技術解説(ザイオソフト)
2026年3月号
腹部領域におけるITおよびAIの最新技術
「Ziostation REVORAS」が実現する腹部領域の手術シミュレーション
元木 悠太[ザイオソフト(株)マーケティング部]
近年,医療現場における画像診断および治療支援技術は著しい進歩を遂げている。診療放射線技師の撮影技術向上に加え,医療機器の高性能化により,高精細かつ再現性の高い医用画像が日常診療において安定して取得可能となっている。一方で,診療報酬制度の制約や医師の働き方改革を背景に,限られた人的資源の中で診療の質を維持,向上させるための業務効率化が強く求められている。
このような環境下において,医用画像処理ワークステーションの役割は,従来の読影補助にとどまらず,手術前シミュレーション,術中の画像参照,術後フォローアップに至るまで,診療プロセス全体を支援するツールへと拡大している。画像情報の集約や可視化により,医師が個別に行っていた画像確認や情報整理の負担を軽減し,診療の標準化や意思決定の迅速化に寄与している。
さらに,低侵襲手術やロボット支援手術の普及により,術前計画および術中判断を高度に支援する医用画像解析技術の重要性はいっそう高まっている。限られた時間の中で安全かつ確実な治療を実現するためには,病変と周囲解剖の関係を正確に把握し,直感的に活用できる画像環境が不可欠である。
こうした背景の下,ザイオソフトが開発した医用画像処理ワークステーション「Ziostation REVORAS(以下,REVORAS)」(図1)は,「Smart Imaging─“みる”をシンプル,スマートに」をコンセプトに,画像処理・解析の自動化を推進している。REVORASは,臨床現場におけるワークフローの効率化と医師の業務負担軽減を通じて,持続可能な医療提供体制の構築に貢献することをめざしている。本稿では,腹部領域における手術支援アプリケーションを中心に紹介する。
図1 医用画像処理ワークステーションZiostation REVORAS
■アプリケーションの特徴
1.腎切除解析
2016年の診療報酬改定により,腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)が保険適用となり,症例数が増加している。近年では,保険適用の拡大に伴い症例の難易度も上昇しており,より高度かつ安全な手術計画の立案が求められている。
こうした背景の下,REVORASによる3D画像を用いた術前シミュレーションおよび術中の画像参照は,手術の質向上に貢献する一つの手段として注目されている。REVORASの「腎切除解析」は,腎臓,副腎,腎動静脈,尿管などの解剖構造を自動抽出し,切除マージンの設定や腎動脈の支配領域に基づいた阻血領域同定を行う腎切除術に特化した術前シミュレーションのアプリケーションである。さらに,R.E.N.A.L.スコアを自動算出する機能を有しており,従来,PACSによる画像参照機能を用いて行っていた計測と比較して,大幅な業務効率化が期待されている(図2)。術中のシミュレーション画像活用においては,事前に作成した3D画像を,施設の運用に応じて手術ロボットのコンソール画面上に表示させ,リアルタイムに参照するといった運用も可能である。これにより,手術前の治療戦略の立案,術中支援,さらには術者教育にも有用であると考えている。REVORASによる3D再構成画像を用いた術前シミュレーション,術中の画像参照は,温阻血時間の短縮やtrifecta達成率の向上につながる可能性が示唆された報告1)もあり,その有用性は実臨床においても示されている。
図2 腎切除解析(左)およびR.E.N.A.L.スコア(右)
2.肝臓解析
肝切除術では,門脈,肝動脈,肝静脈が立体的に交差する複雑な解剖構造に加え,肝予備能といった機能的制約を踏まえながら切除範囲を検討する必要がある。こうした背景から,術前シミュレーションを活用した手術計画は,術前評価を支援する手段の一つとして重要である。特に,腹腔鏡下手術やロボット支援下手術などの低侵襲手術においては,術前に解剖構造を把握し,切除範囲や残肝容積を定量的に評価することが,安全かつ確実な手術遂行に向けた検討に寄与すると考えられる。
