NAEOTOM Symposium 2025

2026年4月号

NAEOTOM Alphaの臨床アドバンテージ

全身 / 救急領域 すべての患者に同等の画像を提供できる3機種フォトンカウンティングCT:ピルゼン大学における使い分け

Jiří Ferda(Department of the Imaging, Charles University, Medical School and University Hospital Pilsen, CZECHIA)

Jiří Ferda(Department of the Imaging, Charles University, Medical School and University Hospital Pilsen, CZECHIA)

Pilsen大学病院では現在,5台のCT装置のうち3台がフォトンカウンティングCT(PCD-CT)「NAEOTOM Alpha」であり,全身のさまざまな領域や救急領域で活用している。本講演では,当院での活用の実際と有用性について,画像を提示して報告する。

NAEOTOM Alphaの概要と当院における使い分け

当院で稼働するPCD-CTは,Dual Sourceで検出器が6cmの「NAEOTOM Alpha.Peak」,Dual Sourceで検出器が4cmの「NAEOTOM Alpha.Pro」,Single Sourceの「NAEOTOM Alpha.Prime」の3機種である。
NAEOTOM Alpha.Peakは救急部門に設置されており,心臓や小児の検査,神経内科および脳神経外科における急性出血や急性虚血性脳卒中の患者の撮影などを行っている。
NAEOTOM Alpha.Proは,救急部門のバックアップとして,集中治療患者や血管および心臓の診断,内科や整形外科の入院患者,インターベンションなどに使用している。
NAEOTOM Alpha.Primeは,呼吸器科,泌尿器科,頭頸部科の建物に設置されており,心血管や筋骨格系の診断に用いるほか,肺がんや腎臓がん疑い患者の生検にも用いている。

NAEOTOM Alphaの画像供覧

1.頭部領域
PCD-CTの最大の利点は,非常に高密度なデータを取得できることである。Spectral解析によってカルシウムやヨード造影剤を判別することも可能である。髄膜腫の症例(図1)では,造影剤投与後に「Quantum PURE Lumen」という石灰化を除去するSpectral技術を用いることで,カルシウムを最大限抑制するとともに,造影効果を高めた画像の取得が可能である。Quantum PURE Lumenは血管解析にも有用で,カルシウムを除去することで髄膜腫の栄養血管や外頸動脈・内頸動脈も明瞭に描出できる。
PCD-CTのもう一つの利点は,超高解像度である。検出器のピクセルサイズがきわめて小さいため,0.2mmスライス厚の画像再構成が可能で,再構成間隔0.1mm,空間分解能0.11mmを実現している。これにより,微小な構造物なども明瞭に描出できる。側頭骨の診断においては,スライス厚0.2mm,1024マトリックスの画像が有用で,従来は描出できなかった蝸牛内部の中隔や,中耳炎・乳様突起炎などの中内耳の病変も明瞭に描出可能である(図2)

図1 髄膜腫症例におけるカルシウムの抑制と造影効果の増強

図1 髄膜腫症例におけるカルシウムの抑制と造影効果の増強

 

図2 超高解像度画像による側頭骨の描出

図2 超高解像度画像による側頭骨の描出

 

2.頭頸部領域
頭頸部画像診断では咽頭や口腔の軟部組織の描出が重要であり,Spectral解析による高コントラスト画像によって病変検出能が向上する。
舌基部に腫瘍が浸潤した症例(図3)では,40keV画像によって造影剤と周囲組織のコントラストが向上し,腫瘍の境界が明瞭である。ヨードマップでも腫瘍の境界が明瞭であり,高解像度画像によって舌内部の筋束や腫瘍の深部浸潤も評価できる。

図3 Spectral解析による舌基部の腫瘍浸潤の評価

図3 Spectral解析による舌基部の腫瘍浸潤の評価

 

3.胸部領域
CTは肺組織の構造の描出に有用であるが,PCD-CTではZ軸方向の空間分解能が向上したことで,細気管支の描出や病変パターンの評価が容易である。
また,PCD-CTは肺組織の機能評価(灌流評価)にも有用である。造影剤量50mLの1回の撮影で肺動脈・大動脈の二相CTAが可能で,肺塞栓症症例(図4)では塞栓部位の遅延灌流や灌流障害の重症度を評価することができる。

図4 高解像度画像による肺塞栓症症例の肺灌流の評価

図4 高解像度画像による肺塞栓症症例の肺灌流の評価

 

4.心血管領域
PCD-CTは空間・時間・コントラスト分解能が高く,血行動態評価に有用である。非心臓疾患の超高速撮影では,冠動脈起始部や大動脈の真腔・偽腔の血流も明瞭に描出可能である(図5)
また,PCD-CTではSpectral解析を用いることで,造影剤量を40mLまで低減してもステントや動脈閉塞,微細な側副動脈,石灰化の詳細な描出が可能である。

図5 超高速撮影による心血管の描出

図5 超高速撮影による心血管の描出

 

5.救急領域
救急領域では,脳,心臓,急性の腹部疾患の診断にNAEOTOM Alpha.Peakを用いている。高解像度画像によって胆管の空気充満や小腸拡張,閉塞部位を明瞭に描出できる。また,低エネルギー画像や高エネルギー画像で胆石の脂肪成分や結晶化部分を評価できるほか,腸管灌流や腸管の生存性評価にも有用である。
PCD-CTは,特に膵がんの血管解剖や腫瘍の境界の描出に最適である(図6)。微小血管を描出できるため,肝胆膵切除術の術前計画における有用性が高い。

図6 高解像度画像による膵がんの血管解剖および腫瘍境界の描出

図6 高解像度画像による膵がんの血管解剖および腫瘍境界の描出

 

6.筋骨格系領域
PCD-CTの超高解像度とSpectralデータ再構成によって,骨折や骨組織の浮腫,半月板や軟骨,関節内出血などを明瞭に描出でき,詳細な評価が可能である。
また,代謝性疾患の描出も可能である。痛風の症例(図7)では,手足の関節に尿酸沈着や痛風結節が多数描出されている。dual energy CTと同様の解析結果を,より高解像度に得ることができる。

図7 Spectral解析による痛風の尿酸沈着および痛風結節の描出

図7 Spectral解析による痛風の尿酸沈着および痛風結節の描出

 

7.全身領域
NAEOTOM Alpha.Peakの優れた時間分解能は,急性心筋疾患や不安定な臨床症状の重症患者の撮影でも高品質な画像の取得に威力を発揮する。脳内出血の症例(図8)では,CTAにて動静脈奇形が明瞭に描出され,カテーテル検査中に急性循環不全が発生した際でも,肺組織の浮腫や過灌流,基礎疾患(タコツボ心筋症)を明確に特定できた。

図8 高い時間分解能を生かした重症患者の撮影

図8 高い時間分解能を生かした重症患者の撮影

 

まとめ

NAEOTOM Alphaは,3機種いずれも,すべての患者に同等の画像を提供でき,疾患や緊急度に応じた適切な撮影が可能である。なかでも,特に高心拍患者における心臓画像診断において,Dual Sourceによる高い時間分解能を生かし,NAEOTOM Alpha.PeakおよびNAEOTOM Alpha.Proを活用している。

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