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GEヘルスケア・ジャパン,腹部領域におけるIVR(カテーテル治療)を支援する2つの革新的な自動化・シミュレーションソリューションを販売開始

2019-4-11

GEヘルスケア・ジャパン(株)(以下GEヘルスケア)は,腹部領域における低侵襲なカテーテル治療(インターベンショナル・ラジオロジー:以下IVR)への新たなサポート機能として,X線血管撮影装置(アンギオグラフィ)用アプリケーション「Liver ASSIST V.I.(リバーアシスト ブイアイ」およびマルチモダリティソリューション「INTERACT Active Tracker(インタラクト アクティブ トラッカー)」を,4月11日より販売開始する。

がん治療においては,患者の高齢化や負担軽減,QOL向上の観点から,低侵襲な治療法であるIVRへの注目が高まっている。肝臓がんに対するIVRである肝動脈化学塞栓療法(以下,TACE)においては,IVR医は複雑に走行する肝臓がんの栄養血管の検出,健康な組織を避けながら病変肝組織のみを超選択的に塞栓するための的確なポイントの位置の判断など,様々な課題に直面している。

塞栓術のプロセス簡素化とより的確な治療戦略立案をサポートする,新次元のリアルタイムシミュレーションサポートLiver ASSIST V.I.
新しいアプリケーションであるLiver ASSIST V.I.(V.I.は「Virtual Injection」の略)は,全世界のIVR医からの情報提供を元に,GE独自の新しいデジタルプラットフォーム「Edison*」で開発された技術。IVR医がより確信を持って塞栓すべきポイントを選択するために必要な,複数回にわたる煩雑な作業を自動で行うことで効率化し,さらに塞栓ポイントを確認するために追加せざるを得ない撮影の代わりにシンプルなシミュレーションツールを提供する。Liver ASSIST V.I.は,GE独自の3D画像(コーンビームCT=CBCT)からの肝臓領域での解剖学的データを用いることで,骨と血管を分離した画像の表示や,栄養血管の分析・特定など,従来手作業で行っていた煩雑な作業を行うことなしに,ワンクリックで瞬時に塞栓術のプランニングに必要な画像が提供されるため,臨床医が最良の治療戦略を決定するのに役立つ。

Liver ASSIST V.I.を使うことにより,以下のような効果が期待できる。
・栄養血管特定の感度が97%へ到達*2abc
・肝臓がんの奏効率が68%までアップ(DSAだけだと36%との論文あり)*3
・TACEの治療時間が11%短縮*2d

グスタフ・ルッシーがんセンター(フランス,グラン・パリ)のIVR医,ティエリ・ド・バール医師は,以下のように述べている。
「Virtual Injectionは,CBCTデータの検討・分析に費やす時間を削減するとともに,カテーテルの先端を位置づけるべき場所をより正確に決定するのに役立ちます。それはつまり,より良い腫瘍塞栓治療が期待できるということになります。」
また,慶應義塾大学病院 放射線診断科 中塚 誠之 先生は以下のように述べている。
「Virtual Injectionを用いた症例の治療において,想像以上にスムーズに塞栓ルートのシミュレーションができました。また肝臓以外からの栄養血管の想定にも効果的に活用でき,TACE治療において,大きくサポートできるアプリケーションになると期待しています。」

治療精度向上と被ばく低減を支援するマルチモダリティフュージョン機能,INTERACT Active Tracker
GEヘルスケアでは,より複雑化する治療の一つのソリューションとして,X線血管撮影装置と他の診断装置とのマルチモダリティソリューション(“INTERACT”)に力をいれている。今回提供を開始するINTERACT Active Trackerは,超音波装置とのマルチモダリティソリューション。同機能を使うことで取得した3D画像を,AW上で複数モダリティによる術前画像と簡単かつ自動的にフュージョン(合成)できる。それにより,カテーテル室における低侵襲治療をより安全に緻密にサポートすることを目指す。

INTERACT Active Tracker

 

治療対象の患部の位置情報の元となるomniTRAX(オムニトラックス。トラッカーと呼ばれるセンサー)を皮膚面にセットし,3D(以下CBCT)画像を撮影することで,超音波画像とCBCT画像を自動的にフュージョンできる。さらにこのCBCT画像と術前に撮影されたCT,MRやPET等の複数モダリティの画像も,CBCT画像を基準に自動で簡単にフュージョンすることができる。

*The omniTRAXTM Active Patient Trackerは,CBCT回転撮影時の一部の回転データか,CBCT画像事体に4つのメタルビーズが含まれることにより,活用可能である。

肝臓がん治療法の一つであるアブレーション(灼却術)において,35%以上のケース*4でCBCT画像の視野内にトラッカーが入りきらず,超音波画像とCBCT画像の自動フュージョンができないことが従来の課題であった。このActive Trackerを使用すると,トラッカーがCBCT視野外に位置していても自動的にフュージョンが行えるようになり,CBCTデータからの解剖学的情報の提供による低侵襲治療(超音波ガイド下治療)の実現,および被ばく低減への寄与が期待できる。

 

* Edisonプラットフォーム:
“Edison”は,GEヘルスケアのインテリジェントな製品やサービスの総合的なブランドであり,プラットフォーム(Edison Platform)を使用して開発されたアプリケーション(Edison Applications)とスマートな機器・装置(Edison Smart Devices)で構成される。このプラットフォームはGEヘルスケアの社内開発者だけでなくバイオテクノロジーとヘルスケアの戦略的パートナーにも提供され,両者によるAIアルゴリズムを含めたインテリジェントなアプリケーションのデザイン・開発・管理,そしてそれらアプリケーションの配布,アクセス環境の提供を担う。

*1. Johnson P. Non-surgical treatment of hepatocellular carcinoma. HPB, 2005; 7: 50–55
*2. The above Liver ASSIST V.I. performances aspects reflect the results of four published journal articles conducted by using a previous version of FlightPlan for Liver software (b,c,d) or its prototypes (a) for the validation and they do not necessarily represent individual performance of FlightPlan for Liver:
 a. Computed Analysis of Three-Dimensional Cone-Beam Computed Tomography Angiography for Determination of Tumor-Feeding Vessels During Chemoembolization of Liver Tumor: A Pilot Study – Deschamps et al. Cardiovasc Intervent Radiol. 2010.
 b. Tracking Navigation Imaging of Transcatheter Arterial Chemoembolization for Hepatocellular Carcinoma Using Three-Dimensional Cone-Beam CT Angiography –Minami et al. Liver Cancer. 2014
 c. Clinical utility and limitations of tumor-feeder detection software for liver cancer embolization. Iwazawa et al. European Journal of Radiology. 2013.
 d. Comparison of the Number of Image Acquisitions and Procedural Time Required for Transarterial Chemoembolization of Hepatocellular Carcinoma with and without Tumor-Feeder Detection Software – Iwazawa et al. Radiology Research and Practice. 2013.
*3. Hepatic Arterial Embolization Using Cone Beam CT with Tumor Feeding Vessel Detection
Software: Impact on Hepatocellular Carcinoma Response - Cornelis et al. Cardiovasc. Intervent. Radiol. 2017. Using previous version of FlightPlan for Liver.
*4. Based on quantitative assessment of 65 patients.

 

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コーポレート コミュニケーション
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp