2026-1-5
臨床医は,日々患者の状態をアセスメントし,種々の検査・処方オーダを入力する。オーダセットを用いることで,煩雑なオーダ入力を簡略化する工夫が行われているが,ガイドラインの更新等に合わせ,オーダセットを手動でレビューする過程は非常に時間を要するものであった。これに対し,米国の研究チームは,オーダセットの精度向上・効率化に向けて,LLMマルチエージェントシステムの有用性を示す研究成果を発表した。同研究はJAMA Network Openに掲載されている。
本研究では,5つのLLMベースのエージェント(内容評価/文献探索/知識獲得/医学的検証/提案要約)を組み合わせ,既存のオーダセットに対する最適な改善案を生成した。各提案に関して,正確性や実行可能性,有用性の観点で医師がスコアリングを行ったところ,54%の提案が高い正確性を持つと評された一方,高い有用性を持つとされたのは19%であった。また,提案評価に際するLLMの活用を模索し,医師による評価ポイントを学習させたところ,LLMと医師による評価の一致度を表す指標(Cohen κ係数)が,0.06から0.41まで増加し,中等度の一致度が見られた。このLLMにより評価を代替させると,総提案数を29%削減し,有用な提案の92%を保持することが可能であった。
研究チームらは「本研究で示したようなAIモデルを用いることで,一貫したアプローチでオーダセットの最適化を行うことが可能となった。専門家の役割を,手動での改善点の発見から,的を絞った効率的な提案検証へと移行させる一歩になるだろう」と述べている。今後は,電子カルテへの組み入れ等によって,リアルワールドでの活用検証が期待される。
【参照論文】
Optimizing Order Sets With a Large Language Model–Powered Multiagent System
