技術解説(フィリップス・ジャパン)

2018年6月号

US Today 2018 超音波検査・診断最前線

「eL18-4 PureWaveリニアトランスジューサ」と乳腺エコーをサポートする「AI Breast」

梅川 夕佳((株)フィリップス・ジャパン超音波診断装置ビジネスマーケティンググループ)

このたび,フィリップスは単結晶の素材であるPureWaveクリスタルテクノロジーを採用した「eL18-4 PureWaveリニアトランスジューサ(以下,eL18-4)」をリリースした。さらに,乳腺エコーをサポートする新しいソリューション「AI Breast」をリリースした。

■eL18-4(図1)

eL18-4の特長は,大きく3つに分けられる。1つ目は先述のとおり単結晶の素材を採用したこと,2つ目はカバーする周波数帯域が2〜22MHzと広いこと,そして,3つ目は多列の素子配列を採用し,ビームの厚さ方向のフォーカシング制御が可能なことである。これらの特長により,浅い部分から深い部分まで高い性能を発揮するeL18-4は,表在のみでなく腹部,消化管など幅広い領域での使用が可能になる(図2)。

図1 eL18-4

図1 eL18-4

 

図2 eL18-4の腹部画像 a:深さ11cm。50mmの口径とトラペゾイドを使用することで広い領域の描出が可能。 b:深さ4cm。肝表面における多重反射の影響が少なく,シストも認識しやすい。

図2 eL18-4の腹部画像
a:深さ11cm。50mmの口径とトラペゾイドを使用することで広い領域の描出が可能。
b:深さ4cm。肝表面における多重反射の影響が少なく,シストも認識しやすい。

 

■AI Breast(Anatomical Intelligence for Breast)

AI Breastでは,「超音波診断装置がトランスジューサの位置をリアルタイムで認識する」。これは,マットレスに内蔵された磁場発生装置「テーブルトップ型フィールドジェネレーター」(図3)とeL18-4に内蔵されたセンサである「電磁トラッキングコイル」により実現されている。従来の乳腺エコーの検査ワークフローを極力妨げずに,AI Breast機能が活用可能である。代表的な機能は下記である(図4)。

図3 マットレス内蔵のテーブルトップ型フィールドジェネレーター

図3 マットレス内蔵のテーブルトップ型
フィールドジェネレーター

 

図4 AI Breast使用中の画面 (1) 自動で追従するプローブマーク,(2) 走査軌跡のペイント,(3) 乳頭腫瘤間距離の表示

図4 AI Breast使用中の画面
(1) 自動で追従するプローブマーク,
(2) 走査軌跡のペイント,
(3) 乳頭腫瘤間距離の表示

 

1.自動で追従するプローブマーク
トランスジューサの位置が認識されているので,プローブマークの位置は自動で追従される。静止するたびに手作業で位置,角度を変更する従来の方法と比較して,プローブマークの間違いを減らすだけでなく,取り込んだ動画でもプローブマークが追従し位置情報を示す。

2.トランスジューサを走査したエリアを可視化
乳腺エコーでは,腋窩も含め広い範囲をスキャンしなければならないが,AI Breastでは,どの範囲でスキャンを行ったのか,走査の軌跡をペイントし,確認することができる。

3.乳頭からターゲットまでの位置と距離をワンタッチで表示
乳頭腫瘤間距離(以下,NTD)もワンタッチで表示することが可能である。乳頭からの位置が近ければ計測も簡便であるが,離れている際はデュアルやパノラマの機能を使用されている施設も多いかと思う。AI Breastでは,NTDが長い場合でも短時間で客観的な数値を表示することができる。

AI Breastでは,乳腺エコー検査のすべてが自動化されているわけではない。ハンドヘルドエコーの良さを残しつつ,ソフトウエアにより客観性や正確性を向上させることを“サポート”する新たなツールとして,日々の検査に貢献できれば幸いである。

 

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