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聖マリアンナ医科大学とシーエスアイが新生児診療業務支援システム(仮称)の利用実証を開始

2021-12-24

聖マリアンナ医科大学は,国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」に採択された「新生児のための診療支援システムの拡充を通じた重症化予防プロジェクト」(研究代表者:北東 功,聖マリアンナ医科大学 小児科学(新生児)病院教授,以下 本プロジェクト)において,新生児診療業務支援システム(仮称,以下 本システム)を構築し,近日中に聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院新生児部門にて利用実証を開始することを発表した。

また,本システムの利用実証において,(株)CEホールディングス(東証一部)のグループ会社で,電子カルテシステム・デジタル予診サービスの開発・販売を行う(株)シーエスアイ(以下 シーエスアイ)は,情報入力やシステム間連携などインターフェース改善や実用化のためのビジネス設計等を行っている。

【本システムの目指す姿】

我が国の新生児医療の中心となっている検査や高度な医療機器による診察ではなく,臨床医が行う観察や診察の手法の重要性を認識し,その観察や診察の手法を新生児診療業務支援システムとして構築している。

これにより,医療者のみならず,家族・保護者,新生児医療体制の整備が不十分な国・地域を含めて世界中の誰でも簡便に子どもの状態についての気づきを得られるようになり,子どもの救命につなげることが期待される。

そのため,将来的には途上国を中心としたグローバルで本システムを展開し,世界中の子どもの命と健康を守ること,ひいては育児を取り巻く社会全体への貢献を目指していく。

また,本システムを新生児期から幼少期,そして,一般診療(全年齢層)へと拡張することで,医療を受けるすべての人に対して,個人の状況と特性に応じた適切な医療と最適な福祉を格差なく受けられる環境に資することも期待される。

さらに,本システムに対応するPHR(※1)と連携することで,新生児の状態をいつでもリアルタイムに的確に把握することが可能となる。

【シーエスアイの取り組み】

本システムは,情報流通基盤(※2)を活用し,臨床医の思考パターンや意思決定プロセスなどといった暗黙知を技術化した既存の技術シーズである診療支援システムを,新生児科領域に拡張したもの。これにより,子どもの状態を誰でも適確に評価し,適切な医療と最適な福祉を格差なく受けられる環境を提供することが可能となる。
シーエスアイはその実現に向けて製品およびサービスの強化を進めている。

また,海外展開,幼少期や一般診療(全年齢層)への拡張(具体的には,シーエスアイ開発の電子カルテ「MI・RA・Isシリーズ」のユーザー865施設への導入(※3),さらに,新規医療機関への導入)を推進するなど,本システムを中心としたエコシステム形成のために,海外の医療機関や自治体との連携など今後様々なプレイヤーとのアライアンス提携(オープンイノベーション)を進めていく。

新生児PJ

新生児PJ

 

【本システムの特徴】

(1)利用者の同意に基づいた閲覧権の制御機能と情報構造化機能
本システムは,利用者の同意に基づく閲覧権を制御する機能とそれと連動する入力された多様なデータを整理・分類・最適化する情報の構造化機能を有する情報流通基盤を活用している。その活用により,育児・医療関係者に最適な情報を瞬時に提供することを可能にしている。

(2)育児に関する課題の早期発見,早期支援
本システムを場所や時間にとらわれることなく日常的に使うことで,上述した(1)の機能により,普段気づきにくいちょっとした変化をとらえ,育児・医療関係者にシグナルを発することが可能となる。それにより育児に関する様々な課題(育児ストレスやメンタル的な困りごと,育児虐待等)の早期発見や早期支援に寄与する。

(3)ヘルスケアアプリケーション連携
情報流通基盤上で,さまざまな健康・医療にかかわるアプリケーション(ワクチンスケジューラ,電子母子手帳等)間での情報連携が行われることにより,たとえば出生時から子どもの養育に必要なワクチン接種情報を提供することが可能となる。

(※1)PHR(Personal Health Record):個人の健康診断結果や服 薬歴等の健康等情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組み
(※2)システム・アプリケーション間のデータ交換およびその流通制御を可能とするアーキテクチャを備えた基盤。「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術/AI間連携基盤技術/健康・医療・介護AI連携基盤の構築:健康・医療・介護AI連携基盤の構築」において実証された技術を採用。
(※3)2021年9月30日現在

 

●問い合わせ先
学校法人聖マリアンナ医科大学
https://www.marianna-u.ac.jp/

(株)シーエスアイ
https://www.csiinc.co.jp