innavi net画像とITの医療情報ポータルサイト

ホーム

バリアン,Varian最新の脳腫瘍に対する放射線治療技法 “HyperArc” 続けて2施設にて国内で治療開始

2019-6-10

バリアンは2019年6月7日,同社の放射線治療システム※1で実施可能な脳腫瘍に対する放射線治療技法 HyperArc™を用いた国内初の治療が,一般財団法人太田綜合病院附属 太田西ノ内病院(福島県郡山市 以下,太田西ノ内病院)にて5月13日に開始され,続けて,地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(大阪府大阪市以下,大阪国際がんセンター)では5月22日に開始されたことを発表した。

HyperArcは,同社の放射線治療システムTrueBeamシリーズと放射線治療計画装置Eclipse※1で実施可能で,主に転移性脳腫瘍に対する定位手術的照射(SRS)を短時間で効率的に行うことができるソリューション。

転移性脳腫瘍はがん患者の8.10%に発生すると報告されており1,2),治療の進歩により患者の生存期間が延長するに従って,遅発性の転移性脳腫瘍の罹患率が増大している3)。これまで複数個の転移性脳腫瘍が発見された場合は,予防的な目的も含め,主に全脳照射が行われてきた。転移性脳腫瘍の患者の予後が改善する一方で,全脳照射による晩期障害が報告されるようになり,そこで,複数個の腫瘍それぞれをピンポイントに照射する,定位放射線治療(SRT)※2や定位手術的照射(SRS)※3が行われるようになったが,精度が高い治療が必要とされることによる治療全体にかかる時間が課題と言われていた。

HyperArcは,多発性転移性脳腫瘍のSRSに必要な,治療台を横方向に動かして照射する角度を変えるノンコプラナー照射を,治療計画のワークフローのシンプル化などによって,短時間で効率的に計画ができるように設計されている。また,治療計画ソフトウェアに専用のツールを搭載することで,多発性転移性脳腫瘍のSRSで課題となっていた,標的腫瘍間の線量や正常組織への線量を低減することに貢献した。さらに,事前にガントリ(ビーム照射口)と治療台の軌道を確認する,バーチャル・ドライラン機能により安全性に配慮した設計となっている。

5月13日に国内で初めてHyperArcによる治療を開始した,太田西ノ内病院放射線科部長 新野恵司医師は次のようにコメントした。「HyperArcは複雑なノンコプラナー照射を簡便かつ精度よく実施することができます。これから増えることが予想される転移性脳腫瘍の治療の主役になることが期待されます」 

太田西ノ内病院 治療室内観

太田西ノ内病院 治療室内観

 

続いて5月22日に治療を開始した,大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長 手島昭樹医師は次のようにコメントした。「転移性脳腫瘍に対する放射線治療への需要は伸びていくことが予想されます。当院ではHyperArcのような新しい治療技術に即座に対応できるよう態勢を整えています。今後も,放射線治療装置の発展が患者さまのQOL向上につながることを期待しています」 

大阪国際がんセンター 治療室内観

大阪国際がんセンター 治療室内観

 

(株)バリアン メディカル システムズ 代表取締役社長 ミッチェル・シロン氏は次のようにコメントした。「当社の最新の技術を結集させたSRSソリューション,HyperArcによる治療が日本で開始されたことを大変喜ばしく思います。短時間で効率的,かつ,非侵襲でピンポイントに複数の腫瘍を治療できるHyperArcは,我々の『患者さま中心の人にやさしいがん医療を提供することを手助けする』という方針に合致するソリューションです。脳腫瘍の患者さまに身体的負担の少ない治療を提供する一助となることを期待しています」 

※1 現時点で,TrueBeam/ TrueBeam EdgeおよびEclipseの最新バージョン
※2 分割照射による定位放射線照射(高線量のピンポイント照射)
※3 1回照射による定位放射線照射(高線量のピンポイント照射)

1) Schouten LJ et al. Incidence of brain metastases in a cohort of patients with carcinoma of the breast, colon, kidney, and lung and melanoma. Cancer. 2002;94:2698—2705.   
2) Barnholtz—Sloan JS et al. Incidence proportions of brain metastases in patients diagnosed(1973 to 2001)in the Metropolitan Detroit Cancer Surveil-lance System. J Clin Oncol. 2004;22(14):2865—2872
3) Carden CP et al. Eligibility of patients with brain metastases for phase1 trials:time for a rethink? Lancet Oncol. 2008;9(10):1012—1017

 

●問い合わせ先
(株)バリアン メディカル システムズ
マーケティング部
http://www.varian.com/ja