技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2014年12月号

Digital Radiography(DR)を極める【動画編】

より的確な血管内手術のために(装置:Innova IGS 630)

柴草 高一(GEヘルスケア・ジャパン(株) Interventional Sales&Marketing部)

インターベンション件数は年々増加傾向にあり,特に脳血管内手術においては,頭蓋内ステントや血栓回収用の最新デバイスの登場により,その適応領域も拡大している。手技自体も複雑で長時間化し,デバイスの良好な視認性が従来以上に要求されている。そのような背景の中,「Innova IGS 630」(以下,IGS 630)は,正方形30cmのフラットパネルディテクタ(以下,FPD)を搭載,脳血管内手術を主体とし,循環器や四肢・腹部などの全身領域のインターベンションに対応するために開発された(図1)。

図1 X線血管撮影装置Innova IGS 630

図1 X線血管撮影装置Innova IGS 630

 

■デバイスを忠実に描出するためのファクターとプロセス

X線血管撮影装置において,画像信号の源となるFPDの性能は最重要なファクターである。静止画および動画を扱うX線装置が存在するが,それぞれにおいて最高の性能が発揮できるようにおのおのの設計が必要となる。GE社ではX線血管撮影装置用に特化したFPDを自社開発し,X線を画像に変換する効率を表すDQE(detective quantum efficiency)において,特に低線量域におけるDQEの高いFPD開発に成功した。
低線量を用いる透視画像においては,DSA画像と比較し物理的にノイズが顕著となる。ノイズ軽減のためには動き検出型リカーシブフィルタや各種ノイズ除去技術も存在するが,過度に使用するとリアルな画像表現から遠ざかってしまう。カテーテル先端やコイル・ステントなどのデバイスの小さな振る舞いが,本来の動きと違って不自然に見えてしまい,例えばコイリング手術終盤の透視画像において実際には存在するコイルの小さな隙間が画像処理の悪影響で見えなくなってしまうことがある。IGS 630では,自社開発の高DQEのFPDを基盤に,より多くの臨床情報を含む透視画像を提供することこそが最重要項目と位置づけ,術者の手の感覚そのままの画像化を心がけている。

■欠かすことができない3D画像性能

脳血管内手術を的確に行うワーキングアングルの決定に,術者は常に細心の注意を払っている。親血管や背景の血管としっかり分離でき,瘤内のカテーテル位置を把握するための2つのワーキングアングルが必要となる。IGS 630には最新のマルチモダリティ3Dワークステーションである「Advantage Workstation Volume Share 5+(以下,AW-VS5+)」が標準付属しており,2面モニタ上に適宜画像分割することで,VR画像とtransparency(透過画像)の双方を見比べながら,より的確なワーキングアングルを速やかに決定できる。全画像にカーソル位置が連動し,必要に応じて断面画像を並行表示することで(図2),より詳細なangioarchitectureの把握を可能とする。

図2 AW-VS5+の表示画面

図2 AW-VS5+の表示画面

 

■画像フュージョンを活用したインターベンション

もとよりAW-VS5+はマルチモダリティ対応を前提に開発されており,MR/CT/XAなどの画像を同一モニタに分割して表示することが可能であるが,“Integrated Registration”機能を用いると,任意の画像をマウスでつかみ,ドラッグアンドドロップすることで簡単に画像フュージョンすることが可能である。“Auto Registration”機能(図3)を装備しているため,異なるボリュームデータ同士が最適な位置で重なるように自動制御される。
臨床的優位性に関しては,東海大学医学部付属病院脳神経外科のキッティポン・スィーワッタナクン先生によりご紹介されているので,ぜひご覧いただきたい。

図3 Auto Registration機能

図3 Auto Registration機能

 

*多目的X線撮影システムINNOVA
医療機器認証番号:21500BZY00327000号
*多目的X線撮影システム INNOVAⅡ
医療機器認証番号:219ACBZX00035000号
*アドバンテージワークステーション
医療機器認証番号:20600BZY00483000号

 

【問い合わせ先】
Detection & Guidance Solution & Surgery Sales & Marketing部
TEL 042-585-9370
www.gehealthcare.co.jp

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