肝臓手術は症例ごとに難易度が異なることが多く,術者の経験や施設ごとの運用によって手術手技に差が生じる場合がある。こうした状況において,術前・術中の画像情報を活用した手術計画は,医療安全の観点に加え,治療手順の整理や手技の標準化に向けた検討を支援する手段の一つとして位置づけられる。
REVORASの「肝臓解析」では,肝臓,門脈,肝静脈,肝動脈が自動抽出される(図3)。術前シミュレーションおよび術中の画像参照は,切除範囲や残肝容積の定量評価,脈管走行の可視化を通じて,手術の安全性を高めるものとして重要である。特に肝切除術においては,医用画像を用いた術前シミュレーションが,臨床的有用性の高い,必須の技術となりつつあるとの報告2)もなされている。
診療報酬においては,算定要件を満たした場合,K939-1「画像等手術支援加算 ナビゲーションによるもの」を算定することが可能とされている。画像等手術支援加算は,手術の安全性や精度向上を支援する取り組みの一つである。
K939-1の算定件数は近年,増加傾向にあり,算定件数の推移からも,3D画像による手術支援に対する関心やニーズが高まっていることが示唆される(図4)。
図3 肝臓解析
図4 K939-1「画像等手術支援加算 ナビゲーションによるもの」の算定推移3)
3.膵切除解析
膵臓は,上腸間膜動静脈,門脈,脾動静脈などの重要血管と近接し,腫瘍の局在や進展度によって切除可能性や術式が大きく左右される臓器である。そのため,膵臓手術では術前の段階で,腫瘍と血管構造の立体的関係を正確に把握し,切除範囲や血管合併切除の要否を判断することが重要となる。
REVORASによる「膵切除解析」では,膵臓,動脈系,門脈系,肝臓,脾臓,腎臓,下大静脈が自動抽出され,膵臓手術に必要な解剖情報を取得可能である(図5)。
2020年にロボット支援下膵頭十二指腸切除術および膵体尾部切除術が保険適用となり,術者にはより高度な解剖学的理解と的確な手術計画が求められるようになった。3D画像を用いた術前シミュレーションは,膵臓周囲血管と腫瘍との位置関係を可視化し,治療戦略を客観的に共有する手段として,臨床現場で活用が広がっている。
さらに,膵臓手術は症例数が限られ,施設間,術者間の経験差が成績に影響しやすい領域である。術前シミュレーションは,術前カンファレンスや若手外科医の教育においても有用であり,治療の均てん化という観点からも重要であると考えている。
図5 膵切除解析
近年の低侵襲手術やロボット支援手術の普及に伴い,術前シミュレーションの重要性はいっそう高まっている。腎臓手術,肝臓手術,膵臓手術のいずれにおいても,3D画像を用いたシミュレーションは,手術の安全性向上,治療の質の均てん化,さらには術者教育にも寄与する基盤技術である。
今後もザイオソフトは,医用画像を有効活用するための画像解析技術およびシミュレーション支援技術を通じて,より安全で質の高い医療の実現に貢献していく所存である。
一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション
販売名:ザイオステーション レヴォラス RL
認証番号:304ABBZX00001000
●参考文献
1)宮本俊輔, 池田健一郎, 畑山智哉, 他 : RAPNにおける3D画像ワークステーションREVORASを用いた術前シミュレーション及び術中ナビゲーションの検討. Japanese Journal of Endourology and Robotics, 37(1): 152-157, 2024.
2)仲西一真 : 第13回 肝胆膵領域の手術支援画像作成におけるREVORASの活用. 映像情報Medical, 57(7): 4-11, 2025.
3)NDBオープンデータ. 厚生労働省.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html
●問い合わせ先
ザイオソフト株式会社
マーケティング部
〒108-0073
東京都港区三田1-4-28
TEL:03-5427-1921
https://www.zio.co.jp/revoras/
