環境に依存せず,タッチパネル操作で3D画像を参照できる*2。さらに,右目用ディスプレイと左目用ディスプレイそれぞれに接続することで,両眼立体視も可能である。
富士フイルムは,AI技術*3を活用し,医療現場のニーズに応じた製品開発を継続している。今後も診療報酬の動向や医療現場の要望を踏まえ,手術支援画像作成に貢献できる機能開発を進めていく。
*1 ソニー社製「ELF-SR1」「ELF-SR2」に対応
*2 これらの機能は,手術支援画像の作成および参照を支援するものである。
*3 AI技術の一つであるディープラーニングを設計に用いている。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。
3D画像解析システム SYNAPSE VINCENT
販売名:富士画像ワークステーション FN-7941型
認証番号:22000BZX00238000
●問い合わせ先
営業本部営業企画部マーケティング部
TEL 03-6419-8033
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