技術解説(コニカミノルタ)

2019年11月号

放射線治療の技術動向

乳房温存療法の選択肢を広げる「SAVI」による加速乳房部分照射

「SAVI(サヴィ)」(図1)は,乳がんの乳房温存療法における術後放射線治療に使用する小線源治療用アプリケータである。SAVIを用いた加速乳房部分照射は,放射線治療の期間を大幅に短縮することで,患者の早期社会復帰を助ける。

図1 SAVIの外観

図1 SAVIの外観

 

●加速乳房部分照射

一般的に行われている乳がんの術後放射線治療は「全乳房照射」である。患者は5週間以上にわたり毎日通院し,約50Gyの照射を受ける。これに対し,照射対象体積を乳房の一部分に絞ることにより,1回あたりの線量を増加させて,放射線治療の期間を5日以下に短期化するのが「加速乳房部分照射」である。小線源治療は,その代表的な手法の一つである。

●SAVIによる乳房小線源治療

がんを切除した後のキャビティにSAVIを挿入し,カテーテルを広げてフィットさせる。リモートアフターローダと接続し,192Irによる高線量率照射で,処方線量3.4Gyを1日2回×5日間の計10回,照射する(図2)。

図2 SAVIによる乳房小線源治療

図2 SAVIによる乳房小線源治療

 

●SAVIの特長

(1)放射線照射の期間をわずか5日間に短縮する。現状では,全乳房治療の5週間の通院が困難であるという理由のみで乳房温存をあきらめ,全切除を選ぶ患者が少なからず存在するが,SAVIはそのような患者に新たな選択肢を与える。

(2)局所再発の可能性が高い腫瘍床の周囲1〜2cmを的確に照射すると同時に,皮膚や肋骨,肺などの健康な組織の被ばくを最小化し,重篤な有害事象のリスクを低減する。皮膚の障害もきわめて少なく,整容性に優れる。

●多施設共同研究

2016年より日本医療研究開発機構(AMED)伊丹班の「SAVI(Strut Adjusted Volume Implant)を用いた乳房温存術後小線源治療の治療効果に関する多施設共同観察研究」が実施され,日本国内での臨床データの蓄積と研究を進めている。

*「SAVI」「サヴィ」は「SAVIアプリケーターセット(医療機器承認番号:22500BZX00260000)」の呼称です。

 

【問い合わせ先】
ヘルスケアカンパニー 営業推進部
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