技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2026年6月号

手術支援画像のためのアプリケーションの最新動向

術中CBCTとaugmented fluoroscopyによる手術支援画像の進化

金澤 正浩[GEヘルスケア・ジャパン(株)Interventional&Surgery部Clinical Marketing]

近年,低侵襲手術の進展に伴い,術中における空間認識の高度化が求められている。特に呼吸器外科領域では,小型のすりガラス状陰影(GGN)など触知困難な病変が増加しており,術中の位置同定が重要な課題となっている1),2)。また,脊椎手術や経皮的穿刺手技においても,解剖構造の複雑性や個体差により,高精度な手技遂行には術中の三次元的情報の活用が重要とされている。
このような背景の下,術中コーンビームCT(CBCT)による三次元画像と透視画像を統合したaugmented fluoroscopy(AF)が,手術支援画像として注目されている(図1)。CBCTは,術中に取得したボリューム情報から,腫瘍,骨構造,血管などの位置関係を三次元的に把握することを可能とし,近年ではインターベンション領域を中心に,その有用性が報告されてきた3)。さらに,これらの三次元情報を透視画像上に重畳表示することで,術者はリアルタイムに近い形で解剖情報を参照しながら手技を進めることが可能となる(図2)。

図1 「OEC 3D」の装置写真 術中に高精細な透視画像およびCBCT撮影が可能な移動型Cアーム装置。取得した三次元画像は,術中ナビゲーションやAFに活用される。

図1 「OEC 3D」の装置写真
術中に高精細な透視画像およびCBCT撮影が可能な移動型Cアーム装置。取得した三次元画像は,術中ナビゲーションやAFに活用される。

 

図2 AF機能の画像 CBCTから再構成した病変および解剖構造の三次元情報を,透視画像上に重畳表示させた例。ターゲット位置や解剖学的ランドマークを参照しながら,リアルタイムに近い形で手技を進めることが可能となる。

図2 AF機能の画像
CBCTから再構成した病変および解剖構造の三次元情報を,透視画像上に重畳表示させた例。ターゲット位置や解剖学的ランドマークを参照しながら,リアルタイムに近い形で手技を進めることが可能となる。

 

呼吸器外科領域においては,術中CBCTにより病変の深達度や胸膜からの距離を把握し,肺切除ラインの設計に活用することができる。特に,区域切除や楔状切除においては,十分な切除マージンの確保が重要であり,三次元情報に基づく術中判断がその一助となる可能性がある2)。また,CBCTと透視画像を統合したナビゲーション技術は,肺小型病変の術中局在同定において有用であることが報告されている4)。

さらに,2025年,われわれのOEC 3DのAFに新たに実装された「Line of Interest(LOI)」機能により,術中の視軸設定が進化している。本機能は,任意の2点を結ぶラインを設定することで,そのラインに一致するようCアームの角度を自動調整するものである。これにより,従来は術者の経験に依存していた透視角度の最適化が幾何学的に再現可能となり,手技の再現性向上に寄与することが期待される。脊椎領域においては,pedicle screw挿入における精度向上の観点から,適切な透視視軸の確保が重要であることが報告されている5)。LOI機能により理想的な透視視軸を迅速に再現できることは,これらの手技において有用である可能性がある。また,経皮的穿刺手技や腫瘍アブレーションにおいても,ターゲットおよび穿刺経路を三次元的に設定し,その軸に沿った透視視野を構築することで,手技精度が向上することが報告されている6)。

このように,術中CBCTとAFの融合は,単なる画像提示にとどまらず,術中意思決定を支援する手術支援画像として機能する点に特長がある。三次元情報に基づく空間理解を術中に提供することで,術者の認知負荷軽減および手技精度向上に貢献する技術である。このような術中三次元情報の活用は,画像等手術支援加算において評価される「術中の高度な画像情報に基づく手術支援」という考え方とも親和性が高いと考えられる。さらに,これらの技術は術前シミュレーションと術中ナビゲーションの連携という観点からも,手術支援画像の役割を術中環境へ拡張する技術としての発展が期待される7)。

以上より,術中CBCTとAF,ならびにLOI機能の組み合わせは,呼吸器外科,脊椎外科,経皮的治療といった複数領域において,手術支援画像の新たな活用の可能性を示すものである。今後はさらなる臨床応用の蓄積により,その有用性や適用範囲の明確化が期待される。

販売名:OEC Elite シリーズ
医療機器認証番号: 228ACBZX00014000
JB14174JA

●参考文献
1)Sato, M., et al. : Use of virtual assisted lung mapping(VAL-MAP), a bronchoscopic multispot dye-marking technique using virtual images, for precise navigation of thoracoscopic sublobar lung resection? J. Thorac. Cardiovasc. Surg., 147(6): 1813-1819, 2014.
2)Saji, H., et al. : Segmentectomy versus lobectomy in small-sized peripheral non-small-cell lung cancer(JCOG0802/WJOG4607L): A multicentre, open-label, phase 3, randomised, controlled, non-inferiority trial. Lancet, 399(10335): 1607-1617, 2022.
3)Tacher, V., et al. : How I do it : Cone-beam CT during transarterial chemoembolization for liver cancer. Radiology, 274(2): 320-34, 2015.
4)Chao, Y.K., et al. : Image-guided thoracoscopic lung resection using a dual-marker localization technique in a hybrid operating room. Surg. Endosc., 33 : 3858-3863, 2019.
5)Gelalis, I.D., et al. : Accuracy of pedicle screw placement : A systematic review of prospective in vivo studies comparing free hand, fluoroscopy guidance and navigation techniques. Eur. Spine J., 21(2) : 247-255, 2012.
6)Filtes, J., et al. : Evolving Precision in Image-Guided Lung Ablation : The Hybrid Operating Room Advantage. Acad. Radiol., 32(12): 7589-7590, 2025.
7)He, H., et al. : Three-Dimensional Reconstruction and Virtual Simulation of Patient-Specific Anatomy for Procedural Planning in Thoracoscopic Segmentectomy : A Systematic Review and Meta-Analysis. Eur. J. Cardiothorac. Surg., 67(9): ezaf283, 2025.

 

●問い合わせ先
カスタマー・コールセンター
TEL:0120-202-021
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