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トーマツ,独自開発のAIモデルを搭載した医療エビデンス合成支援ツールを開発迅速なエビデンス合成を実現し,医療従事者や医療関連企業の効率的なエビデンス創出を支援

2022-9-29

デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツ(以下,トーマツ)は,独自に開発したAIモデルを搭載した医療エビデンス合成支援ツールを開発した。また,製薬企業など医学研究に関わる企業や研究者を対象とした,本ツールを活用した迅速な医療エビデンス合成の実現を支援するアドバイザリーサービスの提供を開始する。

医療エビデンス合成とは

医療エビデンス合成とは,臨床試験などの研究成果を統合することで,より信頼性の高いエビデンスを創出する研究手法であり,各種疾患に対する治療やリハビリテーションのガイドライン策定などにおいて活用されている。一般にエビデンス合成においては,特定の患者集団に対する特定の治療方法の有効性や安全性といった解決したい臨床課題ごとに,関連する複数の臨床試験・臨床研究を網羅的に収集してレビューする系統的レビューと,系統的レビューにより収集した研究群を統合解析するメタ解析を実施する。

特に系統的レビューにおける文献スクリーニングにおいては大量の医療文献を目視確認する必要があり,この作業の人的負荷の高さが迅速な医療エビデンス創出の妨げとなっている。コロナパンデミック下のように世界中から連日新たな研究成果が報告される状況においては,治療アルゴリズムの最適化等に向け特に迅速な医療エビデンス合成が必要とされるため,作業の効率化が喫緊の課題となっている。

サービス内容

トーマツでは従来から製薬企業向けの医療エビデンス合成支援サービスを提供している。今回,これまでのサービス提供により培ったナレッジを背景に,上記課題を解決するための臨床試験論文の分類のためのAIモデル※1および論文からの情報抽出モデルであるAIモデル群を構築し,それらを搭載した分析ツールを独自開発した。特に情報抽出モデルに関しては,英国リヴァプール大学との共同研究により,治療薬等の情報抽出において高精度※2を有する独自AIモデルを開発した。これらを活用することで,系統的レビューにおける文献スクリーニング作業が,従来の医療エビデンス合成業務を大幅に※3効率化することが可能である。これにより,一つの臨床課題に対する医療エビデンス合成結果を提供するまでの期間を短縮し,臨床課題を細分化した複数の医療エビデンス合成を実施するなど,クライアント企業のニーズに柔軟に対応するプロジェクト進行ができる。その結果,メディカル戦略立案の高度化や医学研究者の貴重な人的リソースの効率化などが可能になる。

今回開発した医療エビデンス合成支援ツールを利用して,まずは企業向けアドバイザリーサービスの提供を開始し,来年以降は,SaaS型としてクライアント企業側でもツールが利用できる導入サービスを検討している。

本サービスで提供する主な分析(イメージ図)

1. スクリーニング機能
「直感的に使えるUI」 と「高精度なAIモデル」で1次スクリーニングの工数を大幅に削減

スクリーニング機能

 

2. メタ解析機能
ボタン1つで高度な技術が必要なメタ解析が実施でき,結果を可視化・活用することが可能

メタ解析機能

 

※1 臨床試験デザインにおけるRCT(ランダム化比較試験)とnon-RCTの判別を自動分類するAIモデルのこと。
※2 2022年8月29日付で,ヘルスケア領域に対する情報技術に関する専門誌であるJournal of Biomedical Informatics誌に世界最高精度として掲載された。
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/deloitte-analytics/articles/deloitteanalytics-improved-significantly-the-performance-of-the-intervention-detection-model.html
※3 同法人調べで,他事例において80%以上の効率化が確認できた。

 

●問い合わせ先
デロイト トーマツ グループ
https://www2.deloitte.com/jp/ja.html