技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2014年12月号

Digital Radiography(DR)を極める【動画編】

より自然な形で患者皮膚被ばくを注意喚起(アプリケーション:Dose Map)

柴草 高一(GEヘルスケア・ジャパン(株)Interventional Sales & Marketing部)

最新デバイスの登場によりインターベンション手技の適応領域は拡大し,かつ,手技自体がより複雑化することにより長時間に及ぶケースも少なくない。患者および術者の被ばく管理の重要度は増してきている背景の中,“Dose Map”は患者皮膚被ばくへの警鐘を目的としてGE社製X線血管撮影装置「Innova IGS」シリーズ,および「Discovery」シリーズに搭載された。

Dose Mapとは,患者を模したシリンダマップ上に,術中のCアーム角度や視野に応じた照射野や線量分布,ならびにhot spotをグレースケール表示できる(図1)。このシリンダマップは,手技スタート時点で入力された,もしくはRISから受け取った患者の身長,体重,年齢に基づいたBMI値から決定され,テーブルの先から患者頭位置までの距離も反映される。また,胸腹部や四肢などへの対応を考慮したSingle Modelのほかに,頭部での使用を考慮したDual Modelも搭載する(図2)。同一患者において,頭部および胸部の検査や手技を行った場合,Dose Mapは2種類のレポート画像が自動生成される。

図1 Dose Map画面

図1 Dose Map画面

 

図2 Dose Mapのシリンダマップ

図2 Dose Mapのシリンダマップ

 

各線量値は1cm2単位でinterventional reference pointの線量値から算出されるが,テーブルおよびテーブルマット,患者は,FPDからの散乱線をも考慮されている。「GAFCHROMIC XR-RV3」(Ashland社製)filmsを用いた検証実験によれば,おおむね24.9%以内の誤差での線量値であったことが報告されている1)
Dose Mapでは,装置の設定状態(Cアーム角度,透視・撮影条件,テーブル位置,コリメータ位置など)に応じた照射野をリアルタイムに表示でき,X線を照射しなくてもインターベンション手技中にhot spotを簡単に回避することが可能である(図3)。

図3 照射野のリアルタイム表示によるhot spot回避

図3 照射野のリアルタイム表示によるhot spot回避

 

Dose Mapは,必要に応じてテーブルサイドのボタンを一押しで表示可能である。また,施設ごとの意図に応じて各線量閾値を,2段階もしくは3段階に設定可能である。

インターベンションにおいて,複雑困難な手技になればなるほど,術者はとかく手技に集中してしまい,別モニタなどにDose Mapを常に表示していても,自ずとそのモニタを注視しないようになってしまうケースも少なくない。しかし,Dose Mapでは,施設ごとに設定した線量閾値(3段階であれば,それぞれ,第1,第2,第3閾値)に到達すると,透視を止めた瞬間にリファレンスモニタに自動ポップアップ表示されるため,術者の手技を妨げることなく,かつ,術者に自然な形で注意喚起することが可能となる。再び,透視フットスイッチを踏んだ瞬間にDose Mapは自動的に消えるが,必要に応じていつでも再表示することができる。

手技終了後は,Dose MapがDICOM画像として自動的に生成され,同患者データの最後に記録される。前回の手技における画像確認とともに,hot spotの位置,ならびに推定線量値の双方を確認することで,次回以降,より安全な手技の遂行につながるものと確信している。

●参考文献
1)Bordier, C., Klausz, R., Desponds, L. : Patient dose map indications on interventional x-ray systems andvalidation with gafchromic xr-rv3 film. Radiation Protection Dosimetry, 1〜13, 2014.

*多目的X線撮影システム Discovery
 医療機器認証番号:225ACBZX00006000号
*多目的X線撮影システムINNOVA
 医療機器認証番号:21500BZY00327000号

 

【問い合わせ先】
Detection & Guidance Solution & Surgery Sales & Marketing部
TEL 042-585-9370
www.gehealthcare.co.jp

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