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島津製作所,放射線治療装置用動体追跡システム「SyncTraX FX4 version」を発売〜がん組織へのピンポイント照射を支援する動体追跡機能を更に強化〜

2017-4-17

放射線治療装置用動体追跡システム「SyncTraX FX4 version」の使用イメージ

放射線治療装置用動体追跡システム
「SyncTraX FX4 version」の使用イメージ

島津製作所は,がんの放射線治療におけるピンポイントな照射をサポートする放射線治療装置用動体追跡システムの機能を強化し,放射線治療時の位置決めオプションの追加も可能にした「SyncTraX FX4 version(シンクトラックス エフエックスフォー バージョン)」を4月12日に発売した。

放射線治療装置用動体追跡システムは,呼吸等によって体内で静止しない肺や肝臓などの部位に放射線治療を施す際に,正常組織への放射線照射を避け,がん組織のみにピンポイントで照射できるようリアルタイムで患部の位置を捉えるシステムで,放射線治療装置と組み合わせて使用するもの。本システムが放射線治療装置と連動し,最適なタイミングで放射線を照射させるようにコントロールすることで,がん組織のみに効率良く放射線を照射でき,正常組織への線量を大幅に低減できる。

同社の従来システムは2式のX線管とカラーイメージインテンシファイアを使用していたのに対し,新システムは4式のX線管とフラットパネルディテクタ(FPD)を採用したことで,高精細な画像の取得や観察視野の拡大を実現した。加えて,4式のX線管とFPDを生かした治療位置決め(IGRT)オプション「Smart Aligner(スマート アライナー)」を追加することで,動体追跡治療とIGRT機能の双方をサポートする。

同社は,病気の早期検査,診断,治療,予後管理など,ヘルスケア分野に対するトータルな取り組みを推進しており,「SyncTraX FX4 version」は治療領域への貢献を目指している。

●開発の背景

放射線治療は,外科手術や抗がん剤治療と並ぶがんの治療法の1つであり,がんや腫瘍に放射線を照射して患部の細胞を局所的に攻撃する方法。痛みなどの肉体的な負担が少なく,治療した臓器の温存なども可能であるといった点から,治療件数が増えてきている。放射線治療は,肺や肝臓のような呼吸にともなって体内で動く臓器・部位も対象とすることから,患部のみへの正確な照射技術が必要とされている。

同社は,腫瘍の近傍に留置した金マーカーの位置をX線透視によって把握することで腫瘍の位置を正確に捉える「動体追跡技術」を活用したシステム「SyncTraX」を2013年に発売した。この「SyncTraX」をベースに,X線透視視野の拡大や,より高画質な画像の取得,放射線治療装置におけるさらにスピーディな照射位置決めなどを目的に開発した製品が新システム「SyncTraX FX4 version」である。

●新製品の特長

1. 4式のX線管とFPDによる観察視野の拡大と高精細画像の取得
従来システムは2式のX線管とカラーイメージインテンシファイアを採用していたのに対し,本システムは4式のX線管とFPDを採用。FPDによって歪みの無い高精細な画像の取得が可能になり,観察視野も約1.5倍に拡大した。体内で動く金マーカーを最大3個まで追跡でき,患部の位置を高精度に把握できる。

2. 機能の自動化によるスムーズな治療サポート
4式のX線管とFPDから最適な組み合わせとなる2式をシステムが自動で選択するため,放射線治療装置のガントリヘッド(照射口部)の角度を気にせずに金マーカーの透視方向を決定できる。また,使用した透視条件を読み込んで記憶する機能や,放射線治療装置の停止に合わせてシステムの透視を自動停止する機能などを備えており,効率的な放射線治療をサポートする。

3. IGRT支援機能(オプション)により,さらに高精度な放射線照射を実現
本システムには,治療位置決めをサポートするIGRT(画像誘導放射線治療)支援機能「Smart Aligner」を追加できる。治療計画時に撮影したCT画像を元にした再構成撮影画像(DRR像)と本システムによって取得したX線撮影画像を比較し,患部の位置のずれ量を治療装置に送信することで,正確な患者の位置決めが可能となる。

 

●問い合わせ先
島津製作所 医用機器事業部 グローバルマーケティング部 販売促進グループ
TEL 075-823-1271 FAX 075-823-2921
http://www.med.shimadzu.co.jp